優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2006年03月

□◆□…優嵐歳時記(714)…□◆□

   雨の降る新しき巣にも古巣にも  優嵐

雛が育ったあとの巣は空き巣になります。冬になって、
木の葉が落ちてしまうと、幹の股の部分に残っている巣
をいくつも見つけることができます。鳥の種類によって
その作られ方は異なりますが、さまざまな材料を使い
実に緻密に作られています。

今日は一日中ぐずついたお天気でした。細かな雨がしと
しとと降り続きました。昨日、みかけたハシボソガラスの
カップルはこの雨の中でも新しい巣作りに励んでいるの
だろうか、とふと思いました。

□◆□…優嵐歳時記(713)…□◆□

  ふきのとう流れはいつも清冽に  優嵐

昨日、市川に注ぐ支流のそばを歩いていてふきのとう
見かけました。こんなところに、という感じでしたが、
毎日歩いていると何か新しい発見があるものです。すぐ
周りの自然とはいえ、ただ住んでいるだけでは何も
知らないうちに過ぎてしまうものだ、と痛感しています。

今日、近所の神社の周りの山を歩いていて、イノシシに
出会いました。といっても大急ぎで逃げていく丸いお尻
を見ただけなのですが。里山ですから、イノシシはかなり
たくさんいて、畑の作物を荒らしにきたりもします。

近所のイチョウの木でハシボソガラスのつがいが巣を
作っていました。産卵期は3月〜6月です。注意して
見ていればこれからカラスの子育てが楽しめるかも
しれません。

060309

□◆□…優嵐歳時記(712)…□◆□ 

   春の夕芝生に並木の影伸びる 優嵐

畦にオオイヌノフグリが咲き始めました。それと並んで
目につくのがホトケノザです。乾いた畑地や畑の周辺で
たくさん見られます。まだ色彩に乏しい野では、小さな
花ながらよく目だちます。

世界中の温帯に広く分布する雑草であり、ヨーロッパでは
ブドウ園にたくさん生えているということです。
春の七草のホトケノザはキク科のコオニタビラコで別の
植物です。ちょっとまぎらわしいですね。

060308


□◆□…優嵐歳時記(711)…□◆□

   夕空にぴたり貼りつき春半月  優嵐

午後4時半ごろ、近所を歩いていてふと空を見上げると
中天に薄い半月が出ていました。真冬ならそろそろ暗く
なり始める頃ですが、まだまだ夕陽が西に出ていて、
月は所在なげです。

鶯の声も初音から毎日聞こえるようになり、オオイヌノ
フグリの花もかなり開いてきました。日中はいいお天気
であればかなり気温が上がり、スエットシャツ一枚でも
いいくらいです。

□◆□…優嵐歳時記(710)…□◆□

   啓蟄の日の柔らかき雨の中  優嵐

今日は二十四節気の啓蟄です。冬の間、地中ですごもりを
していた虫や蛇、蛙などが暖かくなって地上に出てくる
時季にあたります。柳の枝も少しずつ芽が膨らんできて
いるのでしょうか、少し緑めいて見えました。

昨夜からすでに雲が出て、月はぼんやりと霞んでいました
が、朝から雨になりました。春らしい静かに降りしきる雨
でした。夕方にはやんで、川沿いを散歩していると、
カワセミが低空飛行で川筋に沿って飛んでいきました。

□◆□…優嵐歳時記(709)…□◆□

   佐保姫のエチュード窓の初音かな  優嵐

春らしい穏やかな晴天の姫路でした。朝、本を読んでいる
と「ホー、ケキョ」という鶯の声が聞こえてきました。
あの独特の音色、一瞬手を止めて、もう一度聞えるのを
待ちました。まだ最盛期の見事な鳴きっぷりとは少し
差がありますが、まぎれもなく鶯です。

鶯は季節によって鳴き声が大きく変わります。冬の間は
「笹鳴き」と呼ばれるチャッチャッという地鳴きですが、
それが繁殖期の春になると「ホーホケキョ」という
おなじみの鳴き声になります。その鮮やかな鳴き声は古く
から賞賛されてきました。

その年初めて聞いた鶯の鳴き声を「初音」といいます。
初音を聞くと、いよいよ春も本番だと感じます。
佐保姫というのは春をつかさどる女神のことで、秋を
つかさどる竜田姫と対にして考えられています。春と秋、
日本人が太古から称えてやまない美しいふたつの季節です。

□◆□…優嵐歳時記(708)…□◆□

   薄氷をぱりぱりと踏む朝快晴  優嵐

日の出前に散歩をしてきました。雲ひとつない晴天で、
放射冷却現象のために冷え込み真っ白に霜がおりて
いました。霜柱を踏んで歩いていくとやがて土の道に
残った水溜りが凍っているのに出会いました。

「薄氷(うすらひ)」は春先のごく薄く張る氷を
いいます。表面に氷の膜が張っている程度の凍り方で
すから、足で踏むと、軽やかな音がします。その感触
と音を楽しみながら歩きました。


□◆□…優嵐歳時記(707)…□◆□

   藪椿水音響く境内に 優嵐

夕方、近所の増位山にある随願寺へ行ってきました。
梅林があるのですが、少し標高があるためか、紅梅が
ほんの一輪咲いていただけでした。蕾はほころび始めて
おり、その膨らみきった雰囲気が初々しく感じられ
ました。

境内に人影はなく、隅に藪椿が花をつけていました。
こちらもまだ咲き始めたばかりのようで、蕾がたくさん
ついていました。展望台から姫路市街と姫路城、その中
を蛇行しながら流れていく市川、さらには播磨灘とそこ
に浮かぶ家島群島を眺めました。

060303


□◆□…優嵐歳時記(706)…□◆□

   如月の川みず色に流れけり  優嵐

かなり日が長くなってきました。昨日の雨で水かさを
増した市川のほとりを散歩してきました。対岸の小山に
アオサギのコロニーがあるのに今日初めて気がつき
ました。50羽ほどが裸木にとまっています。普段は単独
行動の彼らですが、夜はこうして集まって眠るのですね。

近くにあった小さな梅林がいつのまにかすっかり切り
払われ、跡地にブルドーザーが入っていました。田んぼ
一枚分ほどの梅林でしたが、なんだか寂しい気分です。
キャタピラー跡に水溜りができていました。

田んぼの畦を歩いていると、足元に小さな青い花が開き
始めているのに気づきました。オオイヌノフグリです。
すぐに畦一面がコバルトブルーの小さな花におおわれる
ことでしょう。

060302


□◆□…優嵐歳時記(705)…□◆□

   アスファルトに映る春雨傘の色  優嵐

昨夜遅くなって降り始めた雨が一日降り続いていました。
このところ毎週のように水曜日は雨です。その中で少し
ずつ少しずつ木の芽が膨らんできています。雨が続くの
はあまり好きではありませんが、やはりこの雨が日本の
緑を支えていると思います。

傘をさして歩いていると、濡れたアスファルトに傘の
色が映り、カラフルです。ビルから見下ろすと、色とり
どりの傘が行ったり来たりしているのが見え、それを
眺めているのも楽しいものです。


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