優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2011年07月

□◆□…優嵐歳時記(2607)…□◆□ 

  渓流を渡り涼しさ渡りけり   優嵐

三濃山登山では、ずっと渓流に沿った道を歩いていきました。渓流は体感温度を下げてくれるだけでなく、流れは目に涼しく、音は耳に涼しさを与えてくれます。涼しさというのは、ずっと同じように涼しいよりも、波があって、いっときすっと涼しくなる、という方が感じる度合いが大きいように思います。

自然の風が涼しく感じられるのも空気の動きに強弱があるからでしょう。人間はどんなものであれ、同じ状態が続くと慣れて感度が鈍くなります。ずっと幸せだったらいい、なんて言いますが、同じ状態が続くと人は慣れて飽きてしまいます。不老不死は人間の究極の願いだそうですが、もしそれが実現したら、実際は耐えられないのではないでしょうか。

全員が不老不死だったら、何も変化が起こりません。同じ状態が続き、永遠に同じ事を続けていかなければならないとしたら、ある種の地獄かもしれません。人生が有限で、人は老い衰え、ままならぬことがあるから、「幸福」を感じられるのではないか、と思います。

IMG_1372<燃える季節へ>
梅雨明け三日目
洗濯をし布団を干した
梅雨の湿りをこれですっきりさせ
炎暑を迎える

すべての窓を開け放って
梅雨から真夏へと気持ちを切り替える
午後四時の山の上には
積乱雲が四本

めまいがしそうな日差しの中で
炎熱の季節の始まり



□◆□…優嵐歳時記(2606)…□◆□ 【真夏】

  森抜けて真夏の空の青さへ出る   優嵐

土曜日は兵庫県西部、相生市の北部にある三濃山(みのうさん・509m)へ登ってきました。瓜生羅漢石仏公園の研修センター駐車場に車を停め、そこから沢(鍛冶屋川)沿いの林道を歩いて行きます。ゆるやかな登りで、右に左に渓流が展開し、頭上はずっと木陰になっています。

梅雨が明けて猛暑が予想されましたが、さすがに緑陰は涼しく街中とは全く気温が違うと思いました。ただ、ここでもヤマビルに遭遇したのには驚きました。30分ほどで「三濃分かれ」の標識にあい、右へ登って行きます。渓流から離れるのかと思っていたら、川は小さな滝になってさらにその上でため池につながっています。

IMG_1369カエデなどの落葉広葉樹が多く、紅葉のシーズンは素晴らしいでしょう。林道よりはやや傾斜は強くなりますが、ほぼなだらかな道のままやがて峠に出ます。そこには大きな看板が立っていて、三濃山周辺の案内図があります。

北へ向かうとすぐに三濃山求福教寺の前に出ます。お堂の前の立札によれば、ここは平安時代から三濃千坊といわれ、山中にいくつものお堂が建ち並んでいました。しかし、保元・平治の乱で焼き討ちにあい、本堂を残してほぼすべて焼失したということです。

IMG_1371お堂の裏から境内地を抜けると、新しいお堂や地蔵菩薩像などが並んでいます。そこから短い急坂を登っていくと、南に播磨灘が見えはじめ、すぐに山頂に着きました。頭上には真っ青な空が広がり、確かに梅雨は明けた、真夏だという実感がありました。

頂上には、枯れかかったアカガシの巨木があります。まだわずかに命を保っており、蘇生の努力が続けられているようです。頂からは南に姫路市沿海部の工場群、さらに緑の山なみの向こうには播磨灘、家島諸島が見えました。




□◆□…優嵐歳時記(2605)…□◆□

  梅雨明けに普請の音の高かりし   優嵐

近畿地方は8日に梅雨が明けました。立秋が8月8日ですので、それまで真夏になります。例年より早い梅雨明けで、長い真夏になりそうです。去年のように残暑も長引けば、三ヶ月近い猛暑ということも考えられます。体調管理に気をつけて、乗り切りたいものです。

最近mixiへほとんど行かなくなりました。コミュニティで投稿していたのをやめたのがきっかけです。行かなくなると、別に無くてもいいな、とわかりました。SNSやTwitterは依存症になりやすいサービスだと思います。もともとインターネットそのものが依存性を誘発しやすいシステムになっています。

コミュニティに投稿していたのさえ、ただ投稿していただけで、それで何か建設的なことにつながったか、というとほとんど何もありません。こうしたネットを使ったサービスはまだまだ続々と生まれていますが、結局、人間の時間は一日二十四時間しかありません。ガジェットに時間を費やせば、それで時間が有効に活かせるより、むしろ時間を奪い去られる方が大きいのではないか、と気づきました。

IMG_1365<転換>
失敗は成功のもとだという
それは
失敗を糧にして考え方や方法を
変えられるからだ

恥、屈辱、不面目
それらを振り払って
違う視点から失敗を見ることができるか

本来ものごとに恥も名誉もない
そう思っている自分がいるだけ

□◆□…優嵐歳時記(2604)…□◆□

  涼風に会うため山を歩きけり   優嵐

絵を描いていて、題材になるものを探そうとネットのフリーの写真素材サイトなどを見たりします。ところが絵にできそうな写真は意外に少ないのです。なぜだろうと考えているうちに、写真と絵の根本的な視点の違いに気がつきました。特に投稿されているほど腕に自信のある人の写真では、それがはっきりしてきます。

写真を撮影する人は、その映像が「写真」として素晴らしいものになったらいいと考えて撮影されています。ですから、写真としてはいいのですが、絵の素材としては使いにくいものになります。光に凝っていたり、焦点が一方に偏っていたり、角度が斬新ということが珍しくないからです。

絵というのは、「らしさ」がないと絵になりません。アジサイの絵を先日からいくつか描いていてそのことを強く感じました。アジサイにはいろいろな変化種があります。しかし、最も絵になるのはやはり色、形ともにオーソドックスな品種です。絵は絵単独で存在するのではなく、それを見る人がいて初めて「絵」になります。それが写真との違いかもしれません。

見る人のイメージの中にある「アジサイ」と描かれたアジサイが呼応しあって初めて、見る人に納得してもらえる「絵」になるのじゃないか、と感じます。アジサイらしさ、チューリップらしさ、アサガオらしさ、というものは、有名な花だけにすでに多くの人のイメージの中にあり、その型からはみ出るものは、受け入れが難しい。

IMG_1321<掛け算>
この世のすべてはつながっているという
そのことがだんだん理解できるようになってきた

何かに気がついて
「そういうことだったのか」と
納得したとき
これまで知っていたはずのことに
別の角度から光が当たる

そして再び思うのだ
「そうか、そういうことだったのか」

新しいことを吸収していくのは足し算
そうやって積み上げていく

ところがだんだんそれらの知識が
内側で新しいつながりを持ち始める
これは掛け算

そろそろ掛け算が始まったのだと思うと
楽しい

□◆□…優嵐歳時記(2603)…□◆□

  朝涼の窓開け放ち絵を描く  優嵐

「涼し」というのは夏の季語です。夏は暑く、それを耐え難く思う心が涼しさを求めます。一日の時間帯においても、それぞれ「朝涼(あさすず)」「夕涼(ゆうすず)」「晩涼(ばんりょう)」「夜涼(やりょう)」などと季語があります。このうちでも最も涼しさを実感できるのが朝でしょう。

最近は朝の涼しい時間帯に絵を描いています。今日の坂井泉水さんの肖像画もそうやって描きました。第19作になります。二ヶ月ほど前から描き方についてあれこれ試行錯誤し、ひとまず落ち着きどころに来た、そういう感じがしています。元になった写真は97年の4月に六本木のMod Studio Beingで撮影されたものです。レコーディング中のひとこまのようです。


IMG_1359
MDFボード(455×305mm)、アサヒペン水性アクリルつや消し白、ハピオ水性アクリルシリコン黒、万年筆&プラチナ顔料ブラック・顔料ブランセピア、サクラクレパス、ぺんてるくれよん

□◆□…優嵐歳時記(2602)…□◆□ 

  梅雨の雷遠く静かに鳴り終わる  優嵐

雷は夏の季語です。その中で、特に「梅雨の雷」と独立した季語になっているのは、雷が鳴ると梅雨が明けるといわれているからかもしれません。盛夏の夕立の雷とは少し違う感覚を持った季語です。

坂井泉水さんの誕生の「日」です。今日はZARDの6枚目のシングル『負けないで』(93.1.27)のカップリング曲『stray love』を取り上げます。坂井泉水さんはリズムからわずかに遅れ気味に歌っていたといわれています。この楽曲ではその特徴がよくわかるのではないでしょうか。

stray love



ZARDの楽曲の魅力は、坂井泉水さんのボーカル、詞、曲、いろいろありますが、アレンジもそれを支える大きな柱だと思います。この楽曲を最初に聴いたときから、ドラムの音が凄くいいなあと感じました。イントロの、空間に広がりを感じるドラムの響き。ボーカルが入った後も彼女の声を支えるようにドラムがずっと寄り添って行きます。

ZARDの楽曲は、ひとつの楽器、例えばドラム、サックス、ピアノ、ギターといった楽器が非常に魅力的に奏でられるものが少なくありません。中心は坂井泉水さんのボーカルですが、それをこうした楽器がサポートして、歌の世界を広げているのです。

楽曲を作るにあたって、アレンジは編曲のプロが担当しておられるわけですが、内容に関しては坂井泉水さん自身がかなりいろいろな希望を言い、彼女のイメージを元に制作されていたようです。彼女はインタビューに答えてこのように語っています。

「私の場合、仮歌の前のオケの段階で自分の中にその曲のイメージが出来上がっているんですね。そして、それをT.D(トラック・ダウン)まで覚えている。でも、そのイメージは私にしかわからないし、やはり言葉では伝えきれない部分もあるんです。それで申し訳ないのだけれど、私が最初に抱いたイメージを再現してもらうために、立ち会って細かい部分は口を出させてもらうんです」(Music Freak Vol.4)

やっている以上はこだわりを持っていい作品を創り出したい、といい、作品に関しては完璧主義者だったといわれる坂井泉水。しかし、それは完璧主義者というよりも、彼女自身の中にあるものを正確に表現して伝えたいという気持ちのあらわれだったのではないでしょうか。


□◆□…優嵐歳時記(2601)…□◆□

  咲き初めし合歓の花へと昼の雨   優嵐

月曜日はお昼過ぎあたりまではまずまずの空模様でした。ドライブウェイ沿いに合歓の花がちらほらと咲き出しています。絵に描くのはもう少し咲いてからです。今は紫陽花、額紫陽花が描ききれないほど咲いています。随願寺の境内でヤブカンゾウも見ました。ノカンゾウが一重なのに対し、こちらは八重です。

増位山に登っていく手前の池で睡蓮が咲いています。車を降りて池のすぐ側まで行ってみたら、あまりに葉の元気がよすぎて花を覆いつくさんばかりでした。蓮の葉は高く水面から突き出るのですが、ここの睡蓮はもうすぐ蓮になるんじゃないかと思うような葉の勢いでした。

IMG_1331<聞く>
テレビも新聞も見なくなって久しい
インターネットでニュースを見ていたが
それもこのところご無沙汰だ

それでも充分日々の生活はやっていける
マスメディアが
人間生活に大きな役割を果たしていることは認める

しかし
個人生活にとって
それらが絶対に不可欠なものとは思わない

そうしたものから距離を置いて暮らすことも
ひとつの生活の知恵ではないだろうか
メディアの声ばかり聞いていると
自分の内側の声が聞こえなくなる

□◆□…優嵐歳時記(2600)…□◆□

  あじさいに降る雨優し山の寺   優嵐

お昼ごろ山へ散歩に行ったら雨が降り出しました。かなり激しく降っているというのでない限り、雨でも山を歩きます。雨のときはまた雨なりの面白さがあるものです。あじさいは雨の時の方がいきいきとして見えます。合歓の花が咲き始めています。里ではカンナも咲き出しました。

最近お好み焼きをよく作るのですが、いろいろ具を変えて、意外にイケるではないか、と思ったのが梅干です。普段はあまり梅干を食べません。もともとお漬物の類をほとんど食べないのです。しかし、はちみつ梅干をちぎって入れてみたらこれがなかなかな美味しさでした。夏だからかもしれません。

IMG_1243<半年>
一年の半分が過ぎた
この半年の出来事を
年の初めに予想していた人はいないだろう

変化とはこういうものだ
それでも一日一日は確実に過ぎ
今日は過去になっていく

この先の半年に何が起こるか
それだって誰にもわからない

何が起こってもかまわない
起こることは起こるし
起こらないことは起こらない

□◆□…優嵐歳時記(2599)…□◆□

  萱草の花を残して草刈られ   優嵐

増位山の蛇ヶ池周辺の草刈が行われていました。枇杷の木の周辺もきれいに草が刈られていましたが、萱草は残されていました。なんだかうれしくなります。枇杷はどんどん熟れ、野鳥と散歩に来る人がちょいちょいとつまんでいます。もぎたてを食べる贅沢が楽しめるのです。

空は曇りがちでしたが本格的な雨にはなりませんでした。散歩をして藩主・榊原政邦の墓所の前に来た時、バラバラと音がしました。にわか雨です。しかし、このあたりはシイやカシなどの常緑広葉樹の高木が多いため、にわか雨程度では地面まで濡れません。見上げると隣り合った樹木同士がジグソーパズルを組み合わせるように葉を広げ、空を分け合っています。

IMG_1250<いたちごっこ>
都市銀行に新しく口座を開こうとして
資料を取り寄せた

口座開設にはインターネット取引と
クレジットカードがセットになっている
説明書を見ながら必要事項を
書き込んでいく

これがほんの数年前に比べてさえ
とても複雑になっている
個人の身分証明も二種類必要
以前なら運転免許証だけでよかったのに
居住を証明するものまでいる

キャッシュカードの種類も三つ
さらにあれこれと注意事項があり
それらの細かい説明をすべて読んで
理解して書き込んでいかなければならない
犯罪防止の意味もあるだろう

Webの登場で便利になった
そして犯罪の手口も巧妙多彩になった

これからさらにサービスが増え
書き込まなければならない事項
用意しなければならない証明書は
増えていくだろう
テクノロジーはますます進化し
いたちごっこも複雑高度になる

□◆□…優嵐歳時記(2598)…□◆□

   七月や開きし窓より雨の音   優嵐

目が覚めると雨が降っていました。なんだかほっとしました。このまま猛暑の真夏に突入するのかと思っていたのが、通常の梅雨空に戻ったからです。週末から来週初めにかけては曇りや雨のマークが並んでいます。連日35℃などという暑さはもう少し先でいいです。

節電は今年日本の最大のテーマのようです。私はもともとエアコンを持っておらず、扇風機オンリーの生活です。自宅で仕事をしますから、風通しのいい部屋に涼しい服装でいれば、充分過ごせます。本来日本の夏は熱帯のような服装で過ごすのが正しいと思います。

ビジネススーツのルーツは英国です。イギリスは緯度の高いところに位置する国で、その夏は日本のような高温多湿の夏とは全く違います。そこで発達したビジネススーツをそっくりそのまま真似るのは無理があります。風土にあった服装が最も効率をあげるのではないでしょうか。

IMG_1215<その前に>
断捨離の結果
掃除と片付けがうまくなった

ポイントは
出したら仕舞う
汚れる前に掃除する

これまでは
またすぐに使うからと
使ったものを仕舞わずにいたり
汚れが目だつまで掃除を伸ばし
乱雑さを助長していた

貯まるまで待つのはお金だけでいい

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