優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2006年07月

□◆□…優嵐歳時記(828)…□◆□

  濁り川とうとうと流れ梅雨深し  優嵐

早朝、激しい雨が降っていました。友人が亡くなった夢を
見ていて目が覚めました。夢の中で亡くなった人は長生き
をすると聞きました。夢は、奇妙だからまた夢なのですね。

二日以上たっぷり降り続いた雨で、部屋から見える市川の
水量がぐんと増えています。上流からの土砂を含んでいる
ため、シナモン色に濁っています。

□◆□…優嵐歳時記(827)…□◆□

  梅雨冷の乾く間もなきアスファルト  優嵐

朝方いったん雨はやんでいたようですが、再び降り出し
終日雨になりました。気温も下がり、窓を閉めても
扇風機は不用です。ショートパンツでいると膝のあたり
が寒く、長いパンツに替えました。

あさっては土用の入りです。これで梅雨が明けると、
どっと暑くなるのでしょうから、体調を崩す方も増える
わけです。

□◆□…優嵐歳時記(826)…□◆□

  夕立の律儀に三日繰り返す  優嵐

昨日まで三日連続で午後は激しい雷雨でした。雷鳴を
聞きつつ部屋にいるのは悪くないものです。パソコン
の電源は落としていますが。

今日は朝から雨になりました。一日しっかり降って、
夜になってもまだやむ気配はありません。台風の影響
で梅雨前線が刺激されているものか、と思います。

□◆□…優嵐歳時記(825)…□◆□

  開け放つ窓いっぱいの夏の暁  優嵐

「夏の暁」は「なつのあけ」と読んでください。「夏暁」
「夏夜明」「夏未明」という季語もあります。夜明けの
頃はいつの季節も美しく、独特の雰囲気があります。
一日のまっさらの時間がこれから始まるのだ、という
新鮮な思いもその中にはあります。

夏は日中の暑さがあるだけに、さらに爽涼感が快い
ものです。カラスやスズメもいったん集まって、お互い
にコミュニケーションをとりあってから、それぞれの
場所に散っていくようです。毎朝、アパートの屋根や
ベランダで朝の彼らのおしゃべりが聞こえます。

□◆□…優嵐歳時記(824)…□◆□

  梅雨の雷去れば緑の匂いけり  優嵐

昼過ぎに雷雨がありました。入道雲が出ているな、と
空を見ていたら、雷の前触れの冷えた風がさっと吹いて
きてあたりが暗くなりました。遠くから雷鳴が聞こえ
ます。ぱらぱらと雨滴も飛んできます。

窓から暗い北の空を見ているとさっと地面に向けて稲光
が放たれました。落雷は恐ろしいですが、走っていく
稲妻は美しいものです。雨はそれほど激しくは降らず、
すぐにあがりました。

□◆□…優嵐歳時記(823)…□◆□

  梅天のひととき開けて雲輝く  優嵐

夕方、窓際のリクライニングチェアで本を読みながら、
ふと窓の外に目をやると、青空が広がってその中央に
入道雲が立ち上がっていました。

梅雨前線はまだ列島の中央に居座っていますが、その雲
の向こうに盛夏が見えた気分でした。南北の窓を開けて
風を通せば本当に涼しく、日中は扇風機さえ使わずに
過ごしています。

060713

□◆□…優嵐歳時記(822)…□◆□

  ビールうまし今日一日のありがたし  優嵐

「麦酒」とも書くビールは、一年中ありますが、爽快な
喉越しは、夏にぴったりの飲み物です。今は発泡酒、
ノンアルコールビールも出回っていますが、それらを
含めて「ビール」と詠んでいいと思います。

仕事帰りにビアガーデンで飲む生ビールがおいしい季節
であり、ビールを飲みながらナイター中継を見るという
のがお父さんの楽しみの定番でもありました。

□◆□…優嵐歳時記(821)…□◆□

  滲みつつ山の端はなれ梅雨の月  優嵐

梅雨の時期は雨が降っていなくても空は雲が多く、湿気
も多く、月はぼんやりと輪郭がかすみがちです。昨夜の月
も月の周りがピンボケ写真のようにぼやけていました。
明日は満月です。

今日はどんよりとした曇り空でした。どこへも行かず部屋
にいました。フリーエージェントの身分ですので、通勤用
の服を着て出かける必要もなく、短パンで一日過ごすこと
ができます。エアコンとも無縁ですし、この自由さは、
何にも変えがたいものがあります。

□◆□…優嵐歳時記(820)…□◆□

   初蝉や朝の大気の芳しき  優嵐

朝、今年初めて蝉の声を聞きました。一匹だけか細く
鳴いていました。にいにい蝉でしょうか。これも季節の
移り変わりを感じるもののひとつです。盛夏の蝉時雨
とはまた異なる趣です。

蝉は長い幼虫時代を地中で過ごし、その後は二、三週間
しか生きないようです。次の世代をようやく残すだけの
ために地上へ出てくる、といっていいのかもしれません。
蝉の抜け殻を「空蝉」といい、古来、空しさの象徴です。

□◆□…優嵐歳時記(819)…□◆□

  水無月やグラスに冷えてロゼワイン  優嵐

昨夜は新暦の七夕でしたが、牽牛と織女の出会いが
かなったところは少なかったのではないでしょうか。
梅雨の最中ですから無理があり、旧暦の七夕(7月31日)
を待ちたいと思います。二度チャンスができたと思えば
お二人にも望ましいでしょう。

昨日は二十四節気の小暑でもありました。夏至後15日、
この日から暑中に入り、暑中見舞いはここから立秋の
前日までに出すことになります。梅雨が明けないと
本格的な暑さという感じにはなりませんが。水無月は
陰暦六月の異称で、陽暦ではほぼ七月に相当します。

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