優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年04月

□◆□…優嵐歳時記(1437)…□◆□

  チューリップ照る日曇る日風にゆれ  優嵐

今日は二十四節気の穀雨です。晴れて気温があがり、
少し動くと汗ばむほどでした。日差しや風にも
どことなく夏が近い雰囲気が漂っています。

桜前線は東北南部あたりまで達しているでしょうか。
この時期は日本の南北で随分季節感が違うだろうと
思います。西南日本は夏の気配を感じるころですが、
北日本ではまだ冬の名残が漂っていることでしょう。

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□◆□…優嵐歳時記(1436)…□◆□ 

  空高きところに小楢の芽吹きかな  優嵐

コナラはブナ科の落葉高木で、姫路周辺の山では最も
よく見られる木のひとつです。芽吹きの時期には銀色に
けぶったような淡い色合いを見せます。すぐに黄緑色
へと変っていきますが、このときの色がなんともいえず
いいものです。

森は日に日に表情が変り、同じ道を歩いていると、それが
よくわかります。今はコバノミツバツツジやモチツツジの
薄紫色が人間の視線からは一番目立つ色です。藪椿は
変らず花を落としては次の花を咲かせています。

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□◆□…優嵐歳時記(1435)…□◆□

  山吹の黄金色まで坂登る  優嵐

二日間の雨の後、増位山の山頂へ行ってきました。雨で
塵が洗い流されたせいか、空気がクリアで、淡路島の
南端から徳島県まで見えました。姫路城もいつもなら
シルエットという感じが多いのですが、天守の窓まで
くっきりと見えました。

周囲の山は萌え出した木の芽の色で一変していました。
空は雲がまだ低く一面を覆っていましたが、ときおり射す
日の光に一瞬黄色かと思うほどに明るい若草色です。

山桜はすっかり散っていました。境内の竹林では春筍の
収穫が始まっているようです。本堂近くに山吹が花を
つけています。

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□◆□…優嵐歳時記(1434)…□◆□

  いつかまた降りだしており春霖雨  優嵐

春の長雨といったお天気になっています。菜種梅雨とも
いえそうです。菜種梅雨、梅雨、台風、秋の長雨、と
四季を通じて雨の国日本の雨の表情があります。雪国
では冬も雪となって降り積もります。積雪は貴重な水
資源になるということです。

きのうからの雨がずっと降ったりやんだりしながら
続いています。風はほとんどなく、雨音もしない
静かな雨です。車のタイヤが路面の水を弾く音から、
雨が降っていることがわかります。ときおり鶯の声が
聞こえてきます。

080417

□◆□…優嵐歳時記(1433)…□◆□

  桜蘂降る日はいつも雨模様  優嵐

昨日は青空の美しい晴天で、夜になっても月がくっきりと
見えました。しかし、今朝はもう雨雲に覆われ、お昼前
から雨になりました。春のお天気です。

家の前の桜はすっかり花を散らして、すでに青々と葉を
繁らせ始めています。散り敷いていた花びらもいつか
なくなり、今は蘂(しべ)がそのあとに降っています。

080416

□◆□…優嵐歳時記(1432)…□◆□

  こぼれ飛ぶ目白がおこす飛花落花  優嵐

快晴の一日でした。気温が上がり初夏の気配を感じる
ほどでした。コナラ、クヌギ、アベマキ、カエデなどが
芽吹き、森は瑞々しい新緑の色に変ろうとしています。

カエデなど、小さいながらちゃんとカエデの葉の形を
しており、新生児の指を見るような感動を覚えます。
山桜の多くは散っていますが、増位山の自然公園内に
ある何本かはまだ花盛りです。

木を見上げていると、花の間をメジロの群が盛んに飛び
まわって花の蜜を吸っているのが見えます。今日は風が
ほとんどありませんでしたが、彼らが動くたびに花びらが
舞い落ちてきます。

鳥や虫を呼び寄せるために山桜は花を咲かせているので
あり、人間はそのお相伴にあずかっているのだなあと
思いながら、花とメジロをしばらく眺めていました。


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□◆□…優嵐歳時記(1431)…□◆□ 

  雑木山いきいきとあり木の芽時  優嵐

周囲から山桜の花がほとんど消え、変ってさまざまな
緑が目につくようになっています。日に日に姿が変り、
このごろの山は毎朝見上げるのが楽しみです。
ありとあらゆる緑色を目にできます。

山の花の主役は山桜からコバノミツバツツジに変って
います。姫路周辺での山地のツツジといえば、この木
です。葉が枝先に三枚そろってつくことからこの名が
ついたのでしょう。

森でキツネに会いました。野鳥は見かけても野生動物
にはめったに会いません。それでも猪、鹿、キツネ、
タヌキなどにはときおり出会います。

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□◆□…優嵐歳時記(1430)…□◆□

  軒先をかすめ反転朝つばめ  優嵐

朝、窓を開けると、目の前を燕が横切っていきました。
営巣場所を探しているのでしょうか。人を恐れる風は
まったくなく旋回してはまた戻ってきます。

すっと伸ばした翼が美しく、燕の自在な飛び方は、もし
自分が飛べるのならこんな風に飛んでみたいと思わせて
くれます。

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□◆□…優嵐歳時記(1429)…□◆□

  頬白の重さに揺れる花の枝  優嵐

頬白は留鳥ですが、春になると繁殖期を迎え梢で高らか
に囀って縄張り宣言をします。スズメほどの大きさで、
その姿がよく目につくことから春の季語になっています。

頬白という名前ですが、あれを頬とよんでいいものか、
顔にあたる部分の眉と嘴の付け根が白く、顔全体は白と
黒の縞模様をしています。

澄んだ囀りは「チョッピーチチロ、ピピロピィー」などと
聞こえ、これを「一筆啓上、仕り候」と聞きなしたりも
しています。

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□◆□…優嵐歳時記(1428)…□◆□

  降る花を受けとめたくて木の下へ  優嵐

昨日の雨にもかかわらず、意外にも周りには残っている
花がかなりあります。家の前の桜はもっとも散り急いで
いる部類といえそうです。

随願寺本堂前の桜は満開から落花へと移り変わりつつ
あります。桜の下に座っていると、はらはらと花びらが
舞い降りてきます。

梅林の横にある山桜の大木もほぼ満開です。ここでも
淡雪が降るように間断なく花びらが降ってきます。木の
真下まで行って、掌で花びらを受けとめました。

簡単そうですが、掌を持っていく勢いが強すぎると、
ふわりとかわされてしまいます。しばらく夢中になって
山桜キャッチを楽しみました。

080411

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