優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年06月

□◆□…優嵐歳時記(1148)…□◆□

  むらさきの色さまざまに額の花  優嵐

額の花はガクアジサイのことです。アジサイの原種で、
房総半島、三浦半島、伊豆半島などに野生のものが
自生しています。古くから庭に植えられてきたため、
今では紫陽花と並んでこの時期を代表する庭木になって
います。

枝先にたくさんつく小さな両性花を五、六個の大型の
装飾花が取り囲んでいます。これが額縁のように見える
ことからこの名がつきました。淡紫色から青紫色をして
います。その紫にも微妙なグラデーションがあり、それが
いい味わいになっています。

070630

□◆□…優嵐歳時記(1147)…□◆□

  梅雨の雷街たちまちに白くなり  優嵐

夕方、散歩をしていたら突然の雷雨になりました。家を
出るときは青空がのぞいていたので、大丈夫と思った
のですが、南からあっという間にやってきました。
頂から海の方をみたら、海岸地帯は雨が降っている
ようでした。北の山側は晴れています。

雨が来るかな、と思いつつ車に戻り始めました。少し
降りだしても、森の中では木の葉が雨をさえぎって
ほとんど濡れません。しかし、あとわずかというところ、
木々が途切れたところから大粒の雨が降り始めました。
少し濡れましたが、それも夏ならば心地よいものです。

070629

□◆□…優嵐歳時記(1146)…□◆□

  梅雨曇り水の匂いの近くあり  優嵐

今日は終日どんよりとしていました。お昼ごろにぱらっと
小雨が降りましたが、アスファルトをようやく濡らす
程度であがりました。湿度が高く、梅雨らしいお天気
でした。

夕方、増位山の山頂へいってみると、湿気のせいか景色
が霞んでいて、すぐそこの播磨灘さえ見えませんでした。
蒸し暑く、少し動くと汗が流れてきました。そろそろ
お茶を冷やすシーズンの始まりです。昨日から冷蔵庫で
緑茶を冷やしています。

□◆□…優嵐歳時記(1145)…□◆□

  若竹の真っ直ぐなるを見上げおり  優嵐

筍はすっかり生長し、緑の色が清々しい若竹になって
います。あまりにもあちこちに顔を出したために若竹
になりきれずに切られている竹もありますが、あの
繁殖力では無理も無いでしょう。

生長が速く一年で一人前の竹の姿になるのですから、
木よりはよほど消費に向いた素材です。日本人は、
藁と竹でさまざまな生活道具を作り使ってきました。
どちらもエコロジーな素材といえます。

□◆□…優嵐歳時記(1144)…□◆□

  山の青田の青さかん早苗月  優嵐

今日は陰暦五月十二日です。月がかなり丸くなって
います。夕方テニスコートに向かっていたら、緋色の
夕陽が沈んでいくところでした。「早苗月」は陰暦五月
の別称です。

皐月も早苗月を語源としたものだと言われています。
橘月、たぐさ月との呼び名もあり、梅雨の時期である
ことから、五月雨月(さみだれづき)、月みず月とも
いいます。

□◆□…優嵐歳時記(1143)…□◆□

  夜の窓開ければ匂う花くちなし  優嵐

さきほど入浴をすませ、涼むために窓を開けたら、
くちなしの香りがしました。くちなしの花、咲き初め
は真っ白ですが、すぐに黄色くなります。香りは甘く、
かなり遠くまで届きます。

夜気の中に漂うくちなしの花の香り。空気中の湿気が
多いため、香りが少し濃厚に感じられます。もうすぐ
七月ですが、まだ暑さはそれほどでもなく、夜は窓を
開ければ心地よい涼しさを感じられます。

□◆□…優嵐歳時記(1142)…□◆□ 

  とりどりの浴衣の少女踏切に  優嵐

22日と23日は姫路の「ゆかた祭」でした。200年以上
の歴史があります。浴衣姿の親子連れや少女たちを
見かけました。

昨日の午前中は快晴でしたが、午後には雲が出始め夕方
からは雨になり、今日は一日中雨が降る梅雨らしいお天気
になりました。今年の梅雨は今までのところ、比較的
普通の梅雨だ、という印象です。降るべきときに降るべき
雨が降るべき量だけ降ってくれる、それがいいですね。

□◆□…優嵐歳時記(1141)…□◆□

  白雲を彼方に浮かせ青葉山  優嵐

昨日の雨があがり、今朝は快晴でした。たじろぐほどに
まぶしい朝日が部屋に差し込んできました。午前中は
ほとんど雲がなく、周囲の景色のすべてが夏至を過ぎた
ばかりの強烈な太陽の光の下で輝いていました。

こんな景色を見ていると、とても幸福な気分になります。
雨の日は雨の日でまた気持ちが落ち着いていいものですが、
やはり真っ青な空というものはいいものです。

070624

□◆□…優嵐歳時記(1140)…□◆□

  ひとり聞く終日夏至の雨音を  優嵐

今日は夏至です。朝から雨が降り、日の出も日の入りも
見ることはできませんでした。春分・夏至・秋分・冬至
は暦の基本となる日です。人類がいつ暦を発明したのか
はわかりませんが、太古の昔の人々もこれらの日の重要性
を認識していました。

世界各地に残る古代の巨石建造物の多くが、これら特別な
日の太陽光線がある一定の場所に差し込むように考えて
作られています。何のためにそうしたのか、は今となって
は想像するしかありませんが、彼らが正確な暦を持って
いたのは確かです。

□◆□…優嵐歳時記(1139)…□◆□

  頂の風遠くよりほととぎす  優嵐

増位山にはいろいろな野鳥がいます。春から夏にかけて
もっともよく聞こえるのはウグイスの声です。最近は
よくホトトギスを聞きます。古くから和歌に詠われて
おり、百人一首の「ほととぎす鳴きつる方をながむれば
ただ有明の月ぞ残れる」(後徳大寺左大臣)などが有名
です。

春の花、夏のほととぎす、秋の月、冬の雪が四季を代表
する歌の題詠だったといいます。夏鳥として九州から北
の山林に渡ってきます。鳴き声は「テッペンカケタカ」
「特許許可局」などさまざまに聞きなされています。

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