優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2011年11月

□◆□…優嵐歳時記(2745)…□◆□ 

  小春日のあいさつ交わす土手の道   優嵐

月曜は曇って今にも雨が降りそうなお天気でしたが、結局雨は降らず、翌日に持ち越したのかと思いきや、火曜日は風のないぽかぽか陽気になりました。木枯しが吹いた後に訪れる静穏な晴天を「小春」といいます。陰暦十月の異名でもあります。一般に十一月半ば過ぎから十二月初めごろの暖かな日和をさしてこう言います。

その字面のとおり、春を思わせるお天気です。小の字がついているのは、期間が短く本格的な寒さに向かう前の一休みをさしているからでしょう。冬将軍到来前の晴天をいとおしく思う気持ちがこめられています。随願寺の境内で水仙が咲き始めているのを見つけました。今日で十一月は終り、明日から師走です。

IMG_2378<人生の長さ>
一年が過ぎ去る速さに驚くようになって久しい
すでにそのスピードに慣れた

子どもの頃の一年は
今の十年くらいの長さがあった

だから
子ども時代というのは
心の内ではとても長い時間

人生八十年としても
二十歳あたりで
心理的には人生の半分をすでに生きている
そんな気がする

□◆□…優嵐歳時記(2744)…□◆□

  句会終え冬あたたかき街に出る  優嵐

IMG_2371二日目は大阪城へ吟行に行きました。ホテルからは歩いて15分ほどの距離です。途中NHK大阪放送局と大阪府警のビルの間を通りました。銀杏黄葉が盛りです。大阪城公園では、ジョギングしている人たちをたくさん見かけました。お城への道の傍らには懸崖菊が並べられていました。歴史的建造物にこの菊は実によくあいます。





IMG_2365姫路城が身近にあるため、コンクリート製の大阪城にいままで興味を持ったことはありませんでした。しかし、その石垣に使われている石の巨大さには驚きます。畳20畳から30畳敷の石がいくつも使われているのです。最大のものは小豆島から運ばれた蛸石です。
(この写真は、城壁の銃眼から見た大阪府警です。)→


IMG_2367それほど時間がありませんでしたので、エレベーターで五階にあがり、そこから七階の天守展望台に行きました。今年は天守閣が復元されて80年になります。鉄筋コンクリートの建物では世界最古とか。展望台をひとまわりすれば大阪を360度眺め渡すことが出来ます。六甲山、生駒山といった大阪を囲む山が見え、高層ビルと浪花の街、大阪城の城郭の規模の大きさも実感できます。


IMG_2368考えてみれば大阪城の天守閣に登ったのはこれが初めてで、近くなのに意外に知らなかったと思いました。昼食をはさんで三回目の句会を行いました。主宰から「言葉を大事にする」「俳句としての表現に気を配る」というお話をきき、リアルの句会で学ぶことの重要性を感じました。




□◆□…優嵐歳時記(2743)…□◆□

  快晴が包みし冬の奥琵琶湖   優嵐

IMG_2348土日は同人の句会で長浜と大阪へ行ってきました。両日ともよく晴れて暖かく絶好の吟行日和になりました。特に湖北の長浜は北陸地方がもう目の前という場所です。金曜日は冷たい時雨が降るお天気だったそうですが、土曜日は風がほとんどない快晴の小春日和でした。

湖岸へ出ると、鴨の群れがたくさん波にゆられていました。餌の藻がそこに多いのか、決まった場所にたくさん固まっています。復元された長浜城の天守閣が湖岸にあり、そのかたわらの松の雪吊りを見て、雪国を実感しました。対岸の湖北の山々はすでに雪化粧していました。

IMG_2350お昼ごはんを湖畔の長浜ロイヤルホテルの「ダイニングルーム四季」でいただきながら、最初の句会をしました。吟行のおもしろさは、新しい土地へ行きそこで出会ったものを即座に俳句にしてお互いに鑑賞しあうところにあります。同じ場所に来ているにもかかわらず、それぞれ見ているもの、感動を覚えるものが違うことにあらためて気づきます。

長浜ロイヤルホテルの13階にあるここは、非常に見晴らしがよく湖北全体を一望のもとにできます。この日は快晴だったためさらに展望がすばらしく、冬にこれだけの眺望を得られるのは稀ではないかと思いました。

IMG_2357夕方には長浜を後にして宿泊先のプリムローズ大阪へ向かい、そこで夕食後、二度目の句会をおこないました。俳句の吟行句会では、句会が主目的ですから、できる限り時間をさいて句会をおこないます。俳句結社ですから、主宰がいらっしゃいます。リアルの句会では直接その場で主宰から詳しくお話を伺うことができるというのも有意義なことです。

□◆□…優嵐歳時記(2742)…□◆□ 

  蟷螂の枯れて静かに石の上   優嵐

木枯しがやんでよく晴れ、増位山の頂からは遠くまで見渡すことができました。大鳴門橋方面は逆光になるため、あまりはっきりしませんでしたが、東と北の六甲山、丹波方面の山々がずらりと見えました。冬になるとここの山頂は風がさえぎられて日がよくあたり、暖かです。

梅林まで降りてくると、あずまやにカマキリがいました。カマキリにはいくつか種類があり、ほとんどが緑色ですが、枯れ色をしているものもあります。この色は生まれつきのもので、途中から変わるわけではありません。しかし、冬に入ってあらゆるものの活動が鈍る中、カマキリもまた活動が衰え、そばに
寄ってもじっとしています。

この週末はインターネット俳句の同人の集まりで大阪へ行きます。そのため明日のブログはお休みにします。次の更新は月曜日の予定です。『優嵐スケッチブック』の絵はすでに予約投稿していますので、見に来てくださいね。

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□◆□…優嵐歳時記(2741)…□◆□

  手袋へ五指すっぽりと山路ゆく   優嵐

夕方まで木枯しが吹いていました。気温が下がり、山への散歩に今シーズン初めてブレスサーモの手袋をしていきました。木の葉が吹き飛ばされていました。それでもこういう日はお天気がよく、青空が輝いて見えます。山の錦は今が最盛期で、黄や赤に色づいた葉が風に揺れて華やかです。

ART-Meterの登録作品数が増えました。といってもこれはART-Meterのシステム変更によるものです。ここでは作品販売実績によって画家レベルが変わっていきます。これまで五段階しかなかったレベルが一気に50段階に増えました。いま、レベル3にいる私は、常時30作品を出品できるようになっています。五日ごとに一作品をアップできるくらいになりましたので、とてもうれしいです。『優嵐スケッチブック』に掲載するオイルパステル作品を順次アップしていこうと思っています。

ART-Meterのサイトに行くと、いろいろな作品が全く区別無く登録順に並んでいておもしろいです。日本画、アクリル、コミックイラスト、抽象、水墨、版画、デジタル、油絵など、全く区別がありません。プロもアマも実績もテクニックも関係なく、見た人が好きに選べるシステムになっています。

IMG_2319<消去>
ライフログという言葉がある
自分が経験したすべてのことを
デジタル化してオンラインに
ストレージしておこうというのだ

言いたいことはわかる
そういうのが人をひきつける魅力を
持っていることもわかる

しかし
人は消し去りたいと思うことの
ひとつやふたつは必ず持っている
ストレージしたときはそうでなくとも
人は変わる

それを肝に銘じておくこと


□◆□…優嵐歳時記(2740)…□◆□

  手打ち蕎麦食べて時雨の中へ出る   優嵐

勤労感謝の日は、朝から時雨がちのお天気でした。冬が進んでいく時のうら寂しくなるような空模様です。従兄が手打ち蕎麦をご馳走してくれるというので行ってきました。彼は茶の湯に親しんでおり、お手前もいただいてきました。先日、叔母の葬儀の席で隣り合わせてそういう話を聞くまでは、その従兄がそんなことに精進しているとは全く知りませんでした。蕎麦はコシがあり、おいしくいただきました。

茶の湯は禅から始まり、戦国武将がたしなんで、日本文化に大きな影響を与えています。陶芸、和菓子、生け花、書、和食、建築など、多くのものに深いつながりを持っているのです。本気でやればいろいろ学べて面白いのだろうと思いました。従兄は「亭主としてすべてを準備してもてなすことができるようになりたい」と言っていました。

IMG_2321<表裏一体>
宇宙空間から地球を映した映像を見ると
夜と昼の様子がよくわかる

世界中のどこかで刻々と日没がおこり
同時に日の出がおこっている

ここの日暮れはどこかの夜明け
それは表裏一体の出来事


□◆□…優嵐歳時記(2739)…□◆□

  赤き実のそこここにあり冬の森   優嵐

パソコンで文書を書くようになって、簡単な字をいざ手書きしようとしたら忘れているという経験は誰でもあるでしょう。メモなどを手書きして、字を忘れないようにしてはいます。しかし、キーボード入力の快適さに慣れてしまい、もう長い文章を手書きする気にはなれません。字が下手になるわけですね。

最近ではGPSの普及で、どこへ行くにもそれに頼りきり、方向感覚が鈍っていることを痛感する人が増えているそうです。私は車にGPSを取り付けてはいません。携帯電話のそうした機能もほとんど使いません。知らない場所に行く場合はGoogleの地図に道順を入れプリントアウトして持って行くようにしています。普通の道路地図もよく使います。

GPSに頼りすぎて方向感覚や空間把握の能力が衰えつつあるというのは、何か現代人を象徴しているような気もします。手っ取り早いハウツーのようなものに依存し、自分の持っている直観を眠らせているような…。人間が持つ本能的な感覚には、機械には決して真似できない要素があります。そういうものを閉ざしてしまわないよう心がけたいと思っています。

IMG_2299<眠り>
目が覚めたとき
いいアイデアが浮かんでいることが多い
眠っている間
きっと私は私ではないのだ

□◆□…優嵐歳時記(2738)…□◆□

  六甲の上の冬空真青なり   優嵐

日曜は快晴で、電車の海側の席は日差しがまぶしく、日よけをおろしていました。山側を見ると、六甲山がきれいに見えました。昨日の続きを書きたいと思います。「プロセスを信頼する」ということについて、私自身が今これに最も近い印象を受けるのは、「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候。死ぬる時節には死ぬがよく候。これはこれ災難をのがるる妙法にて候。」という良寛の言葉です。

私がこの良寛の言葉に見るのは、「やってくるものを素直に受け止めなさい」ということです。善悪、正邪、良否、好き嫌いを言ってそれを押しやろうとせず、そこに身を委ねなさいということです。そうしたレッテルを貼ることは人間の自我から出たものであり、この世界の出来事に本来そういう色合はありません。

こういうことはものごとがうまくいっているときは受け入れられやすいのですが、ひとたび自分にとって都合が悪く思えることに出会うと「委ねる」ことが難しくなります。もちろん、私自身もそうです。しかし、自分の観点を離れてもっと大きな流れにまかせてみると、全く違う絵が展開していく場合が珍しくありません。

同じ経験をしたように見えても、そこへどのような心構えで入っていくか、どういう視点でそれを見るかによって世界は全く変わります。世界を変えるには自分が変わること、と言われているのはそれゆえだろう、と思います。

IMG_2312<強敵>
人間の一番の強敵は
どこの誰でもなく
自分自身なのだと思う

自分自身の自我
もっともらしい理屈を生み出し
それがタダシイことと自分を
言いくるめようとする

この世に生まれてきた一番の目的は
この強敵とどう渡り合うかを知ること

□◆□…優嵐歳時記(2737)…□◆□ 

  冬晴れやマラソン準備整いし   優嵐

アートワークのために大阪へ行っていました。土曜日の雨があがり、快晴の朝になりました。JRは須磨・垂水あたりでは海岸沿いを走ります。日曜は神戸マラソンが行われ、垂水はその折り返し地点になっていたようです。ブルーのテープが沿道に張り巡らされていました。大勢の係員の方の姿も見えました。明石海峡大橋の間近を走りますから、絵になる場面だろうと思いました。

アートワークに関して、絵を描くことは重要なポイントですが、むしろその周辺で考えること、出会うことから教えられることが多いように思います。アートそのものは目的ではなく、きっかけです。それをきっかけに浮かび上がってきたものから、「何かに感づく」ことが大事ではないか、と思うのです。

言葉にすると隔靴掻痒のような感じで、適切な表現を見つけにくいのですが、その「何か」というのは「自分がこれまで予想していたような形では来ない」ようです。何か思いもかけないこと、論理的には説明がつかないのだけれど、何かを飛び越えてそのつながりが直感的にわかる、というような形でやってきます。ハウツー的なことを求めてしまいがちですが、ハウツーを追い求めている限り、感づくことは決してありません。

そういうものへの回路をもともと人間は持っていたのでしょうけれど、成長するに従って閉ざしてきたのではないか、と思います。もちろん、そういうものだけに行ってしまうと、困るのですが、閉ざしてしまうと自分の周りに檻を作る結果になります。

「自分がやりたいことに従う」「自分の意志を貫く」というのは素晴らしいことだ、と思われています。アートワークをやるようになって、これらのことは必ずしもそうとは言えない部分があると気づきました。特に、自分の意志や希望に反するものが目の前に立ち現れたとき、その良否を即座に判断せずにしばらく観察する、来たものをひとまず受け取ってみる、そういうことは大事です。

それは妥協とか敗北ではなく、エゴの枠を外していくことなのではないか、と思います。プロセスを信頼する、ということにも繋がるのかもしれません。プロセスを信頼していれば何が起ころうと「いまに在る」ことができるのではないでしょうか。

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□◆□…優嵐歳時記(2736)…□◆□

  落葉踏み山を巡りて戻りけり   優嵐

金曜日の夜から降り始めた雨が土曜日の午後まで降り続いていました。それでも暖かく、もう11月末に入っているという感じがしません。この冬からコタツをやめて遠赤外線電気ストーブに変えたため、部屋で過ごすときは下半身の保温に気を配ろうと思い準備しています。

例年、コタツの時期になると部屋の中では裸足で過ごしていました。もともと手足が暖かくコタツではその方が心地良かったからですが、今シーズンはその代りにフリースのテントシューズをはいています。フリースは手入れが簡単でアウトドアで重宝しますが、室内でも便利です。軽く暖かいので、この冬はロングパンツの部屋着としてもこれを使おうと思っています。

IMG_2302<変化>
久しぶりにストレッチをしたら
身体が硬くなっていた

昔々身体が硬くて
毎日ストレッチするようにしたら
見違えるように柔らかくなった

柔らかくなったことも
硬くなったことも
自分が日毎変化していることの証

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