優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2006年09月

□◆□…優嵐歳時記(881)…□◆□

  銀輪で突っ切る秋の村雨を  優嵐

台風は対馬海峡を通り日本海へ抜けるようです。気象
衛星の写真で見る姿も、すでに目がはっきりしなくなり、
勢力が衰えてきています。今日あたり上陸か、と思って
いましたが、朝は青空でした。昼過ぎにMTBで図書館に
向かっていたら、、急にぱらぱらと雨が降ってきました。

「村雨」はにわかに群がって降る雨のことで、単独では
夏の季語です。リクエストしていた本を一冊借り、家に
戻るとすぐに雨が激しくなりました。いよいよ台風が
やってきたか、と思いましたが、すぐにやんで穏やかな
夕暮れ時でした。

□◆□…優嵐歳時記(880)…□◆□

  蕭条と刈田濡らして朝の雨  優嵐

雨の朝になりました。窓から稲刈りの済んだ田んぼが
見えます。一日できれいに刈り取りが済み、コンバイン
にはビニールシートがかけられています。雨の土曜日の
朝、人影もなくひっそりとしています。

稔りの秋を終えると、田は来年の田植えの時期まで半年
以上の休憩です。桜の葉がそろそろ色づき始め、自然は
もう冬支度に入っています。明日は台風が接近しそうです
が、台風が行ってしまうとまた一段秋が深まります。

□◆□…優嵐歳時記(879)…□◆□

  まず一枚刈られし昼の秋田かな  優嵐

近所で稲刈りが始まっていました。金色に稔った稲が
コンバインで整然と刈られていきます。週の前半は秋雨、
週末は台風13号の接近で荒れそうですから、わずかな
晴間を利用しての稲刈りなのでしょう。

「稲干す」という季語があり、昔なら刈り取った稲を
稲架に干す必要がありました。しかし、今はほとんどが
火力乾燥のため、その手間もありません。

□◆□…優嵐歳時記(878)…□◆□

  灯火親し白黒写真の現代史  優嵐

秋の静かな夜は読書に最適です。今、明治維新から太平洋
戦争にいたる時代の歴史について書いた本を読んでいます。
最も近い時代でありながら、その近さと含む問題の大きさ
ゆえに論争の多い時代です。

戦争をした、負けた、食べ物がなかった、空襲があった、
そういうことは断片的に聞いていてもあまり実態は知らず
にきたという印象です。知ろうと思わなければ、知らずに
終わってしまう、歴史はそういうものかもしれない、と
思います。

□◆□…優嵐歳時記(877)…□◆□

  カリカリとフライドポテト秋の雨  優嵐

今日は朝から雨が降っており、気温が下がりました。
秋雨前線の影響で今週から来週にかけてはぐずついた
お天気が続くようです。短パンでは少し涼しすぎるため
この秋初めて部屋の中でもロングパンツをはきました。

秋も半ばに入ってきています。夜が長くなり、落ち着いて
ものを考えるにはぴったりの時候です。秋雨の季節が過ぎ
れば天高く澄み切った秋になります。出かけるにもいい
ころですね。

□◆□…優嵐歳時記(876)…□◆□

  でこぼこのワケあり豊水いと甘き  優嵐

安い豊水を買ってきました。Lサイズですが、どこかに
あたっていたのか、表面に傷があったりでこぼこして
いたりします。つるりと傷がなければ倍ほどの値段で
出荷されたのかもしれません。

しかし、味は変わらず、甘く果汁たっぷりです。梨は
青梨系(二十世紀)と赤梨系(長十郎)がありますが、
近年は両方の特徴をもつ豊水や幸水といった品種が
たくさん出回るようになっています。

□◆□…優嵐歳時記(875)…□◆□

  華やかさ少し控えめ秋の薔薇  優嵐

薔薇は初夏に一度咲き、真夏は一休みして秋に再び
咲きます。手入れの行き届いたバラ園などでは違うの
かもしれませんが、一般に秋の薔薇は初夏のものよりは
小ぶりで、豪華さというよりは、気品を感じます。

気温もしだいに下がり、秋風が吹く中で咲く秋の薔薇は
また初夏の薔薇とは一味違うおもむきを感じさせてくれ
ます。季節それぞれにふさわしい美しさといいますか、
実に見事にバランスがとれているものです。

□◆□…優嵐歳時記(874)…□◆□

  田の青を連れて燕の帰りけり  優嵐

一週間前はまだ群れの燕を目にしましたが、ここ数日
姿を見かけなくなりました。どうやら南へ旅立った
ようです。去年も燕がいなくなったのに気づいたのは
九月の初旬でした。

誰が教えるでもなく、自然の目盛りにしたがって渡りの
時を知るのでしょう。日本でこの春から夏に生まれた雛
もすでに長い距離を飛べるだけの翼の力をつけています。
軒先を飛び回っていた燕は今ごろどこを飛んでいるの
だろうか、と思ったりします。

□◆□…優嵐歳時記(873)…□◆□

  ジャコメッティの女太れぬ九月かな

この前の日曜日に、兵庫県立美術館で開かれている
ジャコメッティ展に行ってきました。あの極限まで肉を
そぎ落としたというか、肉をつけるにつけられなかった
というか、独特の彫像。彼にはきっとすべてのものが
そのように見えたのでしょう。

ゴッホもモディリアニもジャコメッティもデフォルメした
というより、そのようにしか世界が見えなかった、独特
の世界の見え方を持っていて、それをそのまま伝えようと
した、そういうことなのかもしれません。

□◆□…優嵐歳時記(872)…□◆□

  物思う白露の夜のシナモンティー  優嵐

今夜は満月ですが、あいにく姫路では夕方から雨模様で
月を見ることはできません。今日は二十四節季の白露でも
あります。処暑から十五日。太陽の黄経は165度に達して
います。

昼間はいいお天気で、少し暑さが戻ってきましたが、
それでももう秋がかなり進んだことを感じました。秋の
静けさに、とりとめもないことをいつしか考えています。

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