優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年04月

□◆□…優嵐歳時記(1090)…□◆□

  夏近し富士真っ青に聳えけり  優嵐

5月2日が八十八夜です。昨日は車窓から雲ひとつない空に
聳える富士山を眺めることができました。静岡は有数の
茶所、一番茶の摘み取りのシーズンでしょう。

東京は気温があがり、上着を着ていると汗ばんできます。
ビルとコンクリートの街では、空調設備なしでは暮らせ
ないでしょう。高速道路や鉄道が何段にもなって走り、
ビルとビルの間に夕陽が沈んでいく、それが大都会という
ものですね。

□◆□…優嵐歳時記(1089)…□◆□

  春潮のうえへ次々離陸する  優嵐

東京へ来ています。快晴でした。今日はゆりかもめに乗り、
レインボーブリッジや立ち並ぶさまざまなビル群の眺めを
楽しみました。それぞれに建築家が趣向をこらしたビル、
同じようでいてみんな違う、現代建築の展示場のようでも
あります。

羽田空港から東京湾に向かってを飛び立つ大きな機体も
見ました。やはり東京は人が多いです。いつ来てもそれ
には驚きます。

□◆□…優嵐歳時記(1088)…□◆□

  ゆっくりと春惜しみつつ森歩く  優嵐

ゴールデンウイークに入りました。春は間もなく終りです。
このころの森は日に日に表情が変わります。若葉がかなり
広がってきたらしく、林床に差し込む日差しが遮られて
薄暗くなってきています。

湿気が少なく、風が心地よく、緑は明るく、暑くも寒く
もなくて、一番過ごしやすいころでしょう。日も長くなり
そこが秋とは違って、気分的にもゆったりできます。

□◆□…優嵐歳時記(1087)…□◆□

  たんぽぽや幼ごころのありしところ  優嵐

春の花のうち、チューリップやたんぽぽは、子どもにも
もっともおなじみの花です。黄色いたんぽぽ、赤い
チューリップなどというのは、形態に特徴があり、
色彩が明確でクレヨンで描くにもいい花です。

恐らく誰の心の中にも幼ごころというのはずっと存在
し続けているのだと思います。ミヒャエル・エンデの
はてしない物語』に”幼ごころの君”という女王が
出てきます。子ども向けのファンタジーという体裁を
とっていますが、感動し考えさせられるところの多い
お話でした。

070427

□◆□…優嵐歳時記(1086)…□◆□

  その先に青空のあり花楓  優嵐

つい先日まで森を彩っていたツツジの花がほとんど姿を
消していました。楓の花を季語では「花楓」といいます。
楓もすっかり葉を広げ、森ではもう初夏の風を感じます。

日差しは強いですが、日影にいると風が心地よく、最も
過ごしやすい季節になりました。間もなくゴールデン
ウイークで、お盆とお正月に次ぐ民族大移動の季節でも
あります。

070426

□◆□…優嵐歳時記(1085)…□◆□

  岩燕高らかに飛び峰を越ゆ  優嵐

姫路周辺ではツバメ、コシアカツバメ、イワツバメが
見られます。コシアカツバメは腰が赤く、イワツバメは
腰が白いので、飛んでいる姿を見ていると、見分けが
つきます。

山の上で姿を見るのはだいたいイワツバメです。もともと
山地や海岸の岩壁などに集団営巣していた種類で、人家に
巣を作るツバメとはやや習性が違います。

□◆□…優嵐歳時記(1084)…□◆□

  雨近き空気の重さ八重桜  優嵐

夕方から雨になりました。八重桜が満開です。桜と名が
つきますが、ずいぶん雰囲気は違います。花に厚味が
あり、ピンクの色も濃く、枝全体が濃厚な感じです。

大島桜も今が満開です。染井吉野が散ってしまい、
すっかり花見気分も抜けた広場の片隅でひっそり咲いて
います。色はほぼ白に近く、鮮やかな緑の葉とともに
花が咲きます。

070424

□◆□…優嵐歳時記(1083)…□◆□ 

  四方より囀り上がる頂へ  優嵐

頂に立っていると、周りの森から囀りが聞こえてきます。
ウグイス、シジュウカラ、エナガ、コガラ、ヒガラ、
センダイムシクイなどさまざまな鳥が軽快に囀り、
鳥自身は繁殖で大忙しでしょうが、人間にとっては
のどかで明るい気分に満ちています。

今の森の花の主役はツツジ類です。それにまじって
ガマズミの白い花が咲いています。遠くの山も明るい
若葉の色に変わり、春が徐々に舞台の中央から去って
いこうとしています。

070423

□◆□…優嵐歳時記(1082)…□◆□

  雨あがり楓若葉に光あり  優嵐

「若葉」は歳時記では初夏の季語になっています。しかし、
桜が散るともう山は若葉の季節です。この時期の若葉の
さまざまな色合いの瑞々しい美しさは、紅葉のころに
勝るとも劣りません。

今日は昼前から雨が降り、一時的にやんだのを見計らって
散歩に出てきました。広がり始めた楓の若葉の先に小さな
赤い花がついています。花といわれなければ花とは
思えないようなささやかなものです。

樹木の葉の茂り方を見ていると、太陽の光をうまく受け
とめるようにできていることに感心します。楓の枝ぶり、
葉のつき方、天然のソーラーパネルです。

□◆□…優嵐歳時記(1081)…□◆□

  尺八の音の響きけり竹の秋  優嵐

増位山の梅林から竹林のあたりを歩いていたら、尺八の
音が聞こえてきました。ここの自然公園は人影が少なく、
詩吟の練習をしている人に会うこともあります。

尺八の音というのは、なかなかいいものだなあと思い
ました。音に深みがあるというか、微妙なゆらぎがあり、
静寂な雰囲気を壊しません。

春も終わりが近づいてくると、地中の筍を育てるために
一時的に竹の葉が衰え黄ばんできます。これを植物の秋に
なぞらえて「竹の秋」と呼びます。

070421

このページのトップヘ