優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2010年12月

□◆□…優嵐歳時記(2415)…□◆□

  初雪や冷たき林檎かじりおり   優嵐

小晦日(こつごもり)の朝は雪になりました。窓の外を見ると、大きな牡丹雪が舞い落ちていました。お昼過ぎには霙から雨へと変わり、夕方にはやみました。天気予報では、大晦日から元旦にかけても雪になりそうです。新しい年は雪景色で迎えることになるかもしれません。

年の終りに一年を振り返ってみたいと思います。今年の一番の変化といえば、やはり九月から突然絵を描き始めたことです。子どものころから絵は好きでした。大人になってからはほとんど描かなくなっていたのに、このところ絵ばかり描いています。自分に向いた画材を見つけたという影響が大きいと思います。クーピーペンシルと万年筆とプラチナカーボンブラックに感謝です。

F0からF6まで大きさはさまざまながら、四ヶ月で200枚以上の絵を描きました。2011年はもう少し大きなサイズも描いてみたいと思っています。俳句や詩と組み合わせた絵というのも、おもしろいかもしれないと考えています。

来年もよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。


<welcome home>
戻ってきたよ
彼はそう言ってにこにこと笑う

長い旅だったね
留守の間いろいろあったけど
やっぱり君を待っていたよ

君がずっと待っていることは知ってた
だから安心して旅を続けることができた
おみやげはいろいろあるよ
ゆっくり見せるつもりさ

そうだね
ようこそお帰り
私の「画家」


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□◆□…優嵐歳時記(2414)…□◆□ 

  裏白を採りて戻りし人に会う   優嵐

「裏白」は歯朶(しだ)の一種、ウラジロ科の常緑多年草です。「歯朶」といえば裏白をさし、新年の季語です。歯朶の「歯」は齢に通じ、「朶」は枝で長く伸びるものの意があります。歯朶、すなわち裏白は、常緑で枯れないことも含めて長寿の縁起物として新年の飾りにする習慣になったといいます。

したがって新年の季語として使う場合、「歯朶」であって、「羊歯」ではふさわしくないのかもしれません。また、裏が白いことから夫婦共白髪、また小葉が相対することから「諸向(もろむき)」といって、夫婦和合の象徴としたそうです。

増位山には裏白がたくさん生えています。年も押し詰まってきて、お正月の準備に裏白を採りに来られている方を何人も見かけました。


<自由>
自由とは成功することではない
自由とは勝利することではない

成功にも失敗にも
勝利にも敗北にも
好きにも嫌いにも
何ものにもとらわれないことが真の自由だ

真の自由は内側から来るもの
あなた以外の誰もあなたに
その自由をもたらすものもなければ
押しとどめられるものもいない


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□◆□…優嵐歳時記(2413)…□◆□

  千両を積みし車の後をゆく   優嵐

信号待ちで停まったら、前の軽トラックの荷台にセンリョウが積まれていました。センリョウはマンリョウとともに年末年始の床を飾る花材です。センリョウ科、高さ70〜100cmほどの常緑低木です。葉の上に実がつくのがセンリョウ、下につくのがマンリョウです。

火曜日はお昼を境に天候が一変しました。午前中は比較的穏かで、ときおり日も差すまずまずの冬日和でした。それが午後一時ごろから急に風が出て曇り始め、夕方まで雨と風が続きました。午後五時ごろふと外を見ると、まだ明るさが残っており、日が長くなっていることを実感しました。年が明け、寒に入るころには日差しもはっきりと違ってきます。


<委ねる>
人は自分に善いことが起こると神に感謝する
しかし、悪いことが起こったときはそうしない
そこで人は間違うのだ
ラマナ・マハリシはこう言った

マハリシよ
私は自分に善いことが起こるとあたり前だと思った
そして、悪いことが起こると神を怨んだ
大間違いを続けていた

善いことがあろうと悪いことがあろうと
それを受け入れて感謝する
そして委ねる
それが智慧というものだ


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□◆□…優嵐歳時記(2412)…□◆□

  冬の川河口最も光りおり   優嵐

増位山頂からはすぐ東を流れる市川が見えます。市川は中国山地に端を発し、南へ流れて姫路市で播磨灘に注ぎます。お昼ごろに頂へ行くと、南から太陽が海を眩しく照らし、同様に河口も照らしています。ここ数日の寒波で、頂周辺に残っていたハゼノキの紅葉はすっかり散りました。真冬です。

坂井泉水さんの肖像画第六作です。珍しく正面に近い位置から撮影されている写真をもとにしました。それでもカメラ目線ではありません。カメラ目線のものは発表されているうちでも二、三枚程度しかなく、逆にそれを見ると彼女ではないような印象を受けます。


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これはZARDの四枚目のオリジナルアルバム『揺れる想い』(93.7.10)のジャケット撮影時の一枚と思われます。全体が淡いパープルっぽく、ジャケットのトーンを受け継いでいます。写真から絵にするとき、目の中の瞳孔を描くようにしています。そうしないとその人がどこを見ているかわからないからです。


<寒波来る>
クリスマスから急に冷え込んだ
かじかむ手を暖めながら
激烈な残暑が続いた九月を思う
三十五度の表示にうんざりした日々

まったく平穏で心地よく過ごせる日というのは
一年のうち何日くらいあるのだろう
暑さ寒さ、晴れたり曇ったり
雨、雪、台風…

それでももし
その心地よい日の中にずっと留まり続けるとしたら
その心地よささえわからなくなってしまうに違いない

それならば雨の日には雨を風の日には風を
猛暑は猛暑を酷寒は酷寒を
受け止めて楽しんでしまう方がいい


□◆□…優嵐歳時記(2411)…□◆□

  数え日の尾灯連なりて流る   優嵐

今年も残りわずかになってきました。クリスマスが過ぎると毎年一気に歳末ムードが高まります。今年も指折り数えられるほどの日数を残すばかりとなった、そのころの心情を表すのが「数え日」という季語です。ついこの間2010年を迎えたのに、もういってしまうのか…、そんな気分です。

今年最後の坂井泉水さんの月命日には、新年を迎えるにふさわしい楽曲を選んでみました。ZARDの13枚目のシングル『あなたを感じていたい』(94.12.24)のカップリング曲『Take me to your dream』です。発売日がクリスマスイブ、そこでこの楽曲か、と絶妙な季節感に感心します。

Take me to your dream



冒頭はさりげないラブソング。「二人は白いシーツの中を泳ぐ魚になる」というフレーズが印象に残ります。大人になってからの感覚ではなく、幼い子どものころ、布団の足先の方へもぐって遊んだりしたものでした。そのとき、深い海底に潜行していくような気分になったのを思い出したからです。そういうこと、ありませんでしたか?

ラブソングとして始まりながら、この楽曲はしだいに壮大な雰囲気のものになっていきます。「また新しい未来が始まる この世界中に」「何処かで小さな生命が生れる 大地の宝物」といったフレーズからは単なる恋愛を超えた、もっと大きな本当の意味での「愛」への願いが込められている気がします。

前半はピアノの伴奏がリードし、曲の後半からはそこにドラムとエレキギターが入って、スケールの大きなロックバラードになっていきます。Happy New Year…、新しい年がよきものでありますように。


□◆□…優嵐歳時記(2410)…□◆□

  棕櫚の葉を光らせ風のクリスマス   優嵐

クリスマスは北風の吹く寒い一日でした。但馬地方は雪になっていた様子で、北からやってくる車は雪をかぶっていました。兵庫県は日本海から太平洋にまたがる広い面積を持つ県です。摂津、丹波、淡路、但馬、播磨という旧の五つの国が寄り集まっており、ひとつのイメージではとらえにくい県だといえます。

昼間の外気温は三度でした。増位山へ行くと駐車場近くの蛇ヶ池の奥に氷が張っていました。日差しがありませんでしたから、昼間でも溶けずに残っていたのです。この冬初めて見た氷でした。

山頂からは周囲の山が見渡せます。風があったので、海上の見通しはよく、鳴門海峡まで見えました。山頂周囲の落葉樹が裸になっているため、夏は見えなかった木々の間から小豆島も見えます。太陽の高度が低く、海がそれを反射してまぶしく光っていました。北の山は雪が降っているのか霞んでいました。六甲山も少し雲に覆われており、山頂周辺は雪になっていたかもしれません。


<パワーパンケーキ>
今日のランチはパワーパンケーキ
ホットケーキミックスを100g
牛乳80mlと卵一個
それをさっくり混ぜて

六種類のナッツと刻んだドライフルーツを
好きなだけ適当に入れる
極弱火のフライパンで片面二分半ずつ焼く

一枚を食べながらもう一枚を焼いてゆく
二枚をたいらげる頃には
腹の虫はおとなしくなっている
熱いブラックコーヒーで仕上げよう


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□◆□…優嵐歳時記(2409)…□◆□

  帰り来る人を迎えて聖樹の灯   優嵐

俳句では、クリスマスツリーを「聖樹」といいます。同じくクリスマスケーキは「聖菓」。十七音の定型詩ならではの工夫ですね。クリスマスイブは日中も風があり、少し冷えました。冬至が過ぎましたが、本格的な寒さはこれからです。年末年始はできれば穏かに過ぎてもらいたい、と思いますがこればかりはわかりません。

自分自身でサンタクロースになり、自分にギフトを贈ることにしました。クレオロールというパイロットのゲルクレヨンです。クレヨンでありながら、透明な発色で、黒インクで描いた線を隠さないのです。もしかしたら新しい画材になってくれるかもしれません。

まだ店頭でわずかに試し描きしただけですから、どういう感じになるのかはわかりません。パイロットのHPではもっぱら幼児の描画材料という扱いです。しかし、クレパスもクーピーペンシルも立派な画材になってくれますので、あまりにも子供向けのイメージでPRするのもどうかな、と思います。


<訪問者>
アイデアが浮かぶのは
目が覚めたとき
散歩のとき
お風呂に入っているとき

回路が開いて
自分とは別のどこかにつながる

自分のアイデアなんていうけれど
実はどこかから不意にきてくれるものばかり

彼らは子どもみたいだから
堅苦しいこと強制されることは苦手らしい
気まぐれでのんびりしていて
遊びと悪戯が好き

ひょいと入ってこれるように
戸口をあけておくこと


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□◆□…優嵐歳時記(2408)…□◆□

  おだやかに晴れてやわらか枇杷の花   優嵐

暖かい日が続いています。ビワの花は白から黄白色で、直径一センチほどです。苞やがくに黄土色の綿毛があり、蕾のときはそれにすっぽりと包まれています。指でふれてみるとビワの果皮を連想します。ほのかに甘い香りがあり、バラ科です。確かに花そのものをよく見ると、サクラやウメに似ています。花の時期は11〜1月ごろまでですが、同じ木でも花房によって時期が異なります。果実は2月末からゆっくり肥大して、5〜6月に黄橙色に熟します。果実の「枇杷」は夏の季語です。


<解放への道>
本当のあなたは
あなたの記憶や心、身体、感情、思考などとは別の存在である
それらとあなた自身を混同するため
苦しみから逃れられない

あなたが見ることができるものは
本当のあなた自身ではありえない
目が目自身を見ることができないように

自分自身について知っていることは
すべて本当の自分自身ではなく
自分自身が持っているものにすぎない

自分自身ではないあらゆるもの
感情、記憶、要求、身体感覚などと
同一化し巻き込まれてしまうために
恐怖と苦悩が生れる

そこから一歩身を引き
ただあるがままに見つめる
それが解放への道


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□◆□…優嵐歳時記(2407)…□◆□ 【冬至】

  今日冬至空の明るく晴れ渡り   優嵐

冬至の昨日は暖かでおだやかな一日でした。昨夜の雨も朝にはあがっていました。今日は天皇誕生日の祝日、クリスマスイブをはさんで週末になり、来週になればもうぐっと歳末ムードが高まります。

久しぶりに妙な夢を見ていました。私はどこかの会議かシンポジウムのようなものに出席しています。そこで責任者らしい男性が心筋梗塞を起こし、私の腕の中で死んでしまうのです。私はもちろん驚いていますが、慌てたり恐れたりはしていません。夢はなんらかの暗示を与えてくれることが多いものです。あの男性は何かを象徴しているのでしょうか。人が亡くなる夢なのですが、嫌な感じというのはありませんでした。


<美しい日>
木々は完全に葉を落とし
その枝を青空に向かって差し上げている
まるで太陽を呼ぶように

風はなく暖かだ
枇杷の花が咲いている

自然歩道の木の間から
冬陽に輝く海が見えた
播磨灘のかなたには小豆島

海と島と空と森と
すべてが復活する日の光を浴びている


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□◆□…優嵐歳時記(2406)…□◆□

  薔薇一本飾りて集う忘年会   優嵐

今日は冬至です。忘年会シーズンはそろそろピークを過ぎようとしているころでしょうか。先日のアートセラピーの忘年会では、薔薇と手作りの蜜蝋の蝋燭を持ってきてくださった方がありました。これを飾るだけで、その場がぐんと神聖な雰囲気になり、いいものだなあと思いました。

火曜日は午後から雨になりました。いただきものの白菜にいただきものの塩昆布をまぜて浅漬けを作りました。もともとあまりお漬物を食べない人間だったのですが、塩昆布のパッケージにおすすめのメニューとして浅漬けが載っており、試してみました。これが意外なおいしさ。しゃきしゃっきとした白菜の冷たい歯ざわりが心地よく、残りの白菜もこの食べ方でいただこう、と思いました。


<陰陽>
明日から太陽はよみがえる
この世のすべては
陰陽が入れ替わる波

夜がなければ昼はなく
下がなければ上はない

陰が極まれば陽が芽生え
陽が極まれば陰へと転じていく
その変化こそ永遠に変わらないもの


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