優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2009年05月

□◆□…優嵐歳時記(1826)…□◆□ 

  山若葉風にあふるるごとくあり   優嵐

山を散歩していると、今の季節にはよく蝶を見かけます。今日、二匹の蝶が目にもとまらないほどの速さでくるくると位置を変えながらシンクロして飛んでいるのを見ました。人間でいうなら、両手をつないだままぐるぐると猛スピードで回転している感じです。しかし、蝶は空中で翅だけで動きを制御しているのです。あれはいったいどういう仕組みになっているのでしょう?

動物の動きには、複数の個体がまるで音楽にあわせて踊るアイスダンスかシンクロナイズドスイミングのように見えるものがあります。人間なら長い時間の修練が必要なこうした動きを彼らは全く自然にやってのけます。

無数の鰯の群が一糸乱れぬ動きで同じ方向に泳ぎ、一瞬のうちに向きを変えるのを見たことがあります。彼らは絶対にぶつかったりしません。あれは何なのでしょう。何があの動きを制御しているのか。あたりまえといえばそうなのでしょうが、よく考えると不思議です。


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□◆□…優嵐歳時記(1825)…□◆□

  半袖の二の腕眩し夏始   優嵐

気温があがり、半袖姿の人もちらほら見かけるようになりました。新型インフルエンザの影響で、街行く人びとの半分くらいはマスク姿です。兵庫県は春から夏にかけ観光キャンペーンをやっているのですが、新型インフルエンザが観光産業に与える打撃は甚大だろうとお気の毒になります。

久しぶりにナイターテニスをしました。家を出たときは、まだ山の稜線に残照があり、日が長くなったなあ、としみじみ思いました。最も気持ちのいい季節なのに、早くインフルエンザ騒動が終息してくれることを願っています。


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□◆□…優嵐歳時記(1824)…□◆□

  はつ夏の光を受けし水平線    優嵐

姫路市内でも新型インフルエンザ感染が確認され、今週一週間、幼稚園、小・中・高校が閉鎖されるようです。両親とも外で働いているという場合、子どもが幼ければ大変でしょう。祖父母の応援を頼めるという人はまだいいでしょうが、そうでなければどちらかが勤務を休まなければなりません。一週間も急に休めるような職場がどれほどあるでしょうか。

これを機会に、在宅で仕事ができるシステムを、社会全体でもっと真剣に追求するべきじゃないだろうか、と思います。もちろん出勤して職場にいかなければできない仕事というのは、この先もずっとあります。しかし、同じ時間に同じ場所に集まってしなければならない業務というのは、テクノロジーを利用することによって、もっと減らせるように思います。

近所のスーパーに買物に行ったら、全従業員のみなさんがマスクを着用してお仕事をされていました。近所の薬局のマスクは品切れとのことですから、備蓄されていたのでしょう。さすが、と驚きました。


090519

□◆□…優嵐歳時記(1823)…□◆□ 

  巣立鳥朝の空気を群れて飛ぶ   優嵐

朝、窓を開けると目の前を数羽の燕が飛んでいました。身体が全体に丸っこく、羽ばたきに幼さが残っています。巣立って日の浅い幼鳥でしょう。近くの電線に止まっては、飛翔し、また戻るということを繰り返していました。大人の燕ほど颯爽とした飛びっぷりになるにはもう少し時間がかかりそうです。

書き続けているもうひとつのブログ「COXの読書ノート」のコメント投稿機能に少し手直しをしました。先日来スパムコメントが寄せられるようになり、投稿直後は非表示、さらに今朝スパム認証画像を表示する、という機能も加えました。ブログを見ずに自動的に大量のスパムコメントを送ることができるようで、それを防止するのがこの認証画像の役割です。

コメント投稿すると、認証画像が現れます。これは人間が見れば数字やアルファベットといった意味のある文字として理解できるようになっていますが、コンピュータには認識できない歪んだ画像なのです。この文字を入力しない限り、コメントは受け付けられず、スパムはじきの役割をします。これを誰が考えたのかわかりませんが、コンピュータの弱点を逆手に取ったうまい方法だなあ、と初めて見たときは感心しました。

コンピュータは大量のデータを解析することは得意ですが、人の顔を認識したり、ものごとから連想して推察したりすることが不得意です。人間なら幼稚園児でもできることなのに、コンピュータはできない。こういうものを見るにつけ、人間の知能が働く仕組みとコンピュータの計算による知的機能とは根本的にどこか違うな、と思ってしまいます。

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□◆□…優嵐歳時記(1822)…□◆□ 

  青雲の志は今もあり楠若葉    優嵐

朝から曇って午後からは雨になりました。気温も下がって若葉寒の風情です。楠の若葉が鮮やかです。今年は藤をたくさん見ましたが、あまり桐の花を見ませんでした。年によってそれぞれの植物の花のつき方も微妙に違うようです。

名曲聴き比べシリーズをいってみます。YouTubeには思いもかけない動画がアップされていてびっくりします。今回は『異邦人』。オリジナルは久保田早紀、なんとZARDがカバーしています。久保田早紀さんも美しいかたですね。



□◆□…優嵐歳時記(1821)…□◆□

  新樹光ぽっかりとある静けさよ   優嵐

風と光が美しい季節です。気温が高くなる昼間には窓をあけて外の景色を眺めながら本を読んだり、パソコンのキーをたたいたりしています。風の音、野鳥の囀り、人の声、車の音などいろいろな音がしますが、時おり真昼間なのにもかかわらず、それらの音すべてが途切れて突如しーんとすることがあります。エアポケットに落ち込んだような、そんな不思議な一瞬です。

自動車の税金、オートバイの税金、市民税などいろいろまとめて払ってきました。ふー、やれやれです。まあ、税金を払えるということは、それだけ収入もある、ということなのだから、ありがたいことです。健康で働けて、毎日楽しく暮らせる、この世に生きていてこれ以上のことがあるでしょうか。

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□◆□…優嵐歳時記(1820)…□◆□

  青梅の葉陰に太る静かな午後   優嵐

増位山の梅林で梅の実が育っています。早春の寒さの中で花を咲かせていた紅梅、白梅。今年はその季節が自分にとっては生涯忘れられないほどの転機になりました。まだあの影響は残っていますし、恐らくずっと続いていくのだろうと思っています。足の裏の不思議な感覚も続いていますし。

今日も午後からは風が出て、爽やかなお天気でした。夕暮れが遅くなっていることから、真昼の散歩は避けて午後少し遅くなってから歩いています。傾き始めた日差しが森に差し込んで、若葉を照らしています。風が吹くたびにそれらの葉が揺れ、それにつれて日の光も揺れ、なんとも心地よい空間を作ってくれます。

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□◆□…優嵐歳時記(1819)…□◆□ 

  仰ぎ見る稜線いずこも青嵐   優嵐

青葉のころに吹きわたる爽快なやや強い風を青嵐(あおあらし)といいます。今日はこの風が吹き、明るくすかっとした一日でした。山の緑の色が落ち着き、それらがその風にあおられて揺れているのが見えました。五月らしい気持ちのよいお天気です。

昼間にスーパーへ買物に行ったら、「いつも一緒にいたかった〜」と歌う男性ボーカルの声が流れてきました。いい曲だなあ、聞き覚えがあるなあと思い、インターネットで調べてみました。歌っているのは、つるの剛士、曲は『M』。プリンセスプリンセスのカバーです。どちらもYouTubeに動画があり、聴きくらべることもできます。



□◆□…優嵐歳時記(1818)…□◆□

  姫女苑日ごとに伸びる草の丈   優嵐

増位山の駐車場の近くではヒメジョオンが花を咲かせています。明治時代の初期に北米から入ってきた帰化植物です。繁殖力が強く、都会の住宅地や空地だけでなく、中部山岳の車道沿いまで姿を見ることができるそうです。現在世界中に分布を広げているといいますから、恐るべしヒメジョオン、です。

夏になって、草が勢いを増しています。梅林の下草がきれいに刈られ、草の香りがしていました。山では椎が花をつける時期になっており、遠くから見ると、黄色い雲のように盛り上がった姿を見せています。栗の花に似た独特の香りがあり、これで小さな虫を呼び寄せるようです。

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□◆□…優嵐歳時記(1817)…□◆□

  すこやかに人歩き出す柿若葉   優嵐

山の緑の色が濃くなってきました。谷筋には羊歯が新しい葉を伸ばし始めています。青羊歯の色は鮮やかです。真昼は避けて自然歩道を歩きました。気温は28度を示していました。柿の若葉がみずみずしく、初夏の日差しを反射しています。

森ではモチツツジが最盛期を迎えています。モチツツジの分布は山梨県・静岡県から岡山県、四国までのようです。名前の由来は、花の顎や柄などに腺毛がたくさんあり、粘つくことにによります。駐車場まで戻ったら、肩口にモチツツジの蕾がくっついていたことがありました。

昆虫が花を好むのか、たくさん咲いている花のほとんどが、どこか虫に食われて穴が開いています。虫に食べられるのを防ぐための粘りでしょう。しかし、それをものともしない虫がたくさんいる、ということですね。

090512

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