優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年06月

□◆□…優嵐歳時記(1497)…□◆□

  若竹に節あることのすがすがし  優嵐

初夏のころの筍はすっかり皮を脱ぎ、竹に姿を変えて
います。若竹のみずみずしい色は梅雨空の下でも
さわやかです。

今日は雨が降ったりやんだりの梅雨らしいお天気でした。
明日も雨の予報です。明日は夏至ですが、太陽の顔を
見ることはなさそうです。六月も後半に入り、梅雨が
本格化する時期です。

□◆□…優嵐歳時記(1496)…□◆□

  半ズボン誰に気兼ねもなき自由  優嵐

家で仕事をしていますので、今は一日中素足に半ズボン
です。今の仕事は人に会う必要がないため、服装は
まったくラフなものです。

世の中のさまざまなニュースを耳にして、この世で一番
難しいのは、自分以外の人と折り合いをつけてうまく
やっていくということなんだろうな、と感じています。

親子、兄弟姉妹、夫婦など、非常に身近な人間関係の
破綻がとんでもない事件につながることも珍しくない
ようです。身近な人間関係ほど近親憎悪というか、
切っても切れない関係から生まれる苦しみがいろいろ
あるのだろうと思います。

□◆□…優嵐歳時記(1495)…□◆□

  花くちなし咲き匂う夜となりにけり  優嵐

夜、帰宅していたら甘い香りに気がつきました。くちなし
です。香りはかなり遠くまでとどきます。真っ白に咲いた
花を思いました。すぐに黄色くなってしまいますが。

明日は雨になる模様です。湿気がさらに匂いを濃厚に
しているようです。明日は満月。昨夜は少し潤んだ月を
見ましたが、今宵は雲が厚く月の姿は見えません。

080618

□◆□…優嵐歳時記(1494)…□◆□

  明急ぐ神童八歳の交響曲  優嵐

モーツァルトの全作品を収めたCD全集を購入しました。
まず一枚目の交響曲集を聴きます。ケッヘル番号16〜45
が収録されています。モーツァルト8歳から11歳のときの
作品です。

後期の交響曲に比べると素朴な印象ですが、曲調は
まぎれもないモーツァルトで、これを小学生が作曲した
のかと思うと、やはり史上まれにみる早熟の天才です。

全集のCDは170枚あり、一日一枚ずつ聴いていっても
すべて聴き終わる頃には年末です。「明急ぐ」は短い
夏の夜をさす季語です。


Wolfgang Amadeus Mozart: Complete Works [Box Set]

□◆□…優嵐歳時記(1493)…□◆□

  五月雨に眠り朝日に目覚めけり  優嵐

昨夜は夜に入ってから雨が降り始めました。静かな雨が
路面を濡らし、街灯の光が反射していました。しかし、
長くは降らなかったようで、今朝は朝日がさんさんと
さす朝になりました。活動する昼間は晴れ、眠りにつく
あいだに雨が降る、こういうのがいいですね。

梅雨の間の闇の暗さをさす「五月闇」という季語が
あります。雨なので星も月も見えません。今と異なり
電気もなかった時代では、そうなると本当に暗い夜に
なったことでしょう。

今では光が溢れすぎて、かなりの田舎か外国へでも
行かない限り、全く人工的な灯りが見えない場所を探す
のは難しくなりました。

□◆□…優嵐歳時記(1492)…□◆□

  梅雨曇りカラヤンの行進曲を聴く  優嵐

雨は落ちませんでしたが、どんよりとした曇り空の一日
でした。行進曲は軍楽隊の吹奏楽で演奏されることを
想定して作曲されています。軍隊を行進させるための
曲ですから、元気よく勇壮なものがほとんどです。

今日聴いていたのはカラヤン指揮のベルリンフィル管楽
アンサンブルと管弦楽団が演奏した曲を集めたCDで、
一味違う行進曲を楽しみました。「双頭の鷲の旗の下に」
「ラデツキー行進曲」「旧友」といった曲は、誰でも
メロディーを聴けば、ああ、あれ、と思い浮かべられる
でしょう。

□◆□…優嵐歳時記(1491)…□◆□

  植田より夜の蛙の声さかん  優嵐

岩手県と宮城県で大きな地震がありました。こちらでは
まったく揺れは感じられず、ネットのニュースを見て
初めて地震を知りました。日本はそれなりに広いのだと
思いました。被災された方にはお見舞い申し上げます。

地震国だけあって、毎年どこかでかなりの規模の地震が
発生します。遅かれ早かれ首都圏で大きな地震が起きる
ことはわかっており、一時話題になった首都機能移転の
話はどうなっているのだろう、と思います。

東京一極集中が最近ますます激しくなっています。もし
阪神淡路大震災なみの直下型地震が、白昼に発生したら、
と考えれば、やはりもう少しいろいろなものを分散させた
方がいいのではないでしょうか。

□◆□…優嵐歳時記(1490)…□◆□

  夏蒲団ふしぎな夢を見て目覚む  優嵐

目が覚めてから考えてみると、夢の内容は辻褄のあわない
ことがほとんどです。ただ、夢を見ている間は突拍子も
ないことでも、おかしく思わず進んでいきます。

夢枕に立つなどという言葉があるように、夢はいろいろ
不思議な現象と関係しています。意識しているしていない
に関係なく、そのときの精神状態と夢にはつながりがある
ように思います。

似たような夢をある時期集中的に見たり、正夢や予知夢
と呼ばれる夢もあります。誰もが見るといわれる夢で
ありながら、他の人がどんな夢を見ているのかは再現
不可能なのがおもしろいところです。

□◆□…優嵐歳時記(1489)…□◆□

  山川も草木も眩し梅雨の晴れ  優嵐

梅雨の間の晴間のことを昔は「五月晴」といいました。
五月をサツキと読む場合は旧暦の五月を指し、梅雨の
期間に相当します。しかし、今では太陽暦での五月の
さわやかな晴天を五月晴れと呼ぶようになっています。

同様に、五月雨(さみだれ)の五月は旧暦の五月であり、
梅雨の時期の雨を指します。こちらはまだ新暦の五月
として使うようにはなっていません。

梅雨の時期であるため、日差しの明るさを忘れがちですが、
晴天になると、あらゆるものが自ら光を発しているごとく
日の光に輝いているさまに驚きます。

□◆□…優嵐歳時記(1488)…□◆□

  扇風機組み立て風を組み立てる  優嵐

扇風機を出しました。扇風機が部屋に出てくると夏も
本番です。エアコンフリーの生活なので、冬は炬燵、
夏は扇風機が相棒です。大都会の真ん中ではそんな生活は
無理でしょうが、窓を開けると昼間は風がとても心地よい
のです。

兼好法師が『徒然草』に「家の作やうは夏をむねとすべし」
と書いています。風さえ通れば暑くてもそれほど苦には
なりません。伝統的な日本家屋というのは、風通しと
湿気対策を考えて作られていたように思います。

あらゆるものが西洋化した明治時代でも、さすがに家の
中で靴をはくという習慣は日本人に定着しませんでした。
ネクタイや背広といったビジネススーツ、あれは緯度の
高い湿気の少ない国だからこその服装であり、熱帯並みの
日本の夏にふさわしい服装とは思えません。

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