優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2006年07月

□◆□…優嵐歳時記(838)…□◆□

  心地よき風に七月終りけり  優嵐

今日は旧暦の七月七日、七夕です。しかし、一日中曇り
空で涼しい風が吹いていました。新暦の七夕は梅雨の最中
で例年晴れた夜空は望みにくいのですが、まさか旧暦の
七夕まで梅雨が明けずにいるとは。

蒸し暑さは感じられず、今年は「暑くてたまらない」と
いう気分を味わうことなく秋を迎えそうな気配です。
「炎暑」「炎ゆ」「灼く」といった季語は使わずにこの
夏は過ぎてしまうのかもしれません。

□◆□…優嵐歳時記(837)…□◆□

  朝の川万緑映し静かなる  優嵐

真夏の深い緑色の草木を「万緑」といいます。早朝はまだ
蝉も鳴いておらず、人の動きもほとんどありません。
明日で七月が終り、暦の上での「夏」はあと一週間余り
です。日も少し短くなってきたのを感じます。

最も暑い日中は、風がよく通る部屋でリクライニング
チェアに寝転んで本を読んでいます。仕事を変えて
うれいしいことのひとつが読書の時間をたっぷりとれる
ようになったことです。ただ、それでも次々と読みたい
本は増えていきますが。

□◆□…優嵐歳時記(836)…□◆□

  揚花火音のみ空気震わせて  優嵐

夕方通り雨がありましたが、すぐにやみました。夏休み
に入って二度目の週末、おそらくあちこちで夏祭りや
花火大会が開かれていることでしょう。夜になり、山の
むこうから花火を打ち上げるにぎやかな音が聞こえて
きます。しかし、花火そのものは山にかくれてまったく
見えません。

まだ梅雨明け宣言はないようですが、空模様はすっかり
真夏です。古くは「花火」は盂蘭盆の送り火と同様で
あったため、秋の季語でした。しかし、今では納涼の
花火大会など、晩夏の趣が濃く、家庭で楽しむのもその
ころが最も多いことから夏の季語になっています。

□◆□…優嵐歳時記(835)…□◆□

  目覚めればはや夏日影壁にあり  優嵐

夏の日の出は早いため、ちょっと寝過ごすともう朝日が
山の上に昇っています。まだ日中の強烈な日差しでは
ありませんが、それでも早朝からすでにエネルギーが
いっぱいです。

今の時期は、日の出の頃と日没の頃、ほんのひととき
部屋に日が入ります。秋になると朝日は入らなくなり、
午後の日差しが入ってくるようになります。考えてみれば
日の出と日の入りは毎日少しずつ違う位置なのです。

□◆□…優嵐歳時記(834)…□◆□

  雲高く盛夏の町を見下ろせる  優嵐

日中の気温が36度を越えていました。青空に高く積乱雲が
立ち上がり、景色は完全に真夏のものです。蝉の声もかなり
聞こえるようになってきましたが、やかましいほどの蝉時雨
にはまだなっていません。

窓から見える市川は、強い夏の日差しの中で輝いています。
山が川岸まで迫って、流路が変わる地点にあたるため、水に
山の緑が映え、ほっとする風景です。南風が窓からいっぱい
に入り、外気温が高くても室内は快適です。

□◆□…優嵐歳時記(833)…□◆□

   夕涼にひとり座りて香を薫く  優嵐

ようやく九州・四国で梅雨が明けました。近畿地方の
梅雨明け宣言も今週中にはあるでしょう。姫路の今日は
夏空が広がり、部屋の中を気持ちのいい風が終日通って
いきました。

最近、お香を愛用しています。香水のように香りが強い
ものは苦手なのですが、ほのかに香るお香はいいものです。
香立てに挿して火をつけ、しばらくの間その穏やかな
香りを楽しんでいます。

□◆□…優嵐歳時記(832)…□◆□

   雨音に窓閉めている寒き夏  優嵐

雨が降ったりやんだりの一日でした。2ヶ月ほど季節が
逆戻りしたかのような気温です。太平洋高気圧の張り出し
が弱いために、いつまでたっても梅雨前線が日本の上に
伸びたままです。

異様に暑いのも困りますが、こう涼しいと不気味です。
今でこそ飢饉などということはありませんが、つい一世紀
ほど前までは、こんな天候だと、お米の作柄に大きな影響
が出たことでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(831)…□◆□

  長雨に太陽恋し大暑なり  優嵐

今日は二十四節気の大暑。これから立秋までの十五日間が
大暑の気に入ります。例年であれば猛暑、酷暑、炎暑と
いう言葉がぴったりの、恐ろしいほどの暑さが続くころ
ですが、今年は梅雨前線が居座ったままで、気温があがり
ません。

連日の雨で災害に見舞われていらっしゃる方はもちろん、
海水浴場やビアガーデン、夏物商品の関係者の方、また
農作物を育てていらっしゃる方などにとっても深刻な
長雨です。

□◆□…優嵐歳時記(830)…□◆□

  遠花火聞きつつ土用鰻かな  優嵐

今日は久しぶりに晴天になりました。しかし、土用らしい
暑さはまだ感じられません。今年は五月が天候不順でした
が、七月もなかなか梅雨が明けず、この調子でいくと
立秋近くまで梅雨が長引きそうな気配です。

土用に夏ばて防止のために食べる鰻を「土用鰻」といい
ます。土用の丑の日は鰻の日といってもいいほどで、この
日の鰻屋さんは大忙しでしょう。今年の丑の日は23日です。

□◆□…優嵐歳時記(829)…□◆□

   雨しとど降りに降りける土用入  優嵐

今日から土用。中国の五行説では、四季のそれぞれの
終わりの十八、九日間を土の支配する土用としました。
現在では土用といえば夏のものをさし、一年中で最も
暑い時期にあたります。

しかし、梅雨が明ける気配はなく、今週に入ってからは
連日雨が降り続き、豪雨災害がおきているところも
あります。夏の太陽がかっと照りつける日が待ち遠しい
今日この頃です。

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