優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年11月

□◆□…優嵐歳時記(1634)…□◆□

  森ふたたび歩きし冬のはじめなり  優嵐

久しぶりに増位山の自然歩道を歩いてきました。森の
落葉樹は紅葉して葉を落とし始めています。足元には
どんぐりがたくさん転がっていて、森全体が冬支度の
色合です。

夏から秋にかけては暑いので森へは行きませんでしたが、
これからは低山の森歩きには最適のシーズンです。
落葉が進むと、空が透けて見えるようになり、日差しが
森の奥まで入って、明るくなります。

これから森が若葉で覆われるころまでまたこの森の日々の
変化を楽しむことができます。今日は見通しがよく、頂上
から播磨灘の彼方に浮かぶ淡路島がはっきり見えました。

081110

□◆□…優嵐歳時記(1633)…□◆□

  初冬の薔薇淡きバイオレット  優嵐

曇りと雨の週末でした。少し気温も下がり冬らしさが
感じられるようになっています。とはいってもまだ薄い
上着をはおれば十分で、セーターやオーバーコートなど
には出番はありません。

図書館へ行く途中で薔薇を見ました。青い薔薇は園芸家
の夢だと聞いたことがあります。ただ、遺伝子組み換え
の技術によって青い薔薇が作られたというニュースを
聞いたような記憶もあります。

081109

□◆□…優嵐歳時記(1632)…□◆□

  陸橋を越え十一月の低き雲  優嵐

オートバイの自賠責保険の更新に行ってきました。
任意保険はインターネット経由で入っていますが、
自賠責保険はそれがまだできないようです。理由は
よくわかりませんが。

免許の更新にしても自賠責保険の更新にしても、もっと
ネットを活用し手軽にできるようにならないかと思います。
特に期間中に何の問題もなかった人にはそういう制度
利用を考えていいのではないでしょうか。

暗号技術が進み、買物も電子マネーも生活に溶け込んで
います。役所の手続きや選挙などインターネットを活用
して効率化していただきたいものはたくさんあります。

081108

□◆□…優嵐歳時記(1631)…□◆□

  あたたかき雨降る朝や冬に入る  優嵐

立冬です。昨夜から降りだした雨が朝になっても残って
いました。シャツ一枚でいてもいいような暖かさです。
昼前には雨があがり、ヒヨドリの声が盛んに聞こえて
います。

七十二候では、立冬の最初の五日間を「水始氷
(みずはじめてこおる)」と呼びますが、まだまだ水が
凍るような気温ではありません。

081107

□◆□…優嵐歳時記(1630)…□◆□

  半袖で子らは帰るよ冬隣  優嵐

明日が立冬ですが、暖かく、先ほど半袖で下校中の
小学生たちを見かけました。東北や北海道ではそれでも
冬らしくなっているのでしょうね。温度への感受性が
北国の方とはかなり違う、とは思いますけれど。

南北に長い国であるため、それほど面積が広くないにも
かかわらず、さまざまな季節の営みが楽しめるのは
日本の魅力です。

081106

□◆□…優嵐歳時記(1629)…□◆□

  さっくりと割りし林檎の白さかな  優嵐

林檎は秋の果物の代表格です。好きですし、スーパーで
手軽に手に入るので、毎日一個は食べています。

日本には明治に入ってからアメリカ経由で渡来しました。
青森県の旧弘前藩士が栽培を始めましたが、その妻が、
初めて稔った林檎を食べてその奇妙な味に思わず吐き出し、
「こんなもの誰が買ってくれるのか」と泣き出したとの
記録があるそうです。

しかし、林檎はその後すっかり日本の果物として定着し、
品種改良によって数多くの種類が生み出されました。

081105

□◆□…優嵐歳時記(1628)…□◆□

  晩秋の山下りて入る露天風呂  優嵐

昨日の文化の日は雨になるのかと思いましたが、お昼前
から晴れてきて、さすがに晴れの特異日だと感じました。

山歩きの後の楽しみは、最寄の日帰り温泉へ行って汗を
流すことです。中でも露天風呂は家のお風呂では
味わえない開放感があって、大好きです。

周囲の紅葉や空に浮かぶ雲を眺めながらゆったりとお湯
に浸かり、山で使った筋肉をほぐしてほっとするのは
実に贅沢な気分になれます。

081104

□◆□…優嵐歳時記(1627)…□◆□

  紅葉山連なりやがて青く消ゆ  優嵐

山に登るといつも日本は山国だなあと思います。頂から
見える風景のほとんどは山また山の連なりです。その間を
川が流れ、周囲に小さな平地がぱらぱらとあり、そこが
田んぼになって、その中にまたこじんまりと集落が
あります。

日本にいるとあたりまえと思える景色ですが、山がほぼ
すべて山頂まで緑の樹木に覆われているのは、雨量の多い
モンスーン気候ならではです。

手前の山の尾根では広葉樹が赤や黄色に色づき、針葉樹
との対比を見せています。それがしだいに遠景になるに
したがって、水墨画のように色彩が淡く薄くなって
いきます。

081103

□◆□…優嵐歳時記(1626)…□◆□

  灌木をところどころにすすき原  優嵐

久しぶりに山歩きをしてきました。兵庫50山のひとつ
粟鹿山(あわがやま)です。丹波と但馬の国境に聳える
山で、周囲の見晴らしは素晴らしく、おかげで山頂には
NTTやら国土交通省、関西電力の鉄塔がところ狭しと
並んでいます。

空に流れる巻雲の移り変わりも楽しみながら頂上でお昼
ご飯を食べました。インスタントラーメンもここでは
ご馳走です。

眼下の尾根の一角にすすきが群がって生えているところが
あり、山火事でもあったのか、と思いました。落葉樹林
に覆われているのが普通だと思われる場所だからです。

081102

□◆□…優嵐歳時記(1625)…□◆□

  十月の逝くや幽けくすがる虫  優嵐

昨夜、もう蒲団に入ろうかと考えていたころ、静かな
戸外から一匹の虫がリリリ、リリリと鳴く声が聞こえ
ました。

仲秋のころのような声をあわせて鳴くといった風情では
なく、命が間もなく尽きようとする、その中でのか弱い
懸命さを感じさせるものです。冬はもうすぐそこです。

「もののあはれ」というものをしみじみと感じた深夜の
ひとときでした。

081101

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