優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年03月

□◆□…優嵐歳時記(1407)…□◆□

  石塔の古きへ添いぬ落椿  優嵐

一週間ぶりで増位山の自然歩道へ行ってみると、わずか
一週間ですが、季節の着実な歩みを感じました。鶯が
さかんに囀って迎えてくれ、道には藪椿があちこちに
落ちています。

ヒメヤシャブシは花序を垂らし、コバノミツバツツジの
花芽も膨らみ始めています。森には芽吹きのときの独特の
香りが漂い、生命の息吹に溢れる季節になったことを
実感できます。

ふもとの梅はもう終りですが、山上の梅林は今が盛りで
梅の香につつまれて歩きました。随願寺の境内にある
ソメイヨシノの蕾も膨らみ始めています。

080321

□◆□…優嵐歳時記(1406)…□◆□

  春分の激しき風雨聞く朝  優嵐

きのうからの嵐が今朝まで続き、朝は窓を打つ雨の音に
目覚めました。こういう荒れたお天気もこのころの特徴
のひとつです。お天気が変りやすく、晴天は長続き
しません。

今日を境に夜より昼の時間が長くなります。もう随分
日が長くなっています。緯度の高い地方ならなおさら
それを感じられるでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(1405)…□◆□

  春嵐わが身のうちを呼び覚ます  優嵐

朝から雨でした。午後から少しずつ風が出て、夕方には
かなり強い風が窓に雨を吹き付けていました。春の嵐
です。風は暖かく、雪深い地方では雪崩をひきおこしたり
します。

嵐といっても、やはり季節ごとに受ける印象は違います。
春の嵐は何かを揺り起こすような、目覚めを促すような
そんな雰囲気を持っています。

□◆□…優嵐歳時記(1404)…□◆□

  春耕の畦へななめにトラクター  優嵐

今朝も鶯の声が聞こえました。昨日より少し多めに囀って
くれ、「おお、鶯」と感じました。これから日々囀りが
上達し、桜のころにはかなり整っているでしょう。

新緑を風が渡ってくるころともなれば、開け放した窓から
終日その鳴声が聞こえ、いいものです。そのころには、
リクライニングチェアを出して、リラックスです。

□◆□…優嵐歳時記(1403)…□◆□

  初音かと耳を澄ませし朝の窓  優嵐

十日ほど前から、そろそろ初音が聞こえてもいいころだ
と思っていました。秋から冬にかけてのウグイスは
特徴的な囀りをやめ、チャッチャッと鳴いています。

春になると、繁殖期を迎えてホーホケキョと鳴き始め
ます。最初はまだたどたどしく、「え?ウグイス?」と
いう感じです。今朝のものもほんの一度それらしく
鳴いただけで、あとはもう聞こえませんでした。

これからしだいに囀りが整ってくるとあの美声が楽しめる
ようになります。ヤブの中に住んでおり、姿は地味です。

□◆□…優嵐歳時記(1402)…□◆□

  夕映えにさくら色して春の富士  優嵐

姫路へ戻る新幹線の車窓から富士山がきれいに見えました。
五合目あたりまで雪を被り、夕暮れの明りの中にほんのり
頬を染めた初々しい少女のように立っていました。

東京は晴天で少し歩くと暑さを感じるほどでした。東京
では桜の開花も早いですから、再来週あたりには咲き
始めているかもしれません。

□◆□…優嵐歳時記(1401)…□◆□

  芳春や直線のビルの谷間にも  優嵐

大都会の風景は直線が支配します。「自然に直線はない」
とは、どこかの有名デザイナーの言葉ですが、確かに
そうだろうと感じます。最も人工的な線かもしれません。

しかし、そうしたビルの敷地の一角にも梅が花を咲かせ
ていました。ビルの谷間だからこそさらに梅の美しさが
映えていいものです。

080315

□◆□…優嵐歳時記(1400)…□◆□

  地下鉄を出れば都心の春の雨  優嵐

東京に来ています。起床時、姫路では激しい雨になって
いました。しかし、駅に向かうころには雨がやみ、傘は
とりあえず鞄に入れて持っていきました。滋賀県あたりで
また激しい雨になり、それからまた雨はやみました。

新幹線の車窓からはあちこちに咲いている梅が眺められ
日が差すことさえありました。東京に着くとまた雨模様
でした。都会では雨でもほとんど濡れずに移動すること
ができます。地下鉄の階段を上り終えたところで、
ようやく傘を取り出しました。

□◆□…優嵐歳時記(1399)…□◆□

  切られける丸木かおりし春の夕  優嵐

増位山の山頂付近は国有林です。檜が植林されている
北側の斜面では、予算がないのでしょうか間伐も
ほとんどされないままになっています。昔はおそらく
広葉樹林だったのでしょう。

杉や檜は広葉樹に比べると根の張り方が浅く、倒れ
やすいようです。谷には、台風で倒れた木がそのままに
なっているところがところどころ見受けられます。

自然歩道の上にも倒れかかっている木が数本ありました。
先日、通路の上の木がチェーンソーでカットされており、
真新しい檜の香りが満ちていました。

□◆□…優嵐歳時記(1398)…□◆□

  梅咲けば顔よせて香を嗅ぎにけり  優嵐

ここ二日ばかりで急に暖かくなったように思います。
日中の気温は20度近くまであがり、さすがにもう彼岸も
近いと感じています。

増位山の梅林の開花も急速に進み、七分から八分咲きと
いう雰囲気です。梅の木の間を歩いてほのかに漂って
くる香りを楽しむのもいいですが、花びらに近づいて
それぞれの花の香りを嗅ぐのもいいものです。

080312

このページのトップヘ