優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2011年01月

□◆□…優嵐歳時記(2426)…□◆□ 

   処女雪に足跡残し頂へ   優嵐

成人の日の10日は、兵庫50山のひとつ、宍粟市山崎町の長水山(ちょうずいさん)に登ってきました。標高584mの低い山ですが、頂上には播磨の豪族赤松氏が築いたとされる山城がありました。現在も石垣が残っています。城主宇野祐清のとき、天下統一を目指す織田信長の配下であった羽柴秀吉に滅ぼされました。

山城のある山は例外なく眺望に恵まれています。ここもお天気がよければ四国まで望めるのですが、10日の午前中は雪が舞いました。麓の伊水小学校に車を停め、そこから登っていきました。積雪は数センチほどでしたが、雪の中を登ることはめったになく、新鮮な思いがしました。このコースは登山道が丸太で補強された階段状になっており、問題なく登ることができました。

木々の枝に積もった雪が樹氷のように見えます。頂上には戦で亡くなった武士を弔うために建てられたという日蓮宗信徳寺があり、その手前には民家があります。お寺の母屋だということで、住んでおられる方の姿がありました。車が登れるような道路はなく、普段の買物などはどうされているのだろう、と不思議に思いました。

細かな雪が降り続いていたので、お寺のお堂の屋根の下を借りて昼ごはんにしました。風はほとんどありませんでしたが、空気が冷えきっています。熱いラーメンを作って食べました。

雪は昼ごろにはやみ、太陽が顔を出しました。登りのときは降ったばかりの雪を踏んでいったのですが、溶けるのは早く、下山時には日当たりのいいところでは、もう雪はありませんでした。下山後は近くにある「よい温泉」へ行って温まりました。


<予兆>
アイデアがふとどこからかやってくる
それは雑誌の1ページだったり
どこかのホームページに貼ってある動画だったり
誰かの一言だったり
あるいは空中を漂っている何かだったり
夢の中の場面だったり

それを意識の中の3D画面であちこち遊ばせる
その時間が好き
リアルなものに結実していくか
意識の中だけで蒸発してしまうか
それはまだわからない

しかしそれは確実に
何かの予兆であり
予兆は現実よりも楽しいものなのだ


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□◆□…優嵐歳時記(2425)…□◆□

  午後よりの日差し豊かに寒四郎   優嵐

寒に入って四日目を「寒四郎」といいます。日曜日の午前中は雲が出ていましたが、お昼ごろから青空が見え始め、日差しが戻ってきました。今日も近畿自然歩道を歩いて広峯神社まで行ってきました。三連休の中日、姫路はまだ松の内ですから、初詣に訪れられている方が何人もいらっしゃいました。


<発見>
物心がついてから初めて
年賀状を書かない年末年始だった
もうやめようと思ってやめた

それで何か困ったか
なんにも困らない

しなくちゃいけないと思って
世間のしきたりに従っているのだが
やめてしまったところで
不都合のないことが
実はたくさんあるだろう

それに気づくことも
ひとつの発見


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□◆□…優嵐歳時記(2424)…□◆□

  海光り薄も光り風花に   優嵐

風花(かざはな)とは、晴れているのに風に乗って雪片がひらひらと舞う現象をいいます。趣のある素敵な言葉ですね。土曜日の朝は晴れて厳しく冷えこみ、窓を開けると一面霜で真っ白でした。日中も快晴で、増位山から見る播磨灘の沖は、いいお天気すぎて、霞んでいました。

最近、画材のレパートリーにPILOTのクレオロールが仲間入りし、描き味を確かめています。絵を描いているのですが、日本を代表する筆記具メーカーの製品を揃えていることに気がつきました。プラチナのカーボンブラック、セーラーのふでDEまんねん、0.9mmシャープとクレオロールはパイロットです。

いずれもすばらしい製品です。クーピーペンシルはサクラクレパスですし、画板もそうです。ぺんてるのシャープペンも使っていますし、消しゴムはトンボのMONOです。スケッチブックはマルマン。made in Japan は、やはりいいです。


<寒晴れ>
山頂に立って播州平野を見下ろすと
雲の影が全くなかった
寒晴れの日
太陽はあまねくすべてを照らしている

富める人も貧しき人も
健やかなる人も病める人も
喜んでいる人も悲しんでいる人も
生れる人も逝く人も

ああだからやっぱり
お天道様なんだ


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□◆□…優嵐歳時記(2423)…□◆□

  寒の空随神門のその向こう   優嵐

金曜日は快晴になりました。お昼に弥高山経由で広峯神社まで行ってきました。増位山と広峰山は尾根続きで、なだらかな道は近畿自然歩道の一部になっています。枯葉を踏んでのんびり歩いて行きました。時々風花が舞いましたが、空は青く、確実に光が明るくなっています。コゲラが木をつついている音が静かな森に響いていました。

冬は圧倒的に晴天が多い瀬戸内沿岸地方です。この時期の空は厳しい寒さの中で真っ青に澄み、透き通るような美しさです。広峯神社の随神門(ずいじんもん)からは南に姫路市街、姫路城、播磨灘、家島群島、小豆島が見えます。随神門は元禄時代のもので、江戸中期の神社門としては播磨地方を代表するものとして、姫路市指定文化財になっています。


<暦>
2011年の一週間が過ぎた
一年五十二週の一週目
人生五十年の時代なら
一歳のお誕生日が過ぎたところ

建国記念の日は六歳で
昭和の日は十七歳
五月二十日には大人の仲間入り
七月が終わる頃は三十路
秋分の日は四十路も近い

あなたは今どのあたり?
もう大晦日をすぎた?
それならもう一度元旦から始めよう

還暦ならそろそろ三月
花盛りの春はもうすぐ


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□◆□…優嵐歳時記(2422)…□◆□

  遠き野に陽の当たりたる寒の入り   優嵐

小寒の昨日はまずまずのお天気でした。風はほとんどありませんでしたが、空気がしんと冷たく、さすがに寒だ、と思いました。今日で松が明けるところも多いでしょう。関西の松の内は十五日までなので、姫路周辺では、まだ注連飾りは外しません。

注連飾りや門松を取ることを「松納め」といいますが、これは松の内が終わるのに先立って関東では六日、関西では十四日におこなわれることが多いようです。今日は一月七日、七草粥の日ですが、これは旧暦をもとにした行事であり、新暦のこのころは寒さの盛りで、七草はスーパーで求めるしかないでしょう。

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坂井泉水さんの肖像画第七作を描きました。今回は、髪の部分の彩色にPILOTのクレオロールを使っています。クレオロールは、通常のクレヨンより透明度が高い、色を重ねても濁らないという特徴があります。この点はクーピーペンシルと似ています。

ただし、クーピーペンシルのように面でも細かな線でも描けるというわけではなく、太目の線描のみです。これは通常のクレヨンの性質と同じですね。クーピーペンシルよりは色が強く出て、髪を彩色するのには適した画材かもしれない、と感じました。肌は繊細に彩色したかったので、クーピーペンシルを使っています。

□◆□…優嵐歳時記(2421)…□◆□

  焼酎を提げて年賀の客となる   優嵐

元日から三日くらいまでの間に、親戚や友人知人の間で訪問しあって新年の賀詞を交わすことを「年賀」あるいは「年始」といいます。今日は寒の入り、「小寒」です。これから寒が明ける2月4日までが一年で最も寒い時期に当たります。季節は晩冬、日差しは徐々に春に向かって明るさを増していきます。

さて、坂井泉水さんの今年最初の誕生の「日」です。今日は、ZARDの34枚目のシングル『さわやかな君の気持ち』(02.5.22)のカップリング曲『Seven Rainbow』を取り上げます。歌詞にお正月らしいフレーズが出てきます。歌の内容は、初々しい恋人同士の仲直りのあいさつといった雰囲気です。


Seven Rainbow



ほんのささいなことで小さな喧嘩をして、揺れる気持ちを可愛らしい歌詞にしています。「出逢ったころ視線あわせられなくて…」というフレーズなど、すっと絵が浮かんで微笑ましい思いがします。多分、こういう小さな瞬間は誰にでもあったはずなのです。日々の小さな、そのままだと埋もれてしまうようなこうした瞬間をすくいあげて詞に結晶させるのが、坂井泉水さんの作る歌の特徴のひとつだと思います。

音作りがしゃれていて、ラストに登場するピアノになんともいえない余韻があり、楽曲全体にノスタルジックな味わいを与えています。

□◆□…優嵐歳時記(2420)…□◆□ 

  新春や去年(こぞ)の落葉を踏み歩く   優嵐

年末年始は冷え込みましたが、四日は穏かな晴天になりました。昼間の外気温は十度を超えていました。洗濯と掃除をして、日常が戻ってきました。子どものころはお正月が楽しみで、三が日が終わるのが名残惜しかったものですが、今となっては日常に戻るとどこかほっとした思いがします。

四日は久しぶりに増位山へ行きました。山頂へ行き、その後梅林へまわりました。紅梅のなかで一輪、かなり蕾が膨らんでいるものを見つけました。寒中に咲き始めるでしょう。これが楽しみで、去年も今頃から毎日梅林へ通いました。明日が寒の入りです。


<目標>
本当にやりたいことだけをやる
これからの目標はこれだ

「こうしないと困るよ」
いろいろな人から
そう聞かされて生きてきた

だけど
こうしないと困るといわれて
やってきたことが
実は好きじゃなかったことに気づく

人生は短い
誰かにどう思われるかという
ツマラナイことを気にして
その貴重な時間を無駄にするのはもうやめよう


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□◆□…優嵐歳時記(2419)…□◆□ 

  降り続く雪にかこまれ初湯かな   優嵐

新年になり、初めての入浴を「初湯」といいます。私の今年の初湯は湯郷温泉でした。一般家庭では、かつて薪で湯を沸かしていたころは、元日には風呂を焚かず、二日に入浴する習慣でした。一年中働き通しの一家の主婦を休ませるためです。今ではガスや電気で湯を沸かす家庭がほとんどとなり、それも昔話になりつつあります。

元日の午後は岡山県北部の真庭地方に大雪警報が発令されたほどで、湯郷温泉でも見る間に雪が積もりました。その雪を見ながらの初湯となりました。三が日が終わりましたが、鳥取や島根の日本海側に帰省された方は、無事帰ることができたでしょうか。

三日には増位山から弥高山経由で広峰山へと歩き、広峯神社へお参りしてきました。新春の森を歩くのは快適でした。


<対話>
森をひとりで歩いた

ひとりでいること
森にいること
歩いていること

この三つがそろって
心地よいひとときをもたらしてくれる

そして心ゆくまで
自分の内側と対話をする


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□◆□…優嵐歳時記(2418)…□◆□

  手をひかれ幼き春着の姉妹かな  優嵐

「春着」とは、お正月用の晴れ着を意味する季語です。多くの場合、女性や子どもの衣装をさします。初詣で晴れ着の人を見ることは華やかで、気持ちが新鮮になるものです。しかし、最近では大人の晴れ着姿を見ることはぐっと少なくなっています。

初詣に行った大石神社で、五歳と三歳くらいの姉妹が晴れ着を着せてもらい、ご両親に連れられているのを見かけました。お姉ちゃんの方はきれいに髪を結い、簪もつけています。微笑ましく、大人の晴れ着とはまた違う可愛らしい華やぎがあっていいものだなと思いました。


<solitude>
ずっと誰かといっしょにいると
ひとりになりたいと
自分のなかから声がする

誰かといると
その間は自分の内側の人間と話すことが
むずかしくなる

人間嫌いというのではない
ただ何か息を止めて水の中に潜っている
そんな感覚になる


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□◆□…優嵐歳時記(2417)…□◆□

  鯛の尾のぴんと立ちたる年新た   優嵐

元日から二日にかけて岡山県の湯郷温泉に行っていました。お料理に尾頭付きの鯛が出て、お正月気分を満喫してきました。年末から西日本全域でお天気が荒れ模様でした。元日も午前中は晴天だったものの、午後から温泉周辺では急に雪が降り始め、みるみるうちに積もりました。

幸い夜には雪がやみ、朝はお天気が回復して気温もあがり、移動に支障はありませんでした。初詣には湯郷温泉の湯元にある湯神社と県境を越えて兵庫県赤穂市にある大石神社へいってきました。


<願い事>
初詣期間中にずらりと奉納される
数々の願い事を書いた絵馬

商売繁盛
家内安全
縁結び
合格祈願
学業成就
病気平癒
その他いろいろ
願いは叶うかもしれないし、叶わないかもしれない

どのような結果になろうとも
すべて神の御心であると喜んで受け入れる
その心を持って神の前に立ちたい


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