優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年11月

□◆□…優嵐歳時記(1644)…□◆□

  六甲も四国も晴れて冬日和  優嵐

木枯しのやんだ増位山の山頂へ行ってきました。空気が
冷たく澄んで、大変見通しがよく、東は明石海峡大橋、
六甲山、北は播磨北部から丹波へ続く山なみ、南は
播磨灘と淡路島、さらにその彼方にうっすらと四国も
見えました。

日が短くなっていますので、お昼ごはんから夕方までの
時間がとても短く感じられます。同じ二十四時間のはず
なのに、なんとなく気ぜわしくなるのは、やはり
日照時間のリズムで暮らした長い時間の記憶が体内に
あるからでしょう。

081120

□◆□…優嵐歳時記(1643)…□◆□

  色葉まだ残して梅の剪定され  優嵐

増位山の梅林では梅の枝の剪定が終わっていました。
梅は実を収穫したあとの六月末と初冬のころの年に二度
枝を剪定するようです。

切られた枝がまだ色づいた葉をのこしたまま梅林の広場に
積み上げてありました。梅の収穫や剪定の作業をされて
いるところに行き会ったことはありませんが、丁寧に
手入れをされているからこその花や実であるなあと
感じました。

081119

□◆□…優嵐歳時記(1642)…□◆□

  陽の色のジャケットはおる木枯しに  優嵐

急に寒くなりました。風の音を聞き、落葉の舞い散るのを
見て、木枯し1号かと思いました。あまりに暖かい日が
続いていたのですが、カレンダーを見れば十一月も
すでに後半です。

ナイターテニスのコートに出ると、風が急に冷たくなった
のを感じました。コートの周囲の落葉樹は紅葉をライト
アップされた格好です。しかし、この寒さで落葉を急ぐ
でしょう。ゲームが終わって帰るとき、車の温度計は
五度を示していました。冬です。

081118

□◆□…優嵐歳時記(1641)…□◆□

  山歩くことの楽しき黄落期  優嵐

「黄落」は晩秋の季語ですが、暖かい姫路周辺では今が
黄葉の盛りです。増位山では、赤く色づくものより、
黄色く色づく木の方が多いようで、黄葉した木々の下を
通ると黄色に輝くトンネルの下を通る心地がします。

昨日、自然歩道の途中で猪に会いました。落葉を踏む音が
聞こえてきたと思うと、目の前を一頭の猪が横切って
いきました。ずんぐりしていますが、動きは素早く、
さっと消えてしまいました。

081117

□◆□…優嵐歳時記(1640)…□◆□ 

  吾住めり柿の落葉の舞うところ  優嵐

敗戦後、サハリンから引き上げてきたある人が日本に
戻って一番心にしみたのは柿落葉の色だった、と語られた
そうです。柿は日本特産の果実、異国に長く暮らした人
には、その色から母国をしみじみと感じられたのかも
しれません。

YouTubeと初音ミクのつながりで、一度聞いたら恐らく
忘れない不思議な歌に出会いました。世界的なブームに
なって久しいようです。日本のアニメ『BLEACH』の
井上織姫が長葱を振り回すシーンと組み合わされて
フラッシュアニメになり、ネットを通じて広まったとか。

初音ミクも歌っていますが、本家の歌はこちら。西洋人
のグループだなあとはわかりますが、最初に聴いたとき
には、まるで呪文のように思えました。

Loituma - Ieva's Polka

□◆□…優嵐歳時記(1639)…□◆□

  青空へほつほつ咲きし冬桜  優嵐

随願寺の境内にある冬桜が花をつけています。小春日和に
ふさわしい姿です。お天気が崩れるとの予報でしたが、
一日晴天でした。

YouTubeで動画をあれこれ見て午後の時間を過ごしました。
驚いたことに初音ミクに歌わせた曲がいくつもアップ
されています。軍艦マーチからモーツァルトの「魔笛」
の夜の女王のアリアまでいろいろあって楽しめました。

初音ミクでこんなことができるのですね。ドイツ語で
朗々とアリアを歌うのには仰天しました。次々聴いている
うちにすっかり時間がたってしまいました。

081115

□◆□…優嵐歳時記(1638)…□◆□

  朴落葉かさりと時の重なりぬ  優嵐

落葉樹の落葉の中で単独で季語になっているのは柿落葉、
朴落葉、銀杏落葉です。朴落葉は大人の足跡ほどの
大きさがあり、森の中の落葉のうちでもひときわ目を
ひきます。

晩秋から初冬にかけて褐色になり、からからに乾いて
散っていきます。静かな森の中ではその音が意外によく
聞こえ、大きな落葉を踏むとその音が森に響きます。

081114

□◆□…優嵐歳時記(1637)…□◆□

  冬菊や庫裏より漏れくる人の声  優嵐

今日も晴天でした。増位山随願寺の境内の一画に菊が
植えられており、側へいくと菊のいい香りがしました。

風もなく日差しが暖かく、山道を歩いていると汗ばんで
きます。身体を動かして汗をかくというのはどの季節
でも気持ちのいいものです。

081113

□◆□…優嵐歳時記(1636)…□◆□

  冬紅葉向かい合うとき静かなる  優嵐

ここ数日雨や曇がちの日が続いていましたが、今日は
久しぶりに雲ひとつない真っ青な空が一日広がって
軽やかな冬晴れを楽しみました。

日本海側では冬になると灰色の雲が垂れ込めた日が
続くと聞きます。瀬戸内海気候の中で生まれ育って
いるので、冬はやはり青空が親しく感じられます。

081112

□◆□…優嵐歳時記(1635)…□◆□

  冬林檎スライスせしをトーストに  優嵐

ちらりと読んだものがその後生活の中で役に立つという
ことが時々あります。スライスしたりんごをトーストに
乗せるというのを、インターネットの書評で目にして
やってみたら、これがなかなか美味しいのです。

りんごを四分の一に割ってそのうちのひとつをさらに
くし型に薄くスライスし、トーストに載せるというだけ
です。りんごの甘酸っぱさがトーストに微妙にマッチし、
私にとっては好みの味です。

081111

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