優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年05月

□◆□…優嵐歳時記(1108)…□◆□

  日差しなお輝く風の手毬花  優嵐

「手毬花」とはオオデマリのことです。紫陽花に似て
いますが、スイカズラ科で、もっと丸く、手毬花とは
うまい表現です。雨に似合う紫陽花とは異なり、五月の
明るい太陽が似合う花です。

山野にはえるヤブデマリから生まれた園芸品種といわれ、
枝の節ごとに花房がつき、にぎやかです。庭の花として
喜ばれ、この時期あちこちで見られます。

070521

□◆□…優嵐歳時記(1107)…□◆□

  緑さす坂を少年駆け下る  優嵐

この週末は比較的気温が低く、時折時雨もあり、秋を
思わせるような爽やかなお天気でした。それでも日暮れ
の時間が随分遅くなり、午後7時になっても空に薄く
明るさが残っているようになりました。あと一ヶ月で
夏至ですから、それも無理のないことです。

目の覚めるような若葉の緑がものに照り映えているさま
を指して「緑さす」といいます。遠目にこんもりと茂った
若葉のように見える明るいクリーム色はシイの花です。

□◆□…優嵐歳時記(1106)…□◆□

  風吹けば竹鳴り続く竹落葉  優嵐

竹は筍が育つ晩春に葉が黄ばんできます。他の草木の秋の
様子に似ているため「竹の秋」という季語になっています。
さらに、初夏になると新葉が出るため、古い葉がひらひら
と散り始めます。

頂から周囲の山や里を見渡すと、新緑の中で黄ばんだ竹薮
の姿が目につきます。生長した若竹が秋に葉を茂らせて
いるのを「竹の春」といい、季節とは逆なのがおもしろい
と思います。

□◆□…優嵐歳時記(1105)…□◆□

  露天風呂青葉若葉に洗われる  優嵐

利神山へ登ったあと、県境を越え粟倉温泉の「湯〜とぴあ
黄金泉」へ行きました。鎌倉時代、この地に棲むタヌキが
猟師に撃たれた傷を湯に入って治したことが温泉発見の
きっかけになったとか。

そのせいか、ここのマスコットはタヌキです。露天風呂の
傍らにも大きな陶製のタヌキが寝転んでいました。
露天風呂の前は山になっており、風が若葉をゆらしている
のを眺めながら、湯につかるのはいい気分でした。

□◆□…優嵐歳時記(1104)…□◆□

  尾根をゆく若葉の風に包まれて  優嵐

昨日は、岡山県境の佐用町平福へ行ってきました。平福
の町並みのすぐ背後の利神山には、江戸初期に池田由之
によって利神城が築かれました。しかし、あまりに立派
な天守閣であったため、国主の池田輝政によって破棄を
命じられ、今は石垣を残すだけになっています。

標高373mと高くはありませんが、山城の例に漏れず、
素晴らしい眺望が広がっており、眼下に因幡、美作方面
へ向かう街道の往来を見ることができます。石垣が崩落
しかかっているのが惜しく、なんとか早めに手を打てない
ものか、と思いました。

□◆□…優嵐歳時記(1103)…□◆□

  桐の花かなたに雲の沸きいずる  優嵐

今、山で見る薄紫の花といえば、藤か桐です。藤は房と
なって垂れ下がっていますが、桐は高く灯火をかかげる
ように咲いています。

今日は雲が広がって夕方からは雨が降り始め、かなり
雨足が強くなりました。昨日はいいお天気で、暑いほど
でした。高い位置に咲く桐の花を見上げると、その
向こうに夏の雲が出ていました。

□◆□…優嵐歳時記(1102)…□◆□

  皮脱いで竹青々と姿見せ  優嵐

筍の季節ですが、早いものではもう人の背丈をはるかに
超えるほどに生長しています。ここまでくると上はまだ
筍の姿をしていても、下の節はすでに皮を脱ぎ始め、
青い若竹の姿に変わりつつあります。

皮を脱いだばかりの竹の節をよく見ると、節近くは、
白く粉をふいたようになっています。外の空気に今触れた
ばかりといった瑞々しい若竹色が新鮮です。

□◆□…優嵐歳時記(1101)…□◆□

  我が行く手道案内の夏の蝶  優嵐

快晴のお昼、増位山の山頂へ行ってきました。真昼の
太陽の下で新緑が輝くばかりに鮮やかです。少し風が
あったのもまた心地よいことでした。青葉若葉が風と
光を照り返しているのを見ていると、幸せな気持ちに
なります。

頂では蝶が飛び回っていました。昨日からずっと風が
あったせいか、山頂からの視界はよく、青い播磨灘と
家島群島がはっきり見えました。家並みの瓦屋根が日差し
を反射してきらきらと光っています。

山道を歩いていると、モンキアゲハが私の前を離れたり
近づいたりしながら飛び続けました。背中の白い紋が
よく目だつ大きな美しい蝶です。

□◆□…優嵐歳時記(1100)…□◆□

  棟上の槌音響く南薫に  優嵐

緑に吹く匂うような南風の爽やかさを表して「薫風」
「風薫る」「南薫(なんくん)」といった季語があります。
若葉から青葉へと変わっていく季節、風が一番心地よい
ころです。

近所で家の建て替えがおこなわれています。午後からやや
しぐれましたが、午前中はいいお天気でした。青空を背景
に材木がクレーン車で吊り上げられていました。

□◆□…優嵐歳時記(1099)…□◆□

  夏きざすなつかしき人と立ち話  優嵐

近所のホームセンターで、前の職場でいっしょだった人
にばったり出会いました。しばらく近況や前の職場の人
たちの消息などで話に花が咲きました。ばったり会う
というのはなかなかいいものです。

今日は気温が高く、昼間は部屋の窓を開けていました。
車に乗ると、さらに暑くこの夏初めて冷房を入れました。
昨夜、ナイターでテニスをしたときもたっぷり汗をかいて
しまい、次からはショートパンツだな、と思いました。

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