優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2007年09月

□◆□…優嵐歳時記(1214)…□◆□

  棚田ごと包みし金の秋日かな  優嵐

播磨の北部、多可町の岩座神地区は千ヶ峰の山すそに
あり、棚田の景観で有名です。山間の斜面を切り開き、
石積みを築き、谷の水を引いて作り上げられた棚田は、
先人の努力の賜物です。

全国的に農家の高齢化や後継者難で棚田の耕作が放棄
されるところが増えています。この地区では、棚田
オーナー制度を取り入れ、都市部の人との交流を図って
います。

田植えや稲刈りなど、かつては農家の重労働だったものが、
都会人のレクリエーション、「お金では買えない」体験
になり、同時に棚田の維持にも一役買う、これも発想の
転換です。

070910

□◆□…優嵐歳時記(1213)…□◆□

  早稲の香の東播磨の野を走る  優嵐

三木市にある伽耶院までオートバイで行ってきました。
大化元年(634)法道仙人開基とされる古刹で、中世以降
は修験道の寺として栄えました。一時間ほどで行き着く
場所なのですが、訪れたのはこれが初めてです。
身近な場所は意外に盲点かもしれません。

境内には江戸初期建立の重要文化財の多宝塔があり、
法師蝉の声が降るようでした。多宝塔の前にある楓の
かたわらに座ってしばらくその声に耳を傾けていました。

お寺の前に断層が露出している部分があり、大昔の大地震
の名残をとどめています。この断層が動いたとき、阪神
淡路大震災なみの直下型地震だったのでしょう。周囲は
播磨の穀倉地帯。沿海部は都市化が進んでいますが、
このあたりは一面稲穂の波の間を走ることができます。

070909

□◆□…優嵐歳時記(1212)…□◆□

  案山子立つそれぞれ見守る方を見て  優嵐

早稲は稲穂を垂れています。来週末あたりから早稲の
稲刈りが始まるでしょう。鳥威しはよく見かけますが
案山子はぐっと少なくなっているように思います。
稲田全体に網を張り巡らして小鳥が寄ってこれないように
しているところもあります。

それでも案山子の姿はやはり、稔った田らしい風景です。
何人もの案山子が立ってそれぞれバラバラの方向を
にらんでいます。鳥威しに古いCDがつるされていたりも
します。風が吹くとくるくる回って光るので効果がある
のでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(1211)…□◆□

  初嵐北の海へと上りけり  優嵐

「初嵐」とは陰暦七月末から八月半ばまでに吹く荒々しい
風をさします。台風9号は関東地方に上陸した後、東北・
北海道方面に向かいました。ゆっくりと進み各地で記録的
な豪雨になっています。

関西方面は昨日少し風が強めに吹いたかなと感じる程度で、
台風の後姿だけを眺める格好になっています。雨は少し
降った方がいいですが、台風の進路ばかりは風まかせ
とするしかありません。

□◆□…優嵐歳時記(1210)…□◆□

  燕去る小さきカーナビ取り付ける  優嵐

東海・関東は台風が接近しているころでしょうか。姫路は
曇りがちでしたが、それほど風もなく平穏な一日でした。
やはり燕はもう行ってしまったのだな、とここ数日空を
飛ぶ鳥の影を見ては確認しています。毎年姿を見せるのは
三月下旬、去るのは九月上旬です。

時計も持たず地図もないのに、彼らは身一つで長い距離
を旅します。そういうワザを持たない私は、初めての
カーナビを買いました。小さな手のひらにのるほどの
機械で、携帯電話を少し大きくしたくらいです。

これなら、車の時だけでなく、バイクや自転車、徒歩にも
使えます。週末はこれを頼りにどこかへ出かけようか、
と考えています。

GARMIN(ガーミン)ポータブルナビ nuvi360

□◆□…優嵐歳時記(1209)…□◆□

  尺八を聴きおり秋の初風に  優嵐

昨夜は少し蒸し暑さがぶりかえしました。台風の影響か
とも思われますが、関西方面にはあまり影響が無い
ようです。昼過ぎに少し雲が出ていたものの、今は
よく晴れた夕暮れ時になっています。

藤原道山の尺八のCDを聴いています。とても尺八とは
思えないような軽やかな音です。「アメイジング・
グレイス」は誰が歌っても、演奏しても素敵な名曲
ですが、ここでの尺八の演奏も素晴らしいものです。

□◆□…優嵐歳時記(1208)…□◆□

  校庭にマイクの響き休暇果つ  優嵐

月はじめが週末になったため、昨日が小中学校の二学期の
始業式でした。宿題の最後の追い込みだったというお宅も
多かったのではないでしょうか。工作や自由研究は結構
好きで、いろいろなものを作った記憶があります。

朝、近くの小学校から全校集会のマイクの声と音楽が
聞こえてきました。二学期の授業は今日から始まります。
すぐに運動会(春に運動会のところも今は増えている
そうですが)です。その準備かと思われるような軽快な
音楽でした。

□◆□…優嵐歳時記(1207)…□◆□

  虫の音のあいだを縫ってポストまで  優嵐

夜はすっかり秋です。昼間はまだ蝉の声が聞こえて
いますが、ツバメの姿は消えており、すでに南へ旅立った
かと思います。周囲の田がしだいに色づき始め、早稲の
中には稲穂を垂れているものもあります。

少し大きめの郵便物を出すために近所の郵便局のポスト
まで歩きました。家の前にあるポストは、いまどき珍しい
丸い筒型のポストで、大判のものは入りません。しかし、
このポストのレトロな味わいは、少し不便でもしばらくは
このままでいいな、という気分にさせてくれます。

□◆□…優嵐歳時記(1206)…□◆□

  携帯も新しくして九月かな  優嵐

携帯電話の機種変更をしました。今度の機種はDoCoMoの
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しれません。しかし、これはユニバーサルデザインの
思想を打ち出した携帯だといえます。

手にとってみると、ディスプレイの文字が大きくて読み
やすいだけでなく、ボタンも押しやすく、さまざまな
ところに工夫がこらされているのがわかります。
こういう道具類というのは、ちょっとしたことで
使い勝手が違うものです。

また、最近の携帯は随分多機能になっています。カメラ、
音楽プレーヤー、ゲーム機…、しかし、自分が実際に使う
機能はごく限られています。できるだけシンプルなもの
を使いたいと思っていました。その点でもこれは希望に
もっとも近い機種なのです。

□◆□…優嵐歳時記(1205)…□◆□

  梨をむく今朝快晴の台所  優嵐

九月になりました。朝の空を見てそれを実感しました。
もう夏ではありません。その色合いは、完全に秋のもの
です。湿気が減って空気が澄んでいます。喧騒が去った
あとの鎮静に向かうエネルギーが漂っています。

四季の移り変わりは、静かではありながら大きな力で人に
影響を与えているものだ、と感じます。自分を取り巻く
ものがゆるやかに姿を変えていくとき、自分の内側も
また変っていくのです。

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