優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年03月

□◆□…優嵐歳時記(1397)…□◆□

  春なかば受け月に何を願いしか  優嵐

昨夜は陰暦二月の三日月でした。三日月は季節によって
傾きが異なります。今は盃を横から見たような形をして
おり、これを受け月と呼びます。

花柳界では、これに願い事をすると叶うという言い伝え
があるそうです。「星に願いを」ならぬ「月に願いを」
というところでしょうか。先人たちは星や月にさまざまな
願い事を託してきたのです。

□◆□…優嵐歳時記(1396)…□◆□

  四つ相撲押し相撲見て木の芽和  優嵐

大相撲観戦には、大丸の地下で買ったお弁当を持って
入りました。これがなかなか美味しくて、コンビニの
お弁当とは随分違うものだと驚きました。

観戦の後は、アクティ大阪にある和食料理店で夕食を
食べました。こちらも素材の味が生きていて、特に
木の芽和の風味は素晴らしく、美味しいものを食べると
いうのは、やはり幸せのひとつの形である、と実感。

□◆□…優嵐歳時記(1395)…□◆□

  春場所やなにわの風も和らぎし  優嵐

今日は三月場所の初日です。大阪まで観戦に行って
きました。館内に入ると鬢付け油の独特の香が漂い、
実にいいものです。テレビとは異次元の世界がそこ
にはあります。

三段目の途中あたりから入場し、お弁当を食べながら
ゆっくり観戦しました。上位陣の取組では千代大海と
雅山の一番が印象に残りました。見応えのある相撲には
お客さんから盛大な拍手が送られます。

関取の顔ぶれをみていると、半分くらいはモンゴルと
東欧・旧ソ連圏で占められています。次は、アフリカ
あたりからやってきた力士が活躍するようになるかも
しれませんね。

080309

□◆□…優嵐歳時記(1394)…□◆□

  ふるさとは犬ふぐり咲く畦にあり  優嵐

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの

…と詠ったのは室生犀星でした。生まれた育った土地
からそれほど離れずに暮らしている私ですが、それでも
すでに「ふるさと」は遠いものになっている、という
感覚があります。

ふるさとというのは、子どものころ自分の身近にあった
何か、景色とか人とかそういうものではないかと思います。
それはもうすでに失われて久しく、二度と再びまみえる
ことのない何かです。

ふるさとの情景が変っているだけでなく、人も自分自身
も変っています。季節だけが循環する輪のように何度も
同じ光を携えて巡ってきてくれるのです。

□◆□…優嵐歳時記(1393)…□◆□

  梅の香に歩をゆっくりと進ませる  優嵐

梅は香りも素晴らしい花です。増位山の梅林は、異なる
種類の梅が時期をずらして少しずつ咲いていきます。
すでにかなり花を開いた淡い紅梅の隣に、まだほとんど
蕾の白梅が開花を待っています。

紅梅の色には濃淡がありますが、白梅も微妙に色が
違い、全体にほんのり薄紅っぽいものや薄緑を感じる
ものなどさまざまです。

家の近くで今日もジョウビタキを見ました。彼らは
あまり人を恐れません。雄はオレンジ色の腹部に黒い羽、
翼の白い紋が印象的です。

080307

□◆□…優嵐歳時記(1392)…□◆□

  自転車の轍くっきり春の土  優嵐

「春の土」は、雪深い地方の人なら特に春を感じられる
季語ではないでしょうか。根雪が解け、土が雪の間から
顔を見せ始める、長い冬から解放される喜びは、北国
こそ大きいだろうと想像できます。

増位山の自然歩道はなだらかでマウンテンバイクで走る
にもいい場所です。街乗りの自転車と異なり、ブロック
パターンの太いタイヤを使いますから、それが柔らかい
土のうえに残っています。

ジョウビタキを見かけました。背中の白い紋が目だつので
遠くからでもすぐそれとわかります。冬の渡り鳥である
彼らは、あと二週間ほどで、北へ向けて飛び立ちます。
入れ替わるようにやってくるのがツバメです。

□◆□…優嵐歳時記(1391)…□◆□

  啓蟄のブログにのぞく選挙戦  優嵐

アメリカの大統領選挙、大接戦が続く民主党は土俵際に
追い詰められていたクリントン候補が大票田のテキサス
とオハイオ両州を制して、土俵中央に押し戻した形に
なっています。

先日来、アメリカ本国の選挙関連サイトを見て楽しんで
います。各候補者のブログにサポーターたちが続々と
書き込んでいく言葉を読んでいると、面白いです。
もちろん選挙速報や世論調査の様子も面白いですが。

福井県の小浜市が同名のよしみでオバマ氏にエールを
送っています。CNNでもその様子が動画入りで紹介されて
いました。オバマ氏から激励へのお礼状が届いたとか。

朝日新聞のWebサイトでは、秋田県横手市の老舗旅館
平利(ひらり)が、「平利・栗きんとん」を女性客に
提供してヒラリーさんを応援していることを紹介して
いました。思わず笑ってしまいましたが、こういう遊び
心は楽しいですね。

□◆□…優嵐歳時記(1390)…□◆□

  料峭も鳥の姿を隠さざる  優嵐

昨日とうってかわって風があり、寒い日になりました。
料峭(りょうしょう)とは、春風が肌に寒く感じられる
ことです。

そろそろ渡り鳥が北へ帰り始めるころです。今日は梅林で
ツグミを見かけました。数歩歩いては何か考えているよう
に立ち止まり、胸をはってしばらくその状態でいます。
特に何も考えてはいないのでしょうが、人間の目からは
何か思慮深く見えます。

080304

□◆□…優嵐歳時記(1389)…□◆□

  山々の墨絵のごとく霾ぐもり  優嵐

霾(よな)ぐもり、とは、黄砂で日差しがさえぎられ、
曇ったようになっているさまを指す季語です。視界が
極端に悪くなることもあります。

今日は頂からの風景も黄砂でかすんでいました。毎年
どれほどの砂がこの黄土地帯から吹き飛ばされている
のだろうか、と思います。

□◆□…優嵐歳時記(1388)…□◆□

  陽春やピザのチーズを長くひく  優嵐

暖かくなりました。外へ出て行くにもいい季節になって
きました。しかし、花粉症の方にはつらいシーズンの
ようです。幸い今のところ花粉症と縁がないので、その
ありさまを聞くにつけありがたい、と感じています。

風邪をひくと私は急性鼻炎になるタイプなのですが、
あの状態がある一定期間続き、さらに目がかゆかったり
するわけですから、さぞや鬱陶しいことと思います。

080302

このページのトップヘ