優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年03月

□◆□…優嵐歳時記(1060)…□◆□

  春雷がまぶたの奥で光りけり  優嵐

昨日の明け方、雷がありました。まだ暗いうちで、目が
覚めたような覚めないようなぼんやりした中で、雷鳴を
聞いていました。雷は夏に最も多いため、季語としては、
夏のものになっています。

立春後初めての雷を「初雷」といい、啓蟄のころの雷は
「虫出しの雷」といいます。夏の雷のような激しさは
なく、雷鳴にもどことなく春の穏やかな優しさがあり
ます。

□◆□…優嵐歳時記(1059)…□◆□

  風をいま感じておりぬ雪柳  優嵐

春は梅、桜、モクレン、つつじ、と次々に咲いて句の
題材は豊富です。雪柳も特徴のある花で、枝に小さな
白い花をいっぱいにつけ長く伸びて垂れ下がります。
白雪と柳の連想からこの名がついたものでしょう。

いつもどこかゆらゆらと揺れており、小さな花の
モビールを見るようでもあります。バラ科で、中国名
では噴雪花というそうです。

□◆□…優嵐歳時記(1058)…□◆□

  汗ぬぐう背に幾度も鶯啼く  優嵐

増位山頂の自然歩道をひとまわり走ってくると、汗を
たっぷりかきます。随願寺の境内、梅林を走りぬけ、
山頂が折り返し点になります。梅林では、最後の梅が
真っ白な花を咲かせています。早く咲いていた梅は
もう花がすべて散り、葉が出始めています。

梅林周辺の山桜がちらほらと咲き始め、梅につづいて
しばらくは桜を楽しめそうです。梅林のかたわらには
山桜の巨木があり、本堂の前にはソメイヨシノの堂々
たる一本があります。

□◆□…優嵐歳時記(1057)…□◆□

  咲き初めし染井吉野に夕の月  優嵐

アパートの前のソメイヨシノが花を開き始めました。
昨夜は上弦でしたが、雨のために月は見えず、夕刻、
咲き始めた桜の向こうに今日の月を鑑賞しました。
山桜は、すでに盛りです。ソメイヨシノは桜としては
新参者ですから、昔の詩歌に詠まれているのはすべて
山桜とみなしていいようです。

現代人には桜といえば花がぎっしりついて葉は散った
あとから出てくるソメイヨシノのイメージが定着して
いるでしょう。花の色も山桜よりはいくぶん濃く、
華やかさではなんといってもソメイヨシノに勝る桜は
ありません。姫路城へお花見に行こう、と思います。

□◆□…優嵐歳時記(1056)…□◆□

  山肌に日ごと桜の灯りゆく  優嵐

朝からどんよりと曇っていましたが、昼ごろから雨になり
ました。周囲の山桜の開花が進み、あちこちが桜色に
なっています。あそこにも、ここにも桜があったのか、と
毎年この季節には思います。

咲き始めるとあっというまに花を開き、雨と風の多いこの
時期、はらはらさせてさっと散ってしまう、それもまた
桜の欠かせない魅力です。今週から来週にかけてが、
姫路ではお花見の時期ということになりそうです。

□◆□…優嵐歳時記(1055)…□◆□

  頂に小さきつつじ咲き初めし  優嵐

今日はほんとうに暖かく、これで桜の開花が進むなあと
感じました。増位山の頂付近でコバノミツバツツジが
咲き始めています。淡い赤紫の小さな花を見つけて、
「もうツツジか!」と少し驚きました。

ソメイヨシノはまだ咲き始めていません。といっても
あと一日か二日で咲き始めるでしょう。山桜はもうかなり
花を開いており、頂からみる周りの山は日ごとに桜色に
染まっています。

□◆□…優嵐歳時記(1054)…□◆□

  東風吹かば我がペダルまた軽快に  優嵐

冬型の気圧配置が崩れ、寒気が緩むと東風に変ります。
春を感じる風です。「東風(こち)」は、菅原道真が
大宰府に流されるときに詠んだ「東風吹かばにほひ
をこせよ梅花主なしとて春を忘るな」で日本人の心に
しみこんでいる季語です。

平地の梅はほぼ終わり、山桜の淡い色が日ごとに増えて
います。昨夜の風雨は朝にはおさまり、午後からは
日差しの暖かないいお天気になりました。

今朝は能登で大きな地震がありました。その時間帯、
姫路でも微震でしたが、かなり長い時間揺れがあり、
どこかで大きな地震があったのでは、と思っていました。

□◆□…優嵐歳時記(1053)…□◆□

  梨状筋ストレッチして彼岸終わる  優嵐

今日は七日間にわたる春の彼岸の最終日です。
今、「ゆるめてリセット ロルフィング教室」という本を
読んでいます。ロルフィングというのはボディワークの
一種です。私たちの身体は知らず知らずのうちにバランス
が崩れており、それがさらなる悪循環を呼んで、肩こりや
腰痛をはじめ、さまざまな身体の不調として現れます。

ロルフィングはそれを調整する技法のひとつで、本格的
に体験するには専門家の手技を受ける必要があります。
しかし、この本では、自分でできる簡単なロルフィング
が紹介してあります。

梨状筋とはお尻の深部にある筋肉で、脚を外旋させる
働きをします。この本の中にある梨状筋のストレッチを
やってみて、「おお、このような感覚があるのか」と
新しい発見でした。自分の身体ながら、実際にはその
働きや成り立ちに私たちのほとんどは無自覚なまま
過ごしているのかも知れません。

□◆□…優嵐歳時記(1052)…□◆□

  山ぎわの空はももいろ春薄暮  優嵐

春分の日を境に暖かさが戻ってきました。やはり「暑さ
寒さも彼岸まで」でしょうか。今日は仕事の関係で
夕暮れ時に車を走らせていました。暮れていく間の時間
が長く、気持ちがゆったりしてきます。

山桜も日毎に花を開いて山肌の桜色が増えています。
春たけなわ、「この世の春」の中に今いるんだなあ、と
思いながらハンドルを握っていました。空気中に水蒸気
が多く、空全体が朧にかすんで、夕焼けの色も穏やかで
やさしく、ほのぼのとした気持ちになりました。

□◆□…優嵐歳時記(1051)…□◆□

  城の影立ちし夕べの大霞  優嵐

水蒸気が空気中にたちこめぼんやりとかすんで、はっきり
見えない様子を「霞」といい、春に最もよく見られる
現象です。心なつかしい情景として、古くから詩歌に
詠われてきました。

午後、時雨があり、その後お天気は回復しましたが、
播州平野一帯は広く霞におおわれて、姫山に立つお城の
影がぼんやりと見えました。いつもは見える播磨灘や
沿岸部の火力発電所もすっかり霞の中に溶け込んで
いました。

このページのトップヘ