優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年02月

□◆□…優嵐歳時記(1029)…□◆□

  春北風へセーラー服の少女たち  優嵐

いいお天気でしたが、北風が強く寒い一日でした。二月が
終わる頃になって、寒の戻りでしょうか。「春北風」は
「はるきた」と読みます。文字数に厳しい制限のある俳句
ならでは、の用法です。

図書館へ行く途中、自転車で下校中の高校生に会いました。
「青春」とはうまい言葉だなと思います。あの時代に戻り
たいとは思いません。自分自身がその渦中にいるときは、
精神的な振れ幅が大きく、なかなかつらい時期ですから。
ただ、外から眺めている分にはいいものです。

□◆□…優嵐歳時記(1028)…□◆□

  盆梅の香り座敷に満ち溢る  優嵐

日曜日には大阪天満宮に参拝し、てんま天神梅祭りを
楽しんできました。大盆梅展が開かれており、樹齢150年
や200年という盆梅がたくさん展示されていました。
人間は30年ほども生きれば花の盛りは過ぎてしまうという
のに、200年を超えてなお香り高い花を咲かせる梅に少し
うらやましさを感じました。

境内で「梅の木餅」と名づけられた焼き餅をいただき
ました。”梅の気持ち”との掛詞になっているネーミング
の妙に惹かれていただいてみる気になったのですが、
期待にたがわぬおいしさでした。

□◆□…優嵐歳時記(1027)…□◆□

  春寒しスプーンで崩すオムライス  優嵐

週末は、ISIS編集学校で知り合った仲間の結婚を祝う会が
大阪であり、出かけてきました。祝う会といっても、
集まって歩き回っておいしいものを食べてずっとしゃべり
続ける、という会です。なぜかあの人々とは話がつきる
ことがありません。

土曜日は北風が冷たい一日でした。中之島公会堂内にある
「中之島倶楽部」で名物のオムライスを食べました。
その後、すぐ近くの市立東洋陶器美術館で開かれている
「将軍家への献上磁器≪鍋島≫」を見ました。鍋島焼は、
佐賀・鍋島藩が献上のために技術の粋を集めて焼かせた
最高級品で、デザインの斬新さに驚きました。

また、幕末期に緒方洪庵が開いた適塾も見学しました。
福沢諭吉、大村益次郎、橋本佐内ら、幕末・明治期に
活躍した多くの人材を生んでいます。

□◆□…優嵐歳時記(1026)…□◆□

  末黒野に人無く明るき光満つ  優嵐

朝方雨が降っていたもののすぐにやみ、日が差して
きました。日中はいいお天気でしたが、夕方から少し
風が出て気温が下がっています。それでも通常の二月
よりはかなり暖かでしょう。

「末黒野(すぐろの)」とは、早春に枯草を焼いた跡が
黒く残っている野をいいます。野焼きは芽立ちを促したり、
病害虫駆除にもなります。灰はそのまま肥料にもなります。
大昔から行われており、『万葉集』にもそれを詠んだ歌
があります。

□◆□…優嵐歳時記(1025)…□◆□

   春耕の彼方に大き観覧車  優嵐

今日も暖かでいいお天気でした。近所の田んぼでは
これからのシーズンにそなえて、耕運機で田を耕して
いる姿が見られます。「たがえし」はもともと「田返し」
の意味で、鋤きや鍬で田の土を鋤き返すことです。

畑でも畝を整えたり、草をひいたりと暖かな晴天を利用
して畑仕事に精を出している人の姿をあちこちで見かけ
ました。紅梅や白梅が集落のあちこちで咲きそろい、
ひばりの鳴声も聞こえてきます。

□◆□…優嵐歳時記(1024)…□◆□

  春光をまとい疾走オートバイ  優嵐

オートバイで走るのにいい季節になってきました。春の
日差しが降り注ぎ、単純ですが、幸せを感じます。
何か特別なことが起きなくても、春のあたたかな風を
感じるだけで、楽しくなってきます。

オートバイは加速感が好きですが、カーブから立ち
上がっていくときの感覚も好きです。もう少し春が
進めば、またどこかへ出かけようと思います。

□◆□…優嵐歳時記(1023)…□◆□

  思い出すことのいろいろ春三日月  優嵐

夕方、テニスに行くために外へ出ると、西の空に三日月が
かかっていました。爪切りで切ったばかりの爪をひょいと
置いたみたいな月でした。影になっている月の部分も
ほんのり明るく見えるようでした。

雨水が過ぎ、空気が一段と春らしくなってきたのを
感じます。今日は暖かく、昼間の風にはもう冬の鋭い
冷たさはありません。

□◆□…優嵐歳時記(1022)…□◆□

  ユーカリのアロマテラピー雨水かな  優嵐

今日は二十四節気の雨水です。立春の後の十五日目に
あたり、時候としては「気雪散じて水となる」といわれ、
降る雪が雨に変ったり、積もった雪が解けて土が潤い
始めるころといわれています。

インターネットで買ったアロマ加湿器はなかなか気に
入っています。ユーカリのオイルを一日に一度は
垂らしてその香りを楽しんでします。

生鮮食料品などごく一部のものを除いてほとんどのものを
インターネット経由で買います。ありとあらゆるものが
今ではネットで買えるようになっており、出かけなくて
いいので時間の節約になって助かります。

□◆□…優嵐歳時記(1021)…□◆□

  空の色畦に散りばめいぬふぐり  優嵐

今日は旧暦の元日です。したがって新月。今頃であれば、
確かに「初春」という新年を指す言葉がぴったりだと
感じます。季語に「初春」は残っていますが春の季語と
して用いる場合、「はつはる」とは読まず「しょしゅん」
と読みます。「はつはる」と読むのは、新年の季語と
して用いる場合のみです。

いぬふぐりがあちこちの田んぼの畦に見られるように
なりました。派手さはありませんが、あの青色の小さな
花は、梅とはまた一味違う春の訪れを感じさせてくれる
花です。

□◆□…優嵐歳時記(1020)…□◆□

  ため池の面きらめく春淡し  優嵐

春は名のみの風の寒さや、と『早春賦』に歌われるように、
二月は風がまだまだ冷たく感じられる月です。文字通り
春風といえるような柔らかな風は三月に入ってからという
ことが多いように思います。

姫路周辺の播磨地方は全国的に見てもため池が多いところ
です。特に東播磨はその傾向が顕著です。ため池には冬
になると鴨類がたくさん渡ってきますが、彼らもそろそろ
北に向かって帰る時期です。

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