優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2006年05月

□◆□…優嵐歳時記(779)…□◆□

  境内は老鶯のみを響かせて  優嵐

「老鶯」とは、夏の鶯のことです。年老いた鶯という
わけではありません。漢語では成長したものに「老」
という語をつけます。夏は鶯の繁殖期であり、見事な
囀りを聞くことができます。

増位山随願寺、人影の少ないお寺ですので、ひとりで
散歩をしていると、自分の足音と鶯の声しか聞こえて
こないということがあります。この静けさの中に響く
鳴声が、いっそう静けさを深めてくれます。

□◆□…優嵐歳時記(778)…□◆□

  やわらかき椿若葉にふれてみる  優嵐

藪椿はようやく花の時期を終えたようです。落葉樹の
若葉が目立ちますが、常緑樹もこの時期に新しい葉を
広げます。椿の葉は濃い緑色でつやつやと光沢があり、
硬いですが、若葉はずっと柔らかく、その感触の違い
に驚きます。

姫路は今日、朝からずっと雨でした。しかし、雨が
降り続いているにもかかわらず、窓の外は意外なほどの
明るさです。去年と比べると、今年はかなり雨が多い
ように思います。

□◆□…優嵐歳時記(777)…□◆□

  幾重にもかさなるひかり若楓  優嵐

楓の若葉のことを「若楓」と詠みます。楓の若葉は多く
の若葉の中でも特に明るくみずみずしい色をしています。
ああ、夏がやってきたな、とそういう気持ちにさせる
色合いです。

日差しの中で枝を広げた楓の若葉を見上げると、萌黄色
の重なりと透きとおる日の光を楽しむことができます。
鳥のさえずりだけが聞こえる静けさの中で、若葉の色を
見上げているのが好きです。

060515

□◆□…優嵐歳時記(776)…□◆□

  山寺につづく坂道てまり花  優嵐

てまり花はオオデマリというスイカズラ科の花です。
初夏に白い花がたくさん集まって手まりのような花を
咲かせます。随願寺に向かうドライブウェイは入口も
途中もさまざまな花がいっぱいです。

梅、染井吉野、八重桜と咲き、今はツツジとオオデマリ
が咲いています。それぞれの花が微妙に時期をずらして
咲くのは、蜜を求めてやってくる昆虫にとっても好都合
なことでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(775)…□◆□

  新緑の雨は明るく野に降れり  優嵐

一日雨の土曜日でした。比較的細かな雨がしとしとと
降り続きました。気温も下がり、「若葉寒」でした。
こんな日は落ち着いた気分で家の中にいるのもいい
ものです。

若葉が雨に洗われてみずみずしさが増しています。
この時期の緑は木の種類によって微妙に色が違い、
単に緑といってもこんなにたくさんの緑がこの世に
あったのか、と毎年驚きます。もう少ししてそれらが
ほぼ同じ深さの緑に落ち着くと、夏が深まったことが
わかります。

060513

□◆□…優嵐歳時記(774)…□◆□

  若葉雨あがりし河口の濁りかな  優嵐

昨日、有明の峰に立って市川を眺めました。市川は朝来市
生野町の三国山に端を発し、兵庫県中南部を流れて姫路市
飾磨区で播磨灘に流れ込みます。火曜から水曜にかけて
降り続いた雨で川は水かさを増していました。

雨で濁った川の水が流れ込むため、普段ならわからない
川の水の拡散の様子が遠くからでもよくわかりました。
真水の川がこうして流れ込む分、海水からは水蒸気と
して蒸発して雲になり、海水の塩分濃度は一定に保たれ
ているのでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(773)…□◆□

  陽の色をまとい黄鶲鳴きつづく  優嵐

ほぼ二週間ぶりに増位山随願寺へ行ってきました。梅林
の近くでキビタキを見ました。喉から胸にかけてオレンジ
がかった鮮やかな黄色をしています。日本には夏鳥として
渡ってきます。「ピピロピピロ」と軽やかな美しい声で
囀っていました。今年36種目の野鳥です。

梅も桜も葉を茂らせ、森は落葉広葉樹がいっせいに若葉
の時期を迎えています。もう少しすれば、緑の色が濃く
なって、「緑陰」という感じになってきます。

森を薄紫に染めていたコバノミツバツツジの花はすっかり
終わり、代わってモチツツジの薄桃色の花が咲いて
いました。その間をモンキアゲハや熊蜂が蜜を吸って
飛び回っていました。

060511

□◆□…優嵐歳時記(772)…□◆□

  朝ごとに垣根の薔薇の開きけり  優嵐

駐車場の前にある垣根を這っている薔薇が咲き始めました。
日ごとに蕾が膨らみ、一輪ずつ増えています。かなり
濃いピンクの薔薇です。

昨夜から降り出した雨が今日は一日中降り続いていました。
筍のシーズンですので、このころの長雨を「筍梅雨」とも
いうようです。菜種梅雨、秋の長雨などもあわせますと、
さすがに雨の国日本、四季の半分は「梅雨」です。

□◆□…優嵐歳時記(771)…□◆□

  フルフェイスのヘルメットを脱ぐ夏めく日 優嵐

立夏と同時に急に暑くなった気がします。夏物を出して
いませんでしたが、半そでのポロシャツを出してきて
着替えました。先週はまだ室内では上に一枚羽織って
いたのですが。夕方から雨になりましたが、それでも
冷えるという雨ではなく、蒸し暑い感じです。

オートバイに乗るときのヘルメットもフルフェイスの
ものからジェット型に替えました。顔面が開放された
気分で爽快です。山々の若葉も勢いを増し、緑滴る季節
です。

□◆□…優嵐歳時記(770)…□◆□

  キーボードきびきび指へ五月来る  優嵐

五月から新しいノートパソコンを使っています。前のもの
と同じ機種ですが、少しキーボードが変わり、バネが強い
感触です。ずっとノートパソコンですので、デスクトップ
タイプのストロークが深いキーボードよりも、こうした
短いストロークで反応の速いキーボードが好きです。

今日はとても気温があがり、早くも部屋では素足で過ごし
ました。まだ暑いというところまではいきませんが、歩く
と少し汗ばむ感じがします。

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