優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年10月

□◆□…優嵐歳時記(1624)…□◆□

  トーストにとろけるチーズ秋深し  優嵐

十月が今日で終わり、あと二ヶ月で今年が終ります。
一分一秒というのは短いですが、積み重なると凄いもの
だなと思います。まあ、時空が生まれたときから
この調子で時間は進んできたのですが。

一分一秒ずつ逆にたどっていけば、人類発祥の時代にも、
恐竜が闊歩していた時代にも、それどころか宇宙誕生の
瞬間にさえ戻れるのだと思うと、さらに凄さを感じます。

こういうどうでもいいこと、自分の人間的肉体的スケール
から遠く外れたことを考え思い巡らすのが好きです。
人間は有限の存在だけれど、思考力や想像力だけは
どこまでも、宇宙開闢のさらに向こうまで飛んでいける
のですから。

081031

□◆□…優嵐歳時記(1623)…□◆□

  蒼穹へ照葉をかかげプラタナス  優嵐

日本でプラタナスと呼ばれている木は厳密に言うと三つ
あります。スズカケノキ、アメリカスズカケノキ、
モミジバスズカケノキです。このうち日本で最も多く
植えられているのは、モミジバスズカケノキです。

モミジバスズカケノキは前二者の雑種で、イギリスで
つくられたといわれています。姿の美しい落葉高木で、
公園や並木によく見られます。この季節になると赤や
黄色に色づいて、街路を彩ります。

照葉とは木々が色づいて明るく映えるさまを表します。
輝く紅葉の美称です。真っ赤に色づいた照葉を透かして
見ると空の青さがさらに透き通るようです。

081029

□◆□…優嵐歳時記(1622)…□◆□

  陽を透かす柿の紅葉や古き里  優嵐

晴天の昼間、MTBで散歩してきました。スピードを
だして坂道を下るのも楽しいですが、軽快さを生かし
集落の小道をこまごまと巡って軒先の花や畑の様子
などを見るのもいいものです。

秋の空は青く澄んでいます。夏だと日射の影響で
すぐに雲が発達しますが、秋は湿気が少なく日射も
弱くなり、午後になっても青空の広がりが続きます。

夕日が沈む位置が随分南に下がってきました。夏至の
頃は朝日が部屋の奥まで差し込んでいましたが、今は
午後の日差しが早くから部屋に入るようになっています。


081028

□◆□…優嵐歳時記(1621)…□◆□

  秋空に槌音高く杭を打つ  優嵐

いいお天気で、昼間に外へ出ると、少し歩くだけで
暑ささえ感じました。シャツ一枚、中には半袖の人も
見かけ、暖かいのだ、とあらためて実感です。

つい一ヶ月ほど前までカー用品を売る店だった場所が
いつの間にかすっかり更地になり、次の建物を建てる
準備が進んでいました。

店も新陳代謝があります。ずっと残っている店もあり
ますが、すぐに姿を消してしまうものもあります。
テナントが代わって前の建物を改装して使っている
ところもあれば、建物ごと変わってしまうところも
あります。

081027

□◆□…優嵐歳時記(1620)…□◆□

  流れゆくものはわが身とわが秋思  優嵐

時々、ここにこうしていることがとても不思議なことに
思えます。物質的な部分でいえば私を構成している分子は
一年前とは全く違うものです。どこかの肉や魚や野菜が
今の私の構成成分になっています。

今この瞬間にもどんどん変っているはずです。物質が
こうして姿を変えつつある中にあって、なぜか自分は
「自分」という統一した意識を持っています。それとも
これは単なる錯覚なのでしょうか。

今朝はとても奇妙な夢を見ました。夢はだいたい奇妙な
ものですが、中でも変な夢でした。夢を見ている間は
意識はどうなっているのでしょう。とりとめもなく
いろいろと不思議について考えるのも秋の夜長です。


081026

□◆□…優嵐歳時記(1619)…□◆□

  見渡せる河岸段丘出落栗  優嵐

周囲の里山には栗の木がたくさんあります。MTBでその
そばを走っていると、道端に落ちた栗の毬を見かけます。
中身は空になっていて、おそらく猪などが食べたのだと
思います。出落栗(でおちぐり)とは、自然に落ちた栗
をさす語です。

秋も終りが近く、野生動物は冬に備えてたっぷりと食べ
脂肪を蓄えておかなくてはいけません。人間もその名残が
あり、秋から冬にかけて新たに体重を減らそうと試みる
のは成功しにくいそうです。自然は脂肪を蓄える方向に
動いているのですから。

十月の最終週を迎えますが、暖かです。まだ薄手の
スウェットシャツ一枚で充分過ごせます。少し動くと
汗ばむほどです。冬物衣料も暖房器具もいらない日が
しばらく続きそうです。


081025

□◆□…優嵐歳時記(1618)…□◆□

  秋の水風の姿を映しけり  優嵐

金融危機の勃発以来、世界中で株式・為替の激動が続いて
います。日経平均株価がとうとうバブル崩壊後の最安値
7,603円ぎりぎりまできました。急激に進む円高と株安が
相互作用を起こし、マイナスのスパイラルです。

夜間取引の先物ではなんと7,100円代をつけましたから
これで下げ止まるとは思えません。株式の世界では、
バイ・アンド・ホールドと呼ばれる、買って持ち続ける
戦略が有効といわれます。

株式は基本的に右上がりで成長を続けるという経験則に
よるものですが、これは日本の株式市場では疑問符が
つくと言わざるをえません。日経平均の過去最高値は
89年12月29日の38,957円です。現在のほぼ五倍。

以来、何度か2万円台に戻ることがありましたが、
二十一世紀に入ってからはそれすらなくなっています。
株式の上では、日本は長期低落傾向のままということです。


081024

□◆□…優嵐歳時記(1617)…□◆□

  ひつじ田に煙の見えし夕べかな  優嵐

昨日から降り始めた雨が一日降り続いていました。かなり
長く晴天が続いたので、雨もまたよしという感じです。

最近、インターネットで英語の勉強をしています。
iKnow!というサイトなのですが、まるでゲームを楽しむ
ように学習を進められます。

カリキュラムもコンテンツもよく考えられており、
飽きずに次々やってみようという気になります。しかも
うれしいのは、これが全部無料だということです。

高額な英語の教材を買うよりずっと効果的な勉強が
できると思います。ビギナーから上級者向けまで幅広い
教材が揃っています。当分の間ここで英語の腕を磨く
ことができそうです。


081023

□◆□…優嵐歳時記(1616)…□◆□

  世界史を読む静かなる紅葉の雨  優嵐

午後から雨が降り始めました。周辺の山ではようやく
紅葉が目だち始めました。暖かい地方ですから、里で
本格的に紅葉が楽しめるのは立冬を過ぎてからです。

テレビを持っていないのでニュースはすべてWebの文章を
読んで仕入れています。それで特に問題なくきましたが、
昨日、思わぬ盲点を突かれました。

大阪府の橋下知事のことを、漢字の読みの印象から
ハシシタと言ったところ、「あれはハシモトと読むんだ」
と教えてもらいました。ハシモトに該当する漢字は
”橋本”か”橋元”と思っていたので…。

日本語の難しさ、特に人名や地名に至っては、何と読むか
を確認しないとこういうことになるなあと痛感しました。

081022

□◆□…優嵐歳時記(1615)…□◆□

  十月の薔薇は明るき庭にあり  優嵐

近所にはここ数年のうちに造成された住宅地がいくつも
あります。もちろん、古くからの集落もあります。
MTBで走っていてそうした古い集落に入ると、落ち着いた
空気を感じます。

新興住宅地というのは、自動車で移動することを前提と
して造られていますから、道が広く、家もカラフルです。
ただ、やはり歴史がないために芝居の書割のような印象
を受けます。

古い集落は、人が歩くこと、農作業の用途に沿った家作り
がなされています。道幅は狭いのですが、それぞれの
家の前庭は広く、庭には柿や無花果などがあり、季節の
花々がゆったり植えられています。

薔薇が今は一番目を引きます。やはりあの豪奢な姿は
女王の名にふさわしいですね。

081021

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