優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年09月

□◆□…優嵐歳時記(1587)…□◆□

  曼珠沙華咲くころ生まれし子の八つ  優嵐

台風の影響はほとんどなく過ぎました。今年は台風
らしい台風が来ないうちに秋が過ぎていきそうです。
台風の影響か、晴れて気温が高く蒸し暑い一日に
なりました。

すでに田はかなり稲刈りが済んでいます。切り株が
並ぶ田のあぜに曼珠沙華が咲き始めています。今日は
お彼岸の入りです。彼岸花との名前どおりの開花です。

□◆□…優嵐歳時記(1586)…□◆□

  大嵐近づく気配の秋曇  優嵐

台風13号が接近しています。昨夜は雨、今はいったん
やんでいますが、いつ降りだしてもおかしくない空模様
です。

金融危機が続いています。AIGは公的資金援助を受けて
なんとか乗り切ろうとしていますが、それにもかかわらず
市場は暴落。これがさらに金融機関の体力を奪い、
モルガン・スタンレーが次の標的にされているようです。

英のフィナンシャル・タイムズは「世界的に信用市場が
パニック状態。銀行間市場は機能まひ、米短期国債
利回りは第二次大戦以来の水準に低下」と18日付で
伝えています。

昨年春から続いているサブプライムローン問題の、これが
クライマックスではなく、金融恐慌の始まりにすぎない
かもしれない、というのは恐ろしいことです。

□◆□…優嵐歳時記(1585)…□◆□

  月いまだ光を残す秋の朝  優嵐

少し早めに起きて窓から西の空を見ると、昨夜眺めた月が
かかっていました。空はもう明るく、雲が朝日の色に
染まり始めていました。静かで、清らかな空気が心地よく
朝はいいものです。

日中はまだ晴天なら蛇口をひねると水道水が暖かかったり
しますが、朝夕はすっかり秋です。日中も涼しくなると
はやくも早朝は肌寒く感じられるようになります。

□◆□…優嵐歳時記(1584)…□◆□ 

  ボレーしてスマッシュをして月を見る  優嵐

今夜の月もきれいでした。昨日が月齢でいえば満月
だったようです。ナイターでテニスをしていると、
ほぼまん丸に近い月が昇ってきました。

地平線に近い位置の月が大きく見えるのは目の錯覚だ
そうです。ただ、月は少しずつ遠ざかっているらしく、
恐竜がいたころ彼らはもっと大きな月を見ていたでしょう。

今から何百万年か後には肉眼で見る月はずっと小さくなり
そのうち地球の引力圏から離れてしまうのかもしれません。
そうなったら、地球環境はどのように変るのでしょうか。

□◆□…優嵐歳時記(1583)…□◆□

  傾ける日差しの中に早稲を刈る  優嵐

台風が接近している影響か今朝は朝から雨になっています。
降り方は降ったりやんだりの穏かなもので、今は虫の声も
聞こえています。今日のお天気を見越して、昨日の夕方
稲刈りをしている田がありました。

この週末はアメリカの金融危機のニュースに注目して
いました。サブプライムローン問題で経営危機に陥った
金融機関が続出していますが、ここにきて証券全米4位の
リーマン・ブラザーズが破産、3位のメリルリンチは
バンク・オブ・アメリカに救済買収されました。

全米保険首位のAIGの経営も不安定になっています。
「流血の日曜日」と米のメディアは伝えているそうです。
今日の日本は株式市場が休日でしたが、アジアも欧州も
軒並み大幅な下落に見舞われています。

これで事態が収まればいいですが、さらに悪化すると金融
恐慌にもなりかねません。第二次世界大戦のきっかけは
アメリカに始まった世界恐慌でした。世界中で景気後退が
鮮明になっており、こういうときはきな臭いことが起こり
やすくなります。

□◆□…優嵐歳時記(1582)…□◆□

  晴れし夜に名月はやも高々と  優嵐

今夜は十五夜です。姫路では晴れて名月を楽しむことが
できます。月の出を見ようと思っていましたが、ふと
気づいたときにはすでに月は高く山の上に昇って
いました。

陰暦葉月の満月であり、芋や枝豆を供えることから
「芋名月」とも呼ばれます。十五夜も農耕上の重要な
節目でした。月が出た明るい晩のことを特に「良夜」
とも呼びます。

□◆□…優嵐歳時記(1581)…□◆□

  湯にあればさらに近しく虫の声  優嵐

昼間はまだミンミンゼミの声が聞こえたりもしますが、
夜になると秋の虫たちの声いつか主役になっています。
虫の声が聞こえると、静けさがよりいっそう際立つ
ように思えます。蝉の声のようなけたたましさがない
からでしょう。

桜が人知れず紅葉し、秋一番の落葉としてもう半分
くらい葉を散らしているものもあります。このひっそり
具合は花と対照的です。他の木々が紅葉するころには
すっかり裸になっているのが桜です。

□◆□…優嵐歳時記(1580)…□◆□

  一夜の夢一生の夢木槿咲く  優嵐

木槿(むくげ)はアオイ科の落葉低木です。花の色は
淡紫、淡紅、白色などいろいろあり、白色で中心部が
紅色のものを底紅と呼びます。

樹高は3mあまり、人家の生垣、畑垣として植えられ、
花をつけるのは夏から秋にかけてです。たいてい一日
で萎んでしまいます。

「槿花一朝の夢」はムクゲの花に栄華のはかなさを
たとえたものです。唐の詩人白居易の詩には「槿花
一日の栄」とあります。

080912

□◆□…優嵐歳時記(1579)…□◆□

  テニス終え弓張月のやや西へ  優嵐

ナイターでテニスをしていると夕空に上の弓張がかかって
いました。やや風があり、秋らしい月を楽しみながら
プレーしました。

このころをさす「夕月夜」という季語もあります。
夕暮れの残照の中に月が昇ってきて、名月を待つ心と
ともに、優しい詩情をかきたてられる言葉です。

□◆□…優嵐歳時記(1578)…□◆□

  そば茶飲み秋の句会の座にありぬ  優嵐

椿山荘のそば処「無茶庵」のお蕎麦はさすがに美味でした。
私は何でもおいしくしくいただけて、味にはうるさくない
のですが、ここのお蕎麦(天麩羅も)のおいしさは格別
でした。そのあと、蕎麦湯と蕎麦茶をいただきました。

東京は暑く、バンダナで汗をぬぐいつつ歩きました。
それでも神田川は散りつつある桜紅葉を浮かべてゆっくり
流れ、椿は実をつけていました。

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