優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2006年04月

□◆□…優嵐歳時記(763)…□◆□

  図書館で拾い読みする日永かな  優嵐

午後、図書館へ出かけました。返す本を返し、借りる予定
の本は借りたあと、書棚をぶらぶらと回って、本を読み
ました。いろいろな分野の本が並んでいます。児童文学、
健康問題、生命科学、ネットビジネス…。

図書館はいくら立ち読みしていても気兼ねもありませんし、
ふと目にした本から思いがけず興味が広がっていく分野
があったりするのも楽しいことです。

□◆□…優嵐歳時記(762)…□◆□

  田に水の入り初め峰に遅桜  優嵐

オートバイで神河町から坂の辻峠を越えて宍粟市へ、そこ
から福知渓谷を経て再び神河町に戻るというツーリングを
楽しんできました。兵庫県の中央部にあたり、中国山地
の山懐を走ったことになります。

峰にはまだ山桜があちこちで咲いており、ところによって
は、麓でも桜吹雪を楽しむことができました。田にはそろ
そろ水が入り始めているところもあります。途中で、
見事なシャクナゲを見ました。

福知渓谷の道は普通車がやっと一台通れるほどの幅しか
ありません。そのかたわらを渓流が流れています。曲がり
くねった県道を抜けていくと、砥峰高原に出ます。ここは
ススキの群生地で、毎春、それを維持するために山焼きが
おこなわれており、秋には一面の薄原が楽しめます。


060429

□◆□…優嵐歳時記(761)…□◆□  
 
  菜の花を西国遍路ひとりゆく  優嵐

「遍路」は春の季語です。夏と冬は歩き遍路にはちょっと
つらい時期ですし、秋は季節的にはいいですが、日が短く
なります。日が長く、暖かくなっていく春がお遍路さん
には最適のシーズンということでしょう。

遍路といえば四国ですが、それ以外にも西国、坂東、秩父
の三十三箇所などがよく知られています。昨日、加西市の
あたりで西国を歩いて巡拝している男性のお遍路さんを
見かけました。

金剛杖を手に、白装束、背中にはかなり大きな登山用の
ザックを背負っています。恐らく加東市の二十五番播州
清水寺から加西市の二十六番一乗寺に向かう途中でしょう。
その次は姫路市の二十七番圓教寺です。

□◆□…優嵐歳時記(760)…□◆□

  銀色にかすみ小楢の芽吹きかな  優嵐

落葉広葉樹が芽吹きのときを迎えています。木の種類に
よって新葉の色はさまざまです。コナラは柔らかく銀色
にけぶった黄緑色っぽい微妙な色合いです。このころの
森は遠くから見ていると、日に日に色合いが変わります。
その合間にコバノミツバツツジの淡い紫がのぞきます。

カエデも鮮やかな緑の若葉を広げようとしています。
照葉樹は落葉樹に比べると目だちませんが、同様に新芽
を伸ばしています。アラカシの海老茶色、タブノキの真赤、
コジイの薄茶色など、意外に新芽の時期は緑色ではない
ものが多いですね。

□◆□…優嵐歳時記(759)…□◆□

  花陰は緑に大島桜咲く  優嵐

オオシマザクラは伊豆諸島に自生し房総半島、伊豆半島
などでは、古くから栽培され、野生化しています。
花が咲くのと同時に、鮮やかな緑の新葉が出てくるのが
特徴です。

花は白っぽく、そのせいか全体が緑色を帯びた桜という
印象を受けます。姫路では染井吉野や山桜よりも開花時期
がわずかに遅く、随願寺の境内では今満開です。八重桜は
平地では満開ですが、境内では五分咲きくらいでしょうか。

□◆□…優嵐歳時記(758)…□◆□

   桜しべ降るや明るき夕暮れに  優嵐

桜の花はすっかり散り、今はそれを追って桜のしべやがく
が木の下に散っています。花火のあとの燃えかすのようで、
春が去っていくことをあらためて感じます。花時が終わった
ソメイヨシノは夏に向けて、すでに若葉をぐんぐん茂らせて
います。

夕暮れの時間も大変遅くなり、真冬であればすでに真っ暗
だった5時ごろになっても日がまだ空にあります。山々は
それぞれの木々が芽吹きのときを迎えており、この時期独特
の色合いに染まっています。そろそろ鯉のぼりも見られ
始めました。

□◆□…優嵐歳時記(757)…□◆□

   菜の花の間を光り川流る  優嵐

梅が咲きだしてから、散歩はもっぱら増位山だったのです
が、久しぶりに市川の川べりを歩きました。川原にも中州
にも菜の花が花盛りです。川沿いの桜並木はほんのわずか
花びらが残っていて、それもまた風に吹かれて次々と
散っていました。桜色の次は菜の花の黄色です。

今日は黄砂で景色が白っぽく霞んでいました。今年は例年
より雨も黄砂も多いように思います。毎年同じように季節
は移りますが、決して去年と完全に同じではありません。
機械的に同じだとこれもまたつまらないものですよね。

□◆□…優嵐歳時記(756)…□◆□

   山々と雲の重なり岩燕  優嵐

この週末もお天気はぐずついていました。さすがに桜も
終わり、八重桜が咲き始めています。イワツバメは平地
で見るツバメとは種類が違いますが、同じように夏鳥と
して日本にやってきます。

飛翔はツバメと同じく空間を切り取るような素早さです。
桜の色が消え、若葉が萌えだした山を見下ろしていると
その前をすーっと何度もイワツバメが横切ります。春も
深まってきました。

□◆□…優嵐歳時記(755)…□◆□

   語らいて夜も更けにけり木の芽冷え  優嵐

昨日、今日と気温が下がってやや肌寒いお天気でした。
木の芽が出る時期は種類によってさまざまですが、この
時期の寒さを「木の芽冷え」とも言います。

前の職場の仲間と焼肉を食べに行きました。久しぶり
にたっぷりとお肉を味わい、話にも花が咲いて楽しい
ひとときでした。組織の中で働くのはどこへ行っても
苦労があるものだ、と感じます。働くことの苦労の大半
は人間関係にあるのかもしれない、とあらためて思い
ました。

060422

□◆□…優嵐歳時記(754)…□◆□

   雪のごと積もりし花を踏む山路  優嵐

増位山随願寺の梅林に隣り合っている山桜は、昨日から
落花盛んという状態です。昨夜から姫路は強い風が吹き
ましたので、今はもうほとんど散っているでしょう。
散り敷いた花びら、染井吉野ですと、桜色がもっと濃い
ですが、山桜の場合はほぼ白に近く見えます。

本堂前の桜もかなり花びらを散らし、とうとうお花見は
終わりだなと引導を渡してくれました。桜前線は今どの
あたりまで行っているのでしょうか。長野の善光寺公園
では満開との話を聞きました。東北はゴールデンウイーク
に入ってから、ですね。

060420

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