優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年03月

□◆□…優嵐歳時記(1040)…□◆□

  初日より荒れる春場所座布団飛ぶ  優嵐

大阪府立体育会館で今日から始まった大相撲春場所を見に
行ってきました。間近で見る力士たちの力感溢れる身体と
館内にほのかに漂う鬢付け油の香りが、生で相撲観戦する
醍醐味です。三段目の途中から入場し、次々とこなされて
いく取組を見ながらお弁当を食べました。

外国人力士の多いことに今更ながらに驚きます。モンゴル
勢はもちろん、ロシア、東欧の力士を何人も目にしました。
今日は黒海の故郷グルジアの大統領が観戦にみえており、
黒海は露鵬を寄り切って勝ちました。

一番驚いたのは、横綱・朝青龍が小結・時天空に送り倒し
で敗れたことでした。勝負はやってみなければわからない
とは、まさにこれだなあ、と。一瞬の静寂のあと、館内に
座布団が乱れ飛び、弓取り式が始まってもまだしばらく
座布団の乱舞が続きました。

□◆□…優嵐歳時記(1039)…□◆□
  
  今生の別れいくたび鳥雲に 優嵐

春になると白鳥、雁、鴨、鶴など北方から渡ってきていた
鳥たちが帰っていきます。これを「鳥雲に入る」という
季語で表し、略して「鳥雲に」とも詠みます。春の喜びと
ともに、冬と別れる惜別感もあります。

昨日、伯母が亡くなったという連絡を受けました。父の
姉にあたりますが、遠方でもあり、叔父や伯母の中では
一番交流が少ないままに過ぎました。それでもやはり、
それなりの感慨はあり、今頃は祖父や祖母と天国で再会を
喜んでいるだろうか、と思ったりしています。生涯を生き
きるというのは、それだけで大きな仕事かもしれません。

□◆□…優嵐歳時記(1038)…□◆□

  咲き初めしひとつふたつや白木蓮  優嵐

いいお天気の一日でした。増位山のふもとの集落では、
梅はそろそろ終り、庭先の白木蓮のつぼみが開き初めて
いました。大木になると高さ15mほどにもなり、乳白色
の大きな花は遠くからでもよく目立ち、白い炎が立ち
昇っているようです。

同じモクレン科のコブシとよく似ていますが、コブシは
もう少し小ぶりな花で、色も青みがかった白色です。紫色
の花をつけるシモクレンはハクモクレンの花が終わった
後に咲き始めます。挿木では育ちにくいため苗をコブシに
接木して育てます。

□◆□…優嵐歳時記(1037)…□◆□

  春セーター明るき色をまといけり  優嵐

三月になり、いつもの年にも増して暖かくなるのが早く、
真冬の炬燵は片づけて、足元だけを暖める暖房器具に
変えています。この冬は厚手のオーバーコートはまったく
袖を通さずに過ぎました。

普段着のフリースセーターもすでに薄手のものにかえて
います。季節の歩みが一ヶ月は早いと感じます。梅は
そろそろ散り始めており、この調子だと三月半ば過ぎには
桜が咲き始めるのではないかと思います。

□◆□…優嵐歳時記(1036)…□◆□

  頂に立てば一面畦青む  優嵐

三月もあっという間に一週間が過ぎました。今日も増位山
の自然歩道を走ってきました。梅林の中を走ると梅の香り
がいっぱいです。頂上に立って播州平野を見下ろすと、
枯野だった部分がいつの間にか萌えだした草の青さに
覆われています。春だ、と実感しました。

仕事がパソコンの画面相手ですから、心がけて運動を
しないと身体がなまってしまいます。MTBで走ったり、
こうして自然歩道を歩いたり走ったり、テニスをしたり
して、息が弾む運動を欠かさないようにしています。
運動すると精神的にもいいようです。

□◆□…優嵐歳時記(1035)…□◆□

  啓蟄の大地を蹴って走りけり  優嵐

今日は二十四節気の啓蟄です。次の節気は春分で、その
間が約15日間あります。二十四節気ではほぼ15日ごとに
季が変りますが、一年を七十二候に分けたものは、ほぼ
5日ごとに候を分けています。

啓蟄から春分までの15日間を三分割した最初の候は第七候
にあたり、「蟄虫(すごもりむし)戸を啓く」といわれ、これが
「啓蟄」です。二十四節気も七十二候も中国で考案され、
紀元前から使われていたといいます。日本では九世紀ごろ
から用いられるようになりました。

お昼休みに増位山の自然歩道でトレイルランニングを
してきました。ジョギングを自然の中で行うもので、
アスファルトの道と違い、膝や脚に優しく、地形に
変化があるため、身体の使い方が偏らずにいいのです。
久しぶりに走り、気分がすっきりしました。

□◆□…優嵐歳時記(1034)…□◆□

  過ぎ去りしものを蹴散らし春疾風  優嵐

朝から雨交じりの強い風が午前中いっぱい吹き荒れ
ました。前線を伴った低気圧が日本海を通過するときに
おこる南寄りの暖かい風を「春疾風(はるはやて)」
といいます。

急激に気温を上昇させて雪崩をおこしたり、日本海側
にフェーン現象を発生させて大火災の原因になったり
もします。不安定な春の気象現象です。まるで、ここ
数日の世界中の株式市場のようです。

□◆□…優嵐歳時記(1033)…□◆□ 

  沈丁花香りし路地を走りぬけ  優嵐

MTBで集落の路地を走っているとどこからかふっと沈丁花
の香りがしました。花そのものよりも香りで印象に残る
花です。室町時代に中国から日本に渡来し、庭木として
植えられてきました。

香りの素晴らしさから最高の香料とされる沈香と丁子にも
負けないということで沈丁花と名づけられたようです。
次々と新しい花が開き、その色と香りを楽しみ、やはり
春はいいなと思います。

□◆□…優嵐歳時記(1032)…□◆□

  雛祭笑顔で集う写真着く  優嵐

先週末に大阪で友人の結婚を祝う集いがありましたが、
そのときのメンバーのひとりがその写真をフレームに
入れて送ってくれました。落ち着いた渋めのオレンジ色
のハーフスケルトンのフレームです。

デジタルカメラの普及で、写真をプリントアウトする
ことがぐっと少なくなっていましたが、こうしてフレーム
に入れると、写真が引き立ちます。バックにお雛様が
写っていて、今日届いたのは、まさにぴったりでした。

□◆□…優嵐歳時記(1031)…□◆□

  野遊びの子らとりどりのお弁当  優嵐

お昼にMTBでお城の周りをひとまわりしてきました。
シロトピア記念公園の芝生広場でどこかの小学生たちが
お弁当を食べていました。学校の野外活動のプログラム
かと思います。

今日は暖かくて風も無く、野外で遊ぶにはぴったりの日
でした。MTBだと気軽にちょっとした路地裏にも入って
いくことができ、抜け道や思いがけない場所に出て、
そういう体験をするのがまた楽しいのです。

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