優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2008年12月

□◆□…優嵐歳時記(1675)…□◆□

  冬至なる墨絵のごとく山連なる  優嵐

冬至です。お昼ごろから雨になり暖かです。今年もあと
両手で数えられる日数になりました。年賀状の仕上げを
しなければ、と思っています。

お天気が下り坂でしたが、増位山頂に向かう別の登山
コースに気がついたので登ってみました。麓の集落の中
にある春川神社の裏手から登るコースです。地形図にも
のっていないので登る人は稀なようですが、ちゃんと
道標がありました。

頂上で雨が降り始め、下山したら本格的な降りになって
いました。こういうとき、以前ニュージーランドの山で
みた警句が思い出されます。

あなたは家にいるとき、暖かく乾いて心地よくリラックス
している。なぜここでまでそれを求めるのか---こんな
意味だったと思います。

081221

□◆□…優嵐歳時記(1674)…□◆□

  そよごの実赤く年の瀬始まりぬ  優嵐

山は枯色の時期を迎えていますが、その中でいくつかの
木の実の赤さが目をひきます。ソヨゴはモチノキ科の
照葉樹で、姫路周辺の山ではよく見かける木です。

秋から冬にかけて小さな赤い実をたくさんつけます。
葉の縁が波打っており、それも特徴のひとつです。
漢字では「冬青」と書きます。風に吹かれてそよそよと
葉が音をたてることからソヨゴとの名がついたと
言われています。

081220

□◆□…優嵐歳時記(1673)…□◆□

  啄木鳥の枯木をつつく風羅堂  優嵐

増位山の西尾根から登りぐるっと山頂を回って東尾根に
下りてきました。東尾根登山口のすぐ近くに風羅堂跡と
いう小さな広場があります。

風羅堂は、芭蕉とゆかりのある場所です。かつてここは
播磨の俳諧の中心地となっていた時代がありました。
姫路藩主酒井忠恭の句碑が残っています。

  はせを葉や風にやれても名は幾世  

ちなみにこの忠恭の孫が江戸琳派の絵師となった酒井忠因
(酒井抱一)です。「夏秋草図屏風」が有名ですね。

081219

□◆□…優嵐歳時記(1672)…□◆□ 

  平らかに冬陽かえして播磨灘  優嵐

今日も穏かな晴天でした。今日は増位山ではなく、峰
つづきの広峰山へ行ってきました。こちらには広峯神社
があります。

遣唐使として中国へ渡った吉備真備が天平5年(733年)に
創建したと伝えられる歴史ある神社です。播磨が古くから
開け、都とのつながりも深かったことがうかがえます。

本殿と拝殿は室町時代の建物で重要文化財です。境内には
イブキの巨木があり、天然記念物になっています。ここの
展望台からは姫路市街と播磨灘が見渡せます。夜景も見事。
姫路の夜景(広峰山)というページを見つけました。

081218

□◆□…優嵐歳時記(1671)…□◆□

  植替えを待つ葉牡丹の積まれおり  優嵐

先日、近所の県道沿いの花壇脇に葉牡丹が無造作に
積まれていました。目の荒いネットにくるまれて置かれ
ている様子はぐしゃっと丸めた大きなボールのようでした。

丸一日くらいそのままの状態でしたが、今はきれいに
花壇に植えられています。この花壇、季節に応じて
チューリップやパンジー、ひまわりなどが植えられます。
これで花壇のお正月準備は完了でしょう。

081217

□◆□…優嵐歳時記(1670)…□◆□

  散り尽くす木立の上の冬の晴れ  優嵐

今日も午前中は真っ青な空が広がっていました。木々は
枝だけとなり、明るい冬の青空にそれぞれの枝を伸ばして
立っています。冬の太陽が降り注ぎ、木も日向ぼっこを
しているようです。

落葉が舞い散る時期とはまた違う、明るいからりとした
今の冬の時期もいいものです。枝にはすでに冬芽がつき、
梅林ではちょっと膨らんでいるようにさえ見えるものも
あります。早いものならあと一ヶ月もすれば咲きだします。

081216

□◆□…優嵐歳時記(1669)…□◆□ 

  枯野ありぽつんぽつんと家のあり  優嵐

冬至にはまだ少し日がありますが、日没の時間はすでに
少し遅くなっています。姫路で最も日没時間が早かった
のは、十二月の最初の週の4:49でした。

今日の日没は4:51。わずか2分ですが遅くなっています。
日中の時間がまだ短くなるのは日の出の時間が遅くなって
いくためです。今日の日の出は7:01です。日の出が最も
遅くなるのは年が明けた一月の最初の週の7:09です。

実感としてなんとなく知ってはいましたが、こうして
具体的な数字を見ると、なるほどなあと思います。

081215

□◆□…優嵐歳時記(1668)…□◆□ 

  短日の山裾に入る夕陽かな  優嵐

日没が最も早い時期となりました。南西の窓から増位山が
見えます。夏は頂上付近に入っていた夕陽ですが、今の
時期では山裾のビルの上に落ちていきます。

増位山の頂周辺では、まだモチツツジが紅葉を残して
います。微妙にさまざまな色合が混じった紅葉で、趣が
あります。春になってコバノミツバツツジがまず咲き、
それからモチツツジが咲きます。

紅葉した葉はもうすぐ落葉しますが、冬芽を取り巻く
葉はそのまま越冬するものも少なくないようです。

081214

□◆□…優嵐歳時記(1667)…□◆□

  裸木となって虚空へ立ち上がる  優嵐

自然歩道の途中の広場にあるアベマキが落葉を終え、
冬陽の中に立っていました。葉を落としてしまうと、
枝ぶりがはっきりわかり、葉があるときとはまた異なる
美しさを感じます。

今日も姫路はおだやかな冬晴れで、日差しに包まれた
冬の森を散歩しました。なだらかな自然の道であるため
MTBで走る人にもよく出会います。道のところどころが
浅く掘り返されており、猪の仕業かと思います。

081213

□◆□…優嵐歳時記(1666)…□◆□

  黄色い蝶枯葉の森を飛びにけり  優嵐

暖かな一日でした。お昼に増位山の自然歩道を歩いて
いると、明るい黄色をした蝶が飛んできました。黄葉の
時期がほぼ終り、色彩の乏しくなった森のなかでその
鮮やかな黄色はぱっと目をひきました。

時おり斜面に降り積もった落葉の上に止まって翅を
休めています。近づいてもそれほど動きが敏捷でなかった
のは冬のせいでしょうか。

081212

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