優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年01月

□◆□…優嵐歳時記(1004)…□◆□

  猪の出る話して寒の暮  優嵐

増位山随願寺の寒桜の前を歩いていると、中から奥さん
が出てこられ、「お茶飲んでいきますか?」と声をかけ
ていただきました。夕暮れ時で、夜になると猪が毎晩
出てくるそうです。歩いて下山すると猪に出会うことも
あるので、「車ですよね?」と確かめられました。

今日は何か催しがあったようです。床机に座っていると、
温かい緑茶が運ばれてきました。目の前に寒桜が咲いて
おり、薄暗くなってくる中でその花びらをながめながら
おいしい緑茶をいただきました。

□◆□…優嵐歳時記(1003)…□◆□

  テニスコート出て仰ぎけり寒の月 優嵐

今日は旧暦では師走十二日です。まだ旧暦では師走の
半ばということです。月はかなり太ってきています。
暖冬で、ナイターでするテニスも、今年は手袋をまったく
使いませんでした。コートで少しボールを追いかけると
すぐに汗が流れてきます。

テニスは難しい球技だと言われます。ネットをはさんで
行うタイプの球技の中では最も広い面積のコートを使い、
ラケットは一番大きく、コートサーフェイスはさまざまです。
アスファルト、アンツーカー、カーペット、芝、ゴム、砂入り
人工芝など、実にさまざまな素材がコートに使われます。
こういうことは他の競技ではまず考えられないでしょう。

年間グランドスラムが非常に難しいというのも、かつては
フレンチオープン以外はすべて芝のコートだったものが、
今はすべて異なるサーフェイスになっているからでしょう。
全く違うコートになって以来、年間グランドスラムを達成
したのは88年のシュテフィ・グラフただ一人です。

□◆□…優嵐歳時記(1002)…□◆□

  枯木立あいだに風の音がある  優嵐

落葉樹が冬に落葉しつくしたのを「枯木」と呼び、昔から
季語になっています。最近では「裸木」という人も増えて
きています。文字通り枯れて死んでしまった木は季語には
なりません。「冬木」は常緑樹も指し、含まれる範囲が
違います。

一月も終わりとなり、日が長くなってきました。日差しが
明るくなり、光にはすでに春の気配が溢れています。
梅の蕾も日に日に膨らみ、増位山の山頂から見える播磨灘
も、なんとなく春を感じさせる景色でした。

□◆□…優嵐歳時記(1001)…□◆□

  松葉蟹とろける刺身の甘さかな  優嵐

今日は、ISIS編集学校の関西在住の仲間とともに、香住
までJR西日本の日帰りツアーを利用して松葉蟹を食べに
行ってきました。昨日は猪、今日は蟹、と兵庫県の冬の
味覚を満喫した週末になりました。こんな贅沢もたまに
はいいでしょう。

蟹の刺身を最初に食べ、蟹ちりの合間に焼き蟹、蟹みそ
が出て、お酒も少しいただきつつ、お腹いっぱい蟹を
食べました。最後は蟹雑炊でしめくくりです。やはり
本場で食べる蟹は絶品でした。

□◆□…優嵐歳時記(1000)…□◆□

  干支なれば丹波篠山牡丹鍋  優嵐

友人に誘われて、篠山市で露天風呂と牡丹鍋を楽しんで
きました。”牡丹”とは猪の肉のことです。兵庫県での
本場は篠山です。町中に牡丹鍋を扱う店が軒を連ねて
います。生の猪肉をスライスしたものを、白菜、大根、
葱、エノキ、里芋、春菊、椎茸などとともに味噌仕立て
でいただきました。

三歳の雌の肉だということで、これくらいの年齢のもの
が柔らかく、おいしいそうです。分厚い脂肪層がついて
いますが、これが見かけとは異なり、口の中に入れると
すっと溶けていくようなすっきりした味わいでした。
これなら、いくらでも食べられてしまうと思ったほどです。
身体が温まりました。

気がつけば、千句になりました。こんなに続くとは
思っていなかったのですが、うれしい驚きです。ブログ
を始めたのは2004年の立春の頃ですから、ほぼ3年かけて
千句。自分自身の生活にも変化があり、変らないよう
でもそれなりに変わるものだ、と感慨があります。

□◆□…優嵐歳時記(999)…□◆□

  寒日和棚田いっぱい陽の満ちる  優嵐

私が住んでいるあたりは、市川が作り上げた河岸段丘と
思われる地形が広がっています。階段状の土地に水田が
開かれています。急峻な山肌に作られた棚田とはまた
異なるのかもしれせんが、これも棚田の一種かと思います。

今日は夕方から雨になっています。この冬は高温多雨だと
いうことです。昨日はいいお天気で、マウンテンバイクで
冬の田んぼ道を走ってきました。

ギアを切り替えて坂道を登って行き、高いところから一気
に下るのも楽しいものです。下っていくと、畦にとまって
いたハシボソガラスが次々羽ばたいて場所を変えます。

□◆□…優嵐歳時記(998)…□◆□

  早梅の紅き一輪咲き初めし  優嵐

増位山の梅林で紅梅が咲き始めました。今日最初の一輪
が花開いているのを見つけたのです。早梅という品種が
あるわけではなく、寒中から咲き始めた梅を指してこう
呼びます。去年はそれなりに寒かったので、この季語を
使う機会はありませんでした。

寒さの中で花を開き始める梅は、春の訪れを最も感じ
させる花といえます。花の形とともに香りも素晴らしく、
万葉の昔から詩歌に数多く詠まれてきました。これから
毎日少しずつ花が増えていくのだろうと思うと、散歩が
楽しくなります。

□◆□…優嵐歳時記(997)…□◆□

  朽葉踏む木立の中の五輪塔  優嵐

増位山随願寺は歴史の古い寺であり、江戸時代には歴代
姫路藩主の崇敬を集めました。今は、観光地ではなく、
ひっそりとしています。それだけにのんびりと散歩する
にはもってこいです。境内の少し奥まったところに
現在の姫路城を築城した池田輝政の五輪塔があります。

輝政は尾張で生まれ、信長、秀吉、家康につかえて戦国
の世を生き抜きます。小牧・長久手の戦いで父と兄が戦死
したために家督を相続しました。、その後家康の娘婿と
なり、関が原の戦いの後は姫路に大領を与えられました。

□◆□…優嵐歳時記(996)…□◆□

  珠のごと卵黄のごと寒落暉  優嵐

昼間は薄ぐもりのお天気でした。今日の夕陽は空気の加減
か、太陽を球体として感じられました。夕陽の前に雲が
たなびいているのもいい感じで、ちょうど中から光を
発している貴重な珠(まさに太陽はそうですね)または、
大きな半熟の卵黄、という感じでした。

日没の風景は色彩が刻々と変化して好きです。夏は壮大な
夕焼けが楽しめますが、冬の夕焼けの色彩は淡く、時間も
すぐに終わってしまいます。しかし、それはそれで、
淡白な味わいがあるものです。

□◆□…優嵐歳時記(995)…□◆□

  釜揚饂飩湯気もおいしくいただきし  優嵐

釜揚饂飩(かまあげうどん)は茹で上げたうどんを熱湯
を張った容器に移して、たれとともに食膳にのせるもの
です。葱やゆずなどたっぷりの薬味とともに食べます。
うどんの熱さが味わいの大事な要素です。

今日は久しぶりに朝からからっと晴れていました。少し
北風も吹いてようやく寒らしい空模様でした。自転車に
乗って少し走りました。こちらも久しぶりで、少し空気
が減っていたタイヤに空気を入れなおして走りました。
自転車はいいです。

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