優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2011年07月

□◆□…優嵐歳時記(2617)…□◆□

  蟻渡る大き糸瓜の花盛り   優嵐

四日ぶりに増位山へ散歩に行きました。わずか四日ですが、アジサイ類はほぼすべて最盛期を終え、蛇ヶ池ではハスが咲きだしていました。ヘチマは一週間ほど前からアジサイの花壇の前で咲いています。大きな黄色い花を次々とつけ、そこに蟻がきています。

絵を描くようになって身近なものをよく観察するようになり、一日として同じ状態は無いと気がつきました。「世の中は三日見ぬ間の桜かな」という句がありますが、桜に限らず、三日たてばすべては変わっています。ほんのわずかではあっても三日前と同じということは絶対にありません。

小中学校の夏休みが始まります。夏休みとはいいながら、実際には夏はもうすぐ終りです。夏至から一ヶ月が過ぎ、かなり夕暮れが早くなったことに気がつきます。夏休みの半ばには立秋で、お盆を過ぎればあきらかに秋風が立ち始めます。

IMG_1418<描くべきもの>
絵を描くために
どこか遠くへ出かけていく必要は無い
ヴェネツィアやパリやロンドンを
あなたがあえて描く必要があるだろうか

あなたが描くべきものは
あなたが日々接しているものだ
あなたにとってはありふれた日常かもしれない

しかしそれは
違う地域、違う時代に生きる人々にとって
とても新鮮なもの、貴重なものかもしれない

遠くばかりを見るのではなく
自分の足元に目を向けよう
惰性に流された視点を離れて
新しい立場でそれを見よう

□◆□…優嵐歳時記(2616)…□◆□

  雨にほっと一息つけり夏台風   優嵐

「台風」は秋の季語です。火曜日は台風の接近で一日雨が降り続きました。北の風が吹き、南側の窓を開けていれば雨は吹き込まず、適度に涼しい空気が入って快適でした。日中でも屋内の最高気温は26℃程度と真夏には珍しい気温となりました。暴風雨で被害が出るのは困りますが、台風が雨とひとときの涼しさをもたらしてくれ、感謝です。

10キータイマーを買いました。私はいろいろなことによくタイマーを使います。これまで使っていたもののボタン電池がきれたため、買い換えることにしました。今度の製品は単4の電池を使うので、すでに持っている充電式の単4電池を繰り返して使えそうだと思いました。

私はタイマーは10キーのものが好きです。キーの数が少なく小ぶりなものもありますが、こういうのは時間設定がしにくい。最も直観的にわかり、操作もしやすいのが10キーです。道具類というのは、ちょっとしたことで使い勝手が大きく違います。

IMG_1394<翼>
世の中を 憂しと恥しと 思へども
飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば   
山上憶良はそう詠んだ

ほんとうは
人はいつでも飛び立つことができる
鳥のような翼は無いけれど
心で飛び立つことができる

あなたを憂しと恥しに縛り付けているのは
ほかならないあなた自身の心
自分で自分を縛っておきながら
飛び立てないと嘆いている

鳥が翼を使って飛び立ったところで
どこへ行けるだろうか
どこかの地上へ降りるだけ

人間は心で飛び立てば
全く異なる次元の地へさえ
飛んでいくことができる

□◆□…優嵐歳時記(2615)…□◆□

  夏の陽をかえして崖は垂直に   優嵐

台風が接近しているようです。海の日の月曜は北風が終日吹き、雨が降ったりやんだりしていました。高温が続いた後だけにほっと一息つけます。予報では水曜日が暴風雨になっていました。

夏に私が最もよく食べる果物はグレープフルーツです。ルビー種の外側の皮を削り取って果実のみを乱切りにして食べるのが好みです。秋冬の果物としてはりんごが好きです。貯蔵技術が進んで夏場でもりんごが出回るようになっていますが、やはり味が落ちます。

IMG_1405<発見>
あなたが日々何気なくやっていること
それらは成長の過程で意識的に
獲得してきたものばかり

寝返りを打つことすら
生まれたときはできなかった

這い、立ち、歩き
噛み砕き、飲み込み
話し、書き
飛び上がり、駆け出し

道具を操り
音楽を聴きながら
車を運転して考え事をすることさえ
できるようになった

意識的な行動を獲得し
それを無意識へと落とし込み
それを数知れず繰り返して成長して来た

それによって得たものは計り知れないが
それによって失っているものもある

今一度無意識領域から
それらの行動を取り出し
意識的におこなってみよう
きっと新しい発見があるはず

□◆□…優嵐歳時記(2614)…□◆□

  襟足と素足の白き浴衣かな   優嵐

アートワークのために大阪へ行っていました。行きの電車で浴衣姿の若い女性をみかけました。髪をアップにして、清楚な雰囲気が漂い、いいものだなと思いながら見ていました。和服というのは、たとえそれが浴衣であったとしても、和服だけが醸し出せる色気というのがあります。

ワークが終わった後、画材店でアクリル絵画用の細筆を買いました。ペンキで線描するときに使おうと思っています。通常の水彩画なら、毛筆用の筆で代用できますが、ペンキはアクリル塗料なので、天然毛は痛みやすいのです。今は学童用の絵筆を使っています。アクリル絵画用と銘打たれた画材店のものと描き比べてみて、もし大差なければ、この先は学童用でいいかな、と思っています。

IMG_1403<自由>
自由というのは
外からやってくるものを
押し付けと感じて
それに抵抗することではない

やってくるものに沿いながら
それに応じて
自分のものの見方
自分の立ち位置
それらを変えていくことが自由だ

外界は変わらない
変えられるのは自分だけ
そして
そういうことができるのは人間だけ
だから本当の自由は人間にしかない


□◆□…優嵐歳時記(2613)…□◆□

  高速路青田青嶺を貫いて   優嵐

「青田」も「青嶺(あおね)」もそれだけで夏の季語です。そろそろ風にそよぐようになった青い稲の並ぶ水田が青田です。そこに風がつくる青い稲の揺れを「青田波」といいます。「青嶺」は緑盛んな夏の山です。増位山の頂からは播但自動車道と山陽自動車道を眼下に眺めることができます。

播但自動車道は青田の中をまっすぐに北へ伸びています。山陽自動車道は、増位山トンネルを出て次のトンネルに吸い込まれるまでのわずかな距離が、すぐそこに見えます。南へ目をやれば、姫路バイパスも見えます。東には低い山並みの向こうに明石海峡大橋の主塔が並んでいます。

IMG_1400<夢心地>
リクライニングチェアに寝転んで
昼寝をした
風がよく通る部屋

メッシュのリクライニングチェアは
通気性がいい
身体の上と下を風が抜けてゆく

しばし灼熱の地上を離れ
極上の夢心地を味わう



□◆□…優嵐歳時記(2612)…□◆□

  月涼し静かに夜を渡りおり  優嵐

夜中にふと目が覚めて窓の外を見たら、快晴の夜空の中ほどを満月に近い月がしずしずと進んでいるところでした。真夜中でさすがに街は寝静まっています。月には灼熱の昼と酷寒の夜しかなく、季節はありません。しかし、こうして何万キロか離れた場所にいる人が、そこに四季のうつろいを重ねてさまざまな詩歌に詠んできたというのは、考えてみればおもしろいものです。

「涼し」は夏の季語であり、それは「朝涼」や「涼風」といった体感として涼しさを感じられるものだけでなく、「月涼し」「灯涼し」「鐘涼し」といった心情的な涼しさを意味するものにも使われます。

IMG_1364<涼しさ暖かさ>
立ち居振る舞いが
涼しげで
心が暖かい
これは誉め言葉になる

所作が暑苦しく
心が冷たい
これはとんでもない

ほんのちょっとした違いなのに
この温度差はどうだろう
すべからく
そういうものかもしれない

□◆□…優嵐歳時記(2611)…□◆□

  夏の日の風よく通る座敷かな  優嵐

暑い日が続いています。それでも風通しさえよければ、気温が高くてもそれほど苦労なく過ごせます。日中は南北の窓を開け放っていれば、ときに涼しすぎるほどです。

断捨離以降、私にとっての最も身近な気分転換は掃除になっています。しばらく同じ事をしていて、ちょっと気分を変えたいと思ったとき、これはいい方法だと気がつきました。ものを食べたりどこかへ出かけたりするよりも手軽で費用がかかりません。部屋が片付いてきれいになるというメリットもあります。

掃除が嫌い、苦手という人は少なくないはずです。以前の自分がそうでしたから。「掃除なんかしなくても死なない」と言っていたくらいです。しかし、片付いてきれいになると、何ごともスムーズに進むことに気がつきました。すっきりしているので、ものを探し回るということがなくなりました。

また、掃除は一気にまとめてするよりも、中途半端でもいいからこまめにする方がきれいな状態を保てます。掃除をしよう、と思うから「家事」になって大変なのであって、気分転換だと思えば、これほどいいものはあまりないんじゃないか、とすら思います。

IMG_1399<ドウデモイイコト>
世の中にはさまざまな
指南書が出回っている

ハウツーが有効で必要なものと
どうでもいいもの
有害なものがある

車の運転にはハウツーが必要だし
もし好き勝手に運転したら危険だ

絵の描き方や本の読み方なんていうのは
どうでもいいものの部類なんじゃないか
描きたいように描き
読みたいように読めばいい

本にはラインを引きましょうという人がいる
私は本にラインをひいたり書き込みをするのが
性にあわない

性にあわないことを無理にすることはない
ラインを引かなくても
本は充分読めるのだから

そんなことがいろいろある
ナントカカントカのための38の法則…
なんて
ほとんどが話半分


□◆□…優嵐歳時記(2610)…□◆□ 

  片陰に寝転び石工の昼休み   優嵐

片陰とは、真夏の炎天下の日陰のことを意味します。かんかん照りの真昼でも、正午を過ぎると建物の片側に濃い影が生まれます。これが片陰です。もともとは夏の日陰の中に総括されていましたが、今は樹木の陰を意味する「緑陰」や「木下闇」とは区別して詠われます。

100円ショップで買ったCD収納ボックスの蝶番が壊れてしまい、買いなおしました。CDをどんどん新しく購入するという時代は過ぎましたが、やはり無いと不便です。これより以前に同じ100円ショップで買ったクラフトボックス製のCDボックスはまだびくともしていないのに、それ以後に買ったプラスティック製のものは二つとも壊れてしまいました。

100円ショップには適当なものが見当たらず、ホームセンターで頑丈そうなコンテナボックスを買いました。やはり、しっかりした箱型のものが最も長持ちします。

IMG_1384<人生は…>
お好み焼きにぶなしめじを入れた
これがなかなかいける

お好み焼きの定番の具は
キャベツ、ネギ、豚肉、イカ、エビと
いったところだろう

しかし
肉や魚介類なんて
冷蔵庫にいつもあるわけじゃない

お好み焼きはふと冷蔵庫をのぞいて
そこにあるものでさっとできるのがいい

使っちゃいけないものも
だから存在しない
ああやっぱり
だから人生はお好み焼き

□◆□…優嵐歳時記(2609)…□◆□

  昼寝覚めいつしか雨はやんでおり  優嵐

火曜日は朝から曇って、お昼前には雨が降り出しました。気温はあがらず、30℃を超えなかったかもしれません。窓を開けていると、風が涼しすぎるほどでした。最近よく昼寝をします。夜が眠れないというわけではないのですが、ちょっと眠ると、これが快適なのですね。

夕方からテニスに出かけたら、テニスコートで見事な夕焼けを楽しむことができました。西の空だけでなく、全天が茜色に染まり、こういう壮大な夕焼けは夏ならではです。夕焼けの色が褪せると、すぐに月が雲間から顔を出しました。金曜日が満月です。

IMG_1325<つながる?>
肝心なのは自分自身なのだ

インターネットも
その派生物であるSNSも
つながることは素晴らしいと言う
つながることによって
世界はこんなに素敵な場所になる

半分は真実で半分は幻想だ
素晴らしいところになるかもしれないが
それはあなた自身が何をするかによる

誰かに期待して
そのためのつながりを求めるのはもうやめよう
そこにあるのは空っぽの洞窟だ

自分を深く掘り下げろ
外側の空虚な洞窟を覗き込むのではなく
内側にあるほんものの豊かさに目をむけろ
つながるのはそれからでいい


□◆□…優嵐歳時記(2608)…□◆□

  夏木陰離れる吾と影法師   優嵐

晴天が続いています。それでも自然歩道の散歩はほぼ全面が木陰ですので、真昼に出かけても問題はありません。山上の駐車場の木陰になったところに車を停め、エアコンをかけて過ごしている人を見かけます。家では苦情が出るからなのでしょうか。

関西電力の節電を呼びかけるビラが配布されていました。事業所も節電で日中の電灯は暗くなっています。図書館へ行ったらエアコンが控えめでした。これで充分やっていけると感じます。少し我慢して少し工夫して、乗り切っていくことを考える必要があります。

IMG_1386<考える>
絵について
これでひとまず落ち着いたと
ほんの数日前に書いた

ところが
絵を描いていると
また考えることに出会う

何を描くかによって
描き方は変える必要がある
人物画でこれでいいと思っていたことが
風景画になると違ってくる

ペンとペンキでは違うし
色鉛筆とオイルパステルでも違う
固体を描くのと気体や液体を描くのは違う

また試行錯誤
でも
これが面白いんだよね



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