優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年05月

□◆□…優嵐歳時記(1478)…□◆□

  かの人の香水の香の書に残り  優嵐

香水をつける習慣はありませんが、すれ違ったときに
ふと香るというのはいいものです。香水はつけている
人の体臭と混じり合って独自の香りになるため、
つけてみなければ香りはわからないようです。

日本では、今のところ欧米ほど香水は普及していません。
食習慣や入浴の習慣、もともとの体質の違い、文化や
匂いへの敏感さなどから、それほど香水の需要が高く
ないためでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(1477)…□◆□

  水入れて万緑映す田となりぬ  優嵐

家の周辺はこの週末が田植えというところが多いようです。
田に水が入り始めると、周辺の景色が変わります。代田
となり、やがて早苗が植えられて植田になります。

苗が育って水面を覆うようになるまでのしばらくの間は
まわりがにわかに水郷地帯になったような雰囲気を
楽しめます。日が最も長い頃でもあり、夕焼け空を映す
田の風景は、瑞穂の国ならではのものです。

□◆□…優嵐歳時記(1476)…□◆□

  雨近き空は薄鈍ゆきのした  優嵐

四国が梅雨入りしたようです。平年より一週間、昨年より
半月ほど早い梅雨入りです。近畿地方の梅雨入りも
今年は早そうです。

昨夜の雨はそれほど長く降らず、日中は曇り空でした。
薄鈍(うすにび)は鈍色の薄いもののことで、淡い
ねずみ色を意味します。

雨模様の空の下で鴨足草(ゆきのした)が咲いています。
五枚の花弁のうち下の二枚が長いという独特の面白い
花の形をしています。

080529

□◆□…優嵐歳時記(1475)…□◆□

  降りだしぬ梅雨の走りとなる気配  優嵐

朝からうすぼんやりとした空模様でした。雨になるとの
予報があたり、夕方から雨が降っています。明日も傘
マークが出ており、そろそろ走り梅雨かと思います。

五月は快適な季節です。しかし、一年中五月だと逆に
めりはりがなくて飽きてしまいそうな気もします。
春夏秋冬、さらには二十四節気、七十二候と変化に
富んだ日本の四季なればこそ、五月のありがたさ、です。

□◆□…優嵐歳時記(1474)…□◆□

  半袖になりて卯月の蚊に喰われ  優嵐

五月も末になり、しだいに夏らしい気温になってきて
います。ナイターでテニスをするときに、今年初めて
半袖のポロシャツを着ました。

すると、さっそく肘の内側を蚊に二ヶ所も刺されて
しまいました。次からは防虫スプレーを持って行きます。

日没が遅く、今の時期は本当にのびのびとした気持ちに
なれます。昼間は窓から緑を眺め、夜はテニス、その後は
生ビール、夏の幸福、ですね。

□◆□…優嵐歳時記(1473)…□◆□ 

  おのが場所おのが風受け青葉揺る  優嵐

晴れて気持ちのいいお天気でした。終日おだやかな風が
吹き、窓を開けてそこから見える風景を楽しみました。
前山の緑を双眼鏡で見てみると、遠くからは同じように
見えていたものが、いろいろな樹木でできているのが
わかります。

風に吹かれて青葉若葉がそれぞれに揺れているのが
よくわかりました。同じように見えてみな微妙に違う、
生えた場所を選ぶことはできずその場所でその木なりに
精一杯葉を茂らせている…、生きるというのは人間も
植物も同じだ、とふと思いました。

人間はあれこれ不平や不満をいいますが、植物はただ
黙ってそこで風に揺れているだけです。

□◆□…優嵐歳時記(1472)…□◆□

  蛙鳴き応えて緑雨降り初むる  優嵐

昨日は、お昼前から雨が降り始めました。朝から曇って
いましたが、蛙の鳴声が聞こえ始めたな、と気づいた
とたんザーッと降りだしました。さすが蛙です。

このあたりでは、周辺の田植えは主に六月に入ってから
です。田に水が張られるようになると、蛙の鳴声が盛ん
になります。

今朝も雨は残っていましたが、お昼前にはあがりました。
この時期に降り続く長雨を「卯の花腐し」と季語では
いいます。卯の花の咲く時期で、その花を朽ち果てさせる
という意味からこの名がついています。

□◆□…優嵐歳時記(1471)…□◆□

  鶯の声に誘われ明易し  優嵐

夜明けの時間が早くなっています。昨日の朝は早く目が
覚めて、暁の空を楽しみました。夜空に明るさが兆し
始め、やがて曙色に東の空が染まります。

しだいに空全体が明けてきたとき、南の空に白く光を
失い始めた月が残っていました。早朝は野鳥の声が、
よく聞こえる時間帯です。烏、雀も鳴きますが、今の
時期ではやはり鶯の声が一番です。

朝日が昇ってきたので、ふと思い出して月のあった空
を見上げると、すでに忽然と姿を消していました。

□◆□…優嵐歳時記(1470)…□◆□

  薫風に烏ゆっくり羽づくろい  優嵐

お昼時、窓から見える電柱の上にハシボソガラスが一羽
とまってさかんに羽づくろいをしていました。嘴で羽の
すみずみまでさぐり、ていねいにグルーミングです。

人間のような手はありませんから、その代わりになる
のが嘴です。お腹や背中にも嘴をまわし、30分以上も
そうしていました。

その様子が面白く、しばらく双眼鏡で眺めていました。
真昼の日差しに漆黒の羽が光り、カラスもこうして見ると
なかなか美しい鳥だと思いました。

□◆□…優嵐歳時記(1469)…□◆□

  ピラティスで身を目覚めさせ夏の朝  優嵐

最近、ピラティスをやっています。本を参考にした自分流
ですけれど。長い時間を必要とせず、細切れでもひとつの
動作に集中すればそれでいいので、楽にできます。

以前から入浴後にストレッチングをやっていまして、
股関節や体幹部の柔軟性はそれなりにあります。日々
わずかなことでも続けると効果が確実に上がることは、
このストレッチングで経験済みです。

身体の深部にある筋肉を鍛えるというピラティス、
リハビリとして始まったものだけに激しい動きはなく、
呼吸法とゆっくりした動作を正確におこなうだけです。

このページのトップヘ