優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2006年10月

□◆□…優嵐歳時記(918)…□◆□

  敗荷の下に蓮根育ちけり  優嵐

高松では栗林公園を訪れました。まだ紅葉にはやや早く、
手入れの行き届いた松の緑の美しさが印象に残りました。
国の特別名勝に指定されている公園の中では一番広く、
15世紀ごろから当地の豪族によって造営が始められ、
その後、歴代の藩主が徐々に広げていったようです。

最も大きな茶室である掬月亭で抹茶をいただきました。
北門近くの芙蓉沼には蓮が生い茂っています。真夏には
青々としていた大きな葉が晩秋の今は枯れ、茎も折れて
無残な姿です。「敗荷(やれはす)」はこの時期の蓮を
さす季語です。しかし、この時期、泥の下では蓮根が
急生長しています。

□◆□…優嵐歳時記(917)…□◆□

  しこしこと讃岐うどんや秋うらら  優嵐

週末、高松に行っていました。香川県なら讃岐うどんは
欠かせません。土曜日のお昼はマリンライナーで瀬戸内海
を渡ったあと、さっそく地元の友人に連れられてうどん
ツアーに。有名な麺どころが市内にたくさんあります。

讃岐うどんの魅力はいくつもありますが、その第一は
やはり、あの歯ごたえのある麺でしょう。お客はそれぞれ
好きなトッピング(温泉卵や天麩羅、コロッケなど)を
セルフサービスで麺の上に載せ、立ったままでうどんを
かきこみます。

□◆□…優嵐歳時記(916)…□◆□

  晩秋の夕陽に自転車走らせる  優嵐

十月もいつのまにか末です。日暮れが早くなり、午後
四時ごろになると、もう夕方の気配が漂っています。
とはいえまだ気温は高く、自転車で走ると汗をかきます。
24段変速のマウンテンバイクですから、軽快に走ること
は確かです。

オートバイで走るのも好きですが、マウンテンバイクで、
自分の体力を生かして走るのも好きです。オートバイの
魅力は加速感ですが、マウンテンバイクは小回りがきき、
それをうまく操る感覚が好きなのだと思います。

□◆□…優嵐歳時記(915)…□◆□

  爽かや水彩絵具薄く溶く  優嵐

気持ちのいい晴天が続いています。風も心地よく、何を
するにもいいころです。最近、透明水彩でスケッチを
描いています。小学校の図画工作の時間に使った絵具は
不透明水彩でした。

不透明水彩の描き方になれていたのですが、透明水彩は
それとは根本的に違う考え方で描きます。絵具は薄く薄く
溶き、色水で紙を染めるように描いていきます。これに
ようやく慣れてきた感じです。

□◆□…優嵐歳時記(914)…□◆□

  長き夜に厚き昭和史ひもときぬ  優嵐

虫の音も絶えて夜の長さをしみじみ感じるころになり
ました。半藤一利氏の『昭和史』を読み始めています。
昭和は60年以上に渡る長い時代でしたが、敗戦の昭和
20年までとその後の時代では違う時代といっていいほど
の落差があります。

昭和史の前半は戦争、戦争、戦争です。なぜあの戦争に
突き進んだのか、どういう時代背景があったのか、誰に
どのような責任があったのか。昭和が終わって間もなく
二十年。戦後生まれが国民の大半を占める時代になった
今だから、あらためてあの時代のことを考える必要が
あるだろう、と思います。

□◆□…優嵐歳時記(913)…□◆□

  霜降やスウェットシャツを軽く着る  優嵐

今日は二十四節気の霜降です。太陽の黄経が210度に達し、
寒露から15日です。露が結んで霜となるころです。地域
にもよりますが、寒さが増し、冬の訪れを身近に感じ
始めるころです。

暖かい姫路ですが、朝方雨になったせいで気温が上がらず
薄いシャツ一枚では、やや肌寒さを感じました。ちょっと
上に羽織りたいというのは、こういうときですね。

□◆□…優嵐歳時記(912)…□◆□

  運動会終り新月静かなる  優嵐

河川敷で保育園の運動会が行われていました。万国旗が
翻り、テントが建っています。やはり先日は予行演習
だったのだな、と思いながらにぎやかに流れてくる音楽
や歓声を聞いていました。

今日から旧暦の九月(長月)です。今夜は新月。すでに
虫の音も途絶え、静かな夜です。蛙、蝉、秋の虫と移り、
とうとう鳴声の絶える頃になりました。

□◆□…優嵐歳時記(911)…□◆□

  水彩の青透明に秋高し  優嵐

気持ちのいい晴天でした。洗濯にもよくスケッチにも
よく、何をするにもすがすがしい一日です。水彩スケッチ
の彩色に屋外では固形の透明水彩を使っています。室内
では、試しにリキテックスを使ってみました。

固形水彩よりも発色が華やかで、これは私好みです。
まだお手本を参考にあれこれ試みている段階ですが、
考えたことがうまくいくと、うれしくなります。次は
屋外スケッチで水筆ペンを使ってみようと思います。

□◆□…優嵐歳時記(910)…□◆□

  秋空へ天守陰影くっきりと  優嵐

今週はずっと晴天続きでした。雲ひとつない、という
形容がぴったりの日が続きました。今日は少しお天気が
崩れ気味で、一日どんよりとした空模様でした。週末
のお天気はそろそろ下り坂でしょうか。

スケッチにはいい日和が続き、青空の中にそびえる
天守閣を何枚も描きました。彩色すると、それはまた
それで、工夫の必要があるところに気づきます。

061020

□◆□…優嵐歳時記(909)…□◆□

  残る虫時を追い越すすべ知らず  優嵐

初秋から仲秋にかけて盛んに鳴いていた虫もいつの間にか
静かになって、細々とした声が思い出したように聞こえて
くるだけになりました。鳴き始めたときは、珍しくて
それと気づくのですが、鳴き衰えて鳴きやむころは、
毎年、いつの間にか、で終わってしまいます。

今年もあと七十日ほどになりました。時の加速度は増す
ばかりです。これは誰に聞いても同じで、子どものころ
と今と、一年が同じ一年とはとても思えない、というのが
誰もが抱く感想のようです。

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