優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年08月

□◆□…優嵐歳時記(1204)…□◆□

  亡き人は風になりたり八月逝く  優嵐

ダイアナ妃がパリで交通事故のために亡くなってから
今日で丸10年です。日航機が御巣鷹山に墜落して22年、
阪神淡路大震災からは12年がたちました。アメリカの
同時多発テロからも間もなく丸6年になります。

こうした大きなニュースは、そのとき自分がどこで何を
していたか、を鮮明に思い出させてくれます。ダイアナ妃
の事故死を知ったのは、インターネットでのことでした。
まだ使い始めたばかりのころだったと記憶しています。

『千の風になって』が大ヒットしています。一年の間に
知り合いの中にも何人か亡くなった方があり、今年が
初盆でした。元気なころに交わした言葉や、一場面が
思い出されます。”千の風になってあの大きな空を
吹きわたっています”、そうであって欲しいなと思います。

□◆□…優嵐歳時記(1203)…□◆□

  法師蝉去り行くものを追いて鳴く  優嵐

早春や初夏は、それぞれの季節が「やって来た」という
感じが強いのですが、初秋は「夏が終わった」という
印象が強い時期です。残暑の中でも少しずつ夏の姿が
遠ざかりつつあるのがわかります。

朝ににわか雨がありました。雷雨ではなく、スコールの
ような降り方でした。午前中は空模様が不安定で何度か
にわか雨がありました。ツクツクボーシとの声が聞こえ
ます。今年は例年より鳴声が少なめに思います。

□◆□…優嵐歳時記(1202)…□◆□

  夕暮れて日差し秋じむころとなる  優嵐

日中はまだ暑いですが、朝夕はかなり涼しくなって、
きました。蝉の声も法師蝉のものになり、秋本番が
近いことを知らせてくれます。子どもたちの夏休みも
もうすぐ終りですね。

夜明けが遅くなっていますし、宵の時間も早くなって
います。太陽の南中高度がしだいに低くなって、日中の
日差しがわずかながら軒下から部屋の中へ差し込む
ようになってきました。夜になると虫の声も聞こえます。
夜長になってきたな、と感じます。

□◆□…優嵐歳時記(1201)…□◆□

  月欠ける下でスマッシュ打ちあいぬ  優嵐

今夜は文月の望。皆既月食でもありました。姫路では
あいにく昼間から空模様が不安定で何度か通り雨があり、
月食観測は期待できませんでした。

ほぼ一ヶ月ぶりにテニスをしてきました。コートに
出ていると、ほんのわずかの間だけ雲がきれ、姿を見せ
始めた満月を見ることができました。

□◆□…優嵐歳時記(1200)…□◆□

  初秋やサンスクリーンの香のなかに  優嵐

外出時はサンスクリーンを使います。ふだんは無香料の
ベビー用のものを愛用しています。最近、手足にそのまま
スプレーできるというコパトーンのUVカットスプレーを
見つけ、使ってみることにしました。

シュッとひと吹き…、たちまち香りから学生時代に行った
沖縄や八重山諸島のことが思い出されました。嗅覚という
のは、もっとも原始的な感覚で、匂いは理屈ぬきに何かを
想起させる効果を持っているそうです。

お金はなかったけど時間だけはたっぷりあったあのころ、
二日以上かけてフェリーで出かけた初めての南の海。
さんご礁にくだける波とともに記憶の底に残っていたのは
この香りでした。

□◆□…優嵐歳時記(1199)…□◆□

  秋の朝飛行機雲の斜線かな  優嵐

朝、快晴の空を見上げると、南西の方角へ走る飛行機雲が
見えました。そのすぐ横を並行して新しい雲を引きながら
一機が飛んでいます。洗濯物を干して、もう一度空を
見上げると、さらにもう一本飛行機雲が並んでいました。

関空か伊丹を飛び立って南へ向かう航路がここを通って
いるのでしょう。夕方もよく西日を浴びて飛ぶ飛行機を
見かけます。暮れていく空の中で、太陽を追いかける
ように輝きながら飛行する姿はなかなかいいものです。

□◆□…優嵐歳時記(1198)…□◆□

  秋めきて川にカヌーの出ておりぬ  優嵐

まだ残暑はありますが、いっときの猛烈な暑さは少し
和らぎ、さすがに秋らしくなってきました。朝方、
川にカヌーで漕ぎ出している人の姿を見かけました。
正確にはカヤックというべきでしょうか。

カヌーはボートのようなオープンデッキのものを、
カヤックはクローズドデッキのものを指します。
川の上から見る風景というのは独特で、いいものです。
久しぶりにカヤックにも乗ってみたくなりました。

□◆□…優嵐歳時記(1197)…□◆□

  秋の蚊にまなじりまでも喰われけり  優嵐

蚊に四ヶ所も刺されてしまいました。手足だけでなく、
目じりまでも。普段、ほとんど蚊はいないので油断して
いました。午後、寝椅子で『ダークレディと呼ばれて
という本を読んでいた間の出来事です。

ロザリンド・フランクリンというユダヤ系イギリス人の
女性科学者の伝記です。遺伝子の二重らせん構造発見の
手がかりとなるデータをつかみながら、37歳の若さで
ガンのために亡くなりました。来年が没後五十年という
ことになります。

□◆□…優嵐歳時記(1196)…□◆□

  雨音に新たに涼しき朝となる  優嵐

昨夜は雷雨でしたが、朝になっても雨が残っていました。
少し開けている窓から雨音が聞こえ、夏用の毛布を
手探りするような朝の気温でした。やっと本来の季節
にふさわしい涼しさがやったきた感じです。今日は
二十四節気の処暑、まさに暦どおりです。

真夏の訪れが遅く、それが秋までずれこんで酷暑が続き
ましたが、これを境に初秋になりそうな気がします。
夕暮れが随分早くなり、午後七時ともなればもう暗く
なっています。秋の彼岸まであと一ヶ月ですから無理も
ないのですが。

□◆□…優嵐歳時記(1195)…□◆□

  秋雷や吾に新しき力  優嵐

夕方から雲が厚くなり、遠くで雷鳴が聞こえていました。
夜になって雷鳴、稲光、雨がそろいました。雷の最盛期
は過ぎましたが、今もまだゴロゴロと名残惜しげな音が
響いています。

少しずつ秋らしさが周囲に感じられるようになり、雷も
残暑を吹き払って秋を呼び寄せている感じです。夏は
好きですが、季節が移っていくのを感じるのはもっと
好きです。新しい季節、それがまた新しい何かをくれる
そんな気がします。

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