優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2009年04月

□◆□…優嵐歳時記(1795)…□◆□

  風は今深呼吸して木の芽晴れ   優嵐

日曜は大阪でメンタル・トレーニング・アートのトレーニングコースに参加してきました。シュタイナー理論に基づいたアートセラピーです。先日、大阪で瓢箪楽器の演奏会に参加した際、同じ会場にこのアートセラピストの方が来ておられ、そのご縁で参加させていただくことになりました。

あるテーマについてクレヨンやパステルで絵を描き、それについて説明しつつ自分の中の何かに気づいていく、というもののようです。一年に及ぶコースになっており、どのような発見があるのか楽しみです。お試しでとりあえず一度経験してみよう、という気分で参加したのですが、<導き>は有望と告げているようです。

というのも、ここに参加しようと考えたとき、家で随分前に買った72色セットのクレパスを見つけたからです。なぜこれを買ったのかすら忘れていましたが、それがすでにそこにあったということは、一種のシンクロニシティです。

<導き>はそういう形をとります。そちらへ進むべきなら引き寄せるようなサインが連続して出てくるし、そちらへ行かない、あるいは今やっていることをやめるようにというのならば、障害や不都合をサインとして見せてくれるのです。<導き>は大きな潮流であり、道路標識のようなものかもしれません。

090420

□◆□…優嵐歳時記(1794)…□◆□ 

  伽藍へとやや重そうに八重桜   優嵐

いつも散歩に行っている増位山随願寺の本堂、経堂、開山堂、鐘楼、唐門の1件5棟が国の重要文化財に指定されることになりました。そのニュースが流れたせいか、土曜日は参拝客がひきもきらずという様子でした。偶然ですが、この日参拝すると八千日分のご利益がある縁日だそうで、私もしっかり参拝してきました。

快晴だったことも人出を後押ししたでしょう。風が気持ちよく、周囲の山々は落葉樹の萌え出した新鮮な緑が針葉樹の深緑色とコントラストをなして、それは見事です。野鳥の囀りもいろいろ聞こえますし、木々の間から見上げる空は明るく、山道を歩いていると、うきうきしてきます。

本堂前の桜はほんのわずかに残っているだけでしたが、代わって八重桜が見ごろになっています。竹林の横ではシャガが咲き始め、清楚な雰囲気を漂わせています。水仙、蝋梅、梅、桜、八重桜、シャガと次々に花を楽しめるのもここの魅力です。それでいて、とても静かなので大好きな場所です。

090419

□◆□…優嵐歳時記(1793)…□◆□ 

  芽吹く木を透かし彼方に芽吹く山   優嵐

図書館へ行こうとオートバイに乗ったら、かかりません。前に乗ってから一週間もたっていないので、バッテリーがあがるとも考えられないし、おかしいなあと思いましたが、やはりかかりません。ガソリンかと予備タンクのコックを開けたりもしましたが、やっぱりダメ。

仕方がないのでまたまたJAFにお願いしました。ところが、JAFの方が来てかけられると、造作もなく一発でかかりました。??? いったい何だったのか。

こういうとき、以前なら腹をたてたり、いらだったりしたものでしたが、最近では、そういうことがなくなりました。人間が丸くなった? いえいえ、起きていることはすべて正しいと思うからです。これもある種のシンクロニシティだといえます。もしあのままスタートしていたらどこかで事故を起こしていたかもしれません。

もちろん、自分が事故にあうべきときなら事故にあうでしょう。そういうことは私だけの力でどうにかできるものではない、と、ある部分で思うようになりました。安全に気を配るのは当然ですが、万全を期していても何かがあるときは何かがあります。生まれるべきときに生まれたのだから、死ぬべきときには死ぬでしょう。

事故や病気、あるいは死んでしまうなど一般にこの世で<悪い>とされていることが本当に<悪い>ことかどうか、それは誰にもわかりません。生まれた以上いつか死ぬことは確実ですから、死なないためには生まれないことしか手段がありません。

「人間万事塞翁が馬」という言葉もあります。一見不幸と思われることが実は幸運の糸口だったり、その逆だったりということが珍しくありません。生死のことだって、実は生まれる前の自分が「こうしよう」と決めてこの世を訪れているかもしれないのです。

090418

□◆□…優嵐歳時記(1792)…□◆□

  雨あがる大樹隅々まで芽吹き   優嵐

森は新緑の季節へと移って行こうとしています。足元の小さな木も、見上げるような高木も、新鮮な萌え出す緑の色に彩られています。特にコナラの芽吹きは美しく、少し銀色を帯びた緑色が青空を背景に並んでいるのは壮観です。

常緑樹もこの時期は葉の交代期にあたり、季語に「春落葉」として登場します。森を歩いていて、山道に最もたくさん落葉が堆積するのは、初冬から仲冬にかけてのころです。その後、落葉は風雨にさらされてしだいに細かく砕けていきます。

春を迎えるころには、人がよく歩いているところでは、落葉の堆積がかなり少なくなっています。しかし、桜のころから再び新たな落葉が積もるようになります。よく見ると落葉樹ではなく、楠や樫、檜などです。秋の落葉とはまた違う雰囲気で、これもまたいいものです。

090417

□◆□…優嵐歳時記(1791)…□◆□【花楓】

  霧雨を集めししずく花楓   優嵐

郵便局へ切手を買いにいったとき、隣に警戒中の女性警察官が来ていらしゃいました。すぐ横に立って局の方と話をされていたので、右脇のホルスターに入ったピストルを間近で見ることができました。結構重いだろうし、脇に当たって邪魔だろうな、と思いつつ、実弾が入っているのか…と、ある種の感慨を持って見ました。

かつては「婦人警官」と呼ばれていましたが、2000年の男女雇用機会均等法の全面改正に伴って今の正式名称は女性警察官だそうです。社会全体では性別をはっきり分けるような名称は使われなくなっていますね。特に「婦人」という言葉は消えています。

さすがに産婦人科は今でも産婦人科でしょうが、「女性科」にすればいいのかもしれません。今のところ乳がんは外科を受診するのですが、「女性科」にして、女性に圧倒的に多い疾病は、みんなそこで検診も受けられるようになるといいと思いますね。

楓が若葉を広げ始めています。楓といえば紅葉の代表的イメージです。それでも春の若葉の色も大変美しく、あのみずみずしい色合は紅葉とはまた違う魅力です。楓の花は目だちません。若葉が広がる頃、その先にぽつぽつとした小さなものが見られますが、これが花です。


090416

□◆□…優嵐歳時記(1790)…□◆□

  一息に桜も蘂も散りにけり  優嵐

昨日の雨ですっかり花は散り果てました。さらに桜蘂までいっしょに
散って、あわただしく桜の季節は終りです。ヤマザクラの葉はレンガ色
から若葉色に変り、ソメイヨシノも勢いよく葉を茂らせています。
時をおかず八重桜が咲き始め、春の終りに向かって自然は姿を変えて
います。

雨が上がったあとの森を歩くのが好きです。まだ少し雨が残って
いてもかまわず歩きます。水は素早く循環するため、雨があがると
早くも森の中は水蒸気に満たされます。木々の間を霧が流れていく
のは幻想的で素晴らしい景色です。

090415

□◆□…優嵐歳時記(1789)…□◆□

  花時を過ぎし野山の鮮やかに  優嵐

久しぶりの雨になっています。散る桜を送る静かな雨です。
桜の色が消えると、次は緑のみずみずしさが際立ってきます。
この時期には毎年、緑の色にこれほどの種類があったのかと驚きます。

日本画家の千住博さんによれば、色の名前のうち日本語で最も種類が
多いのは「青」だそうです。37種類もあるとか。欧米ではブルーの
色合を示す言葉は、多くても10種類ほどですので、日本人がいかに
繊細で微妙な感覚で色をとらえてきたか、というのがわかります。

さらにグレーは24種類あります。水墨画の伝統からグレーの豊かさは
想像できますが、意外なところでは、紫。27種類と多く、ここにも
日本の特徴があらわれています。

紫は欧米ではパープルとバイオレットの二種類しかなく、さらに
メランコリックや欲求不満の代名詞のような扱い方をされていて、
紫に気の毒とのこと。紫は人の心を示す色といえ、精神のゆらぎや
心のひだに対する日本人の感性の現れの象徴かもしれません。

090414

□◆□…優嵐歳時記(1788)…□◆□

  車にも花屑の入る昼下がり  優嵐

ここ数日びっくりするような気温の急上昇です。この反動で、また
少し冷える日がきたりすると、体調を崩しやすくなりますから
要注意。山の色がどんどん変り、ヤマザクラの桜色が消えて新芽の
色になってきています。

ソメイヨシノはまだ咲いていますが、風が吹いても吹かなくても
見ている端から散っていきます。車の窓を開けているとそれらの
うちの何枚かがするりと入ってきます。風情があります。

日影のない山頂ではもう暑くて日差しの中に長くいようという
気分にはなれません。緑陰で風に吹かれるのが心地よい季節に
なってきました。

090413

□◆□…優嵐歳時記(1787)…□◆□

  わが天を覆い尽くして花吹雪  優嵐

短パンでもいいかなと感じるような昨日の暑さでした。落花さかんな
桜を目にしつつ、もう初夏と言っていいような陽気です。随願寺の
梅林の横にあるヤマザクラの巨木の下に立つと、花吹雪を全身に
浴びることができます。

山頂から降りてきて梅林に足を踏み入れると、白い細かな花びらが
きらきらと日差しを受けて舞い落ちているさまが目に入りました。
しばらくそこでたたずんで、あとからあとから無数に降ってくる
花を眺めていました。よくぞ日本に生まれけり、と思うのはこういう
ときです。


090412

□◆□…優嵐歳時記(1786)…□◆□

  時はいまゆっくり流れ蝶の昼  優嵐

気温がぐんぐあがり半袖でもいいくらいです。足元は裸足です。
昼間は25度に近く、歩いていると汗が流れてきました。
山頂には蝶が群れており、ベンチで寝転びながらのんびりと
その姿を見ていました。なんとも優雅な飛び方です。

空は青く風は気持ちよく、ベンチの温度を背中で感じながら極楽
気分を味わっていました。前山のヤマザクラはそろそろ花の時期を
終えようとしています。コナラが芽吹き始めています。
コバノミツバツツジは回廊をつくるように花盛りです。

090411

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