優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2012年01月

□◆□…優嵐歳時記(2806)…□◆□

  空よりも海の光りて冬深し   優嵐

ノートパソコンを買い替えたので、古いものを下取りに出しました。Windows vistaが出る直前に買ったXP搭載のものなので、数年たっています。前の買い替えのときも下取りしてもらいましたが、今回はそのために住民票の原本が必要だと言われてびっくりしました。前は確か運転免許証のコピーでOKでした。いろいろ規制が厳しくなっているのでしょうか。

新しいパソコンにはもうすっかり慣れました。15.6型のワイド画面が最初は広すぎると感じ、キーボードも幅が広いと思いましたが、初期化するために前のパソコンのキーボードに触れたら、もう感覚が変わっていました。人間の身体の慣れというのはたいしたものだと思います。なじむということがあるために、人間はさまざまな新しいものを使いこなせるのでしょうね。

IMG_2685<夢>
夢の中で夢を見ていた
夢の中の私は私ではなく
見知らぬ男だった

男は目覚めて夢かと思うのだが
その男は私の夢の中の存在
そうして夢から覚めた私は
誰かの夢の中の存在かもしれない

無限連鎖でつながる夢の中の夢



□◆□…優嵐歳時記(2805)…□◆□

  里芋の舌にとろけし冬の夜   優嵐

先日、姉から「これ、びっくりするくらい美味しいから」といって里芋をもらいました。里芋に関して、私は特に好きでも嫌いでもありません。しかし、びっくりするくらいと言われたので、里芋の味のみを楽しめる里芋だけの煮物を作ることにしました。そして、食べてみてほんとうにびっくりしました。おいしい! 里芋がとてもやわらかく、クリーミーといってもいいほどです。里芋ってこんな味だったのかと食べながら賛嘆しきりでした。

私は基本的にはグルメではありません。何でも美味しくいただけますし、絶対これでなければいやだというような強いこだわりもありません。好き嫌いも全くないと言っていいでしょう。健康であることと空腹が最高の調味料だと思っています。それは今も変わりませんが、素材の美味しさってやっぱりあるんだと認識を新たにしました。調理方法は、私が料理したので特別なコツも調味料も火加減もありません。それでもあの美味しさですから、驚きました。

IMG_2667<感性>
人格的には大人にならなくちゃいけないけど
感性は子どものままでなくちゃ
そう彼女は言った
そうしたら凄いものが作れる、と

確かにその通り
何かを作るだけじゃなく
生きていくことの楽しさを支えるのは
子どものような感性

うわあ凄いね
これおもしろいよね
やってみようよ
毎日を冒険にするのはその気持ち

□◆□…優嵐歳時記(2804)…□◆□

  暖かき色を持ちおり寒落暉   優嵐

「寒落暉(かんらっき)」とは、寒中の入日のことです。随分日が長くなりました。太陽の沈む位置がかなり北へずれてきました。夕日の色に気づいて窓から外を見たらちょうど山の端に太陽がかかろうとしているところでした。寒波は去り、昨日の朝は曇っていたせいで冷え込みはありませんでした。夕日も少し春めいて見えました。

このところ、右腕をいためたせいで画材を変え、絵も変化しています。右腕は実に不思議な感じです。何かをしたら痛むとかそういうことはほとんどありません。しいていえば、指先に力を入れてキャップをまわすとか、フライパンのようなものを片手で扱おうとすると違和感があります。しだいにそれも軽快していますが。

絵が変化したのは、指や腕の力を使わなくていい画材で描くようになったからです。力を抜いて描くことを覚えました。万年筆もゲルクレヨン(クレオロールとゲルマーカー)もほとんど重力のみで描けます。絵を描き始めたころ万年筆とクーピーペンシルで描いていたのですが、それとも少し違う描き方です。

細かなことにこだわらずさらっと描こうとしています。線描でものの形を示して、彩色で色合いを示し、あとは見る人の想像力で補っていただくのが絵としてはいいのではないか、と最近思います。現実世界に線で表される輪郭はありませんし、人間の識別できる色は何万色もあります。その通りに描こうとすることは不可能だし、絵として目指すことでもないでしょう。

IMG_2614


□◆□…優嵐歳時記(2803)…□◆□

   針葉樹凍れる池に身を映す   優嵐

大寒らしく冷え込む日が続いています。これが暦のうえではこの冬最後の寒波でしょう。来週の土曜日は立春です。二月ももちろん寒いですし、本格的に暖かくなるのは春分を過ぎてからです。しかし、光が明るく気分的に真冬とは違います。

先日、宇宙ステーションから映した地球の映像をご紹介しましたが、今日は地球で撮影された美しい映像を。ヨセミテをインターバル撮影して動画にしたものです。人間の目というのは、速過ぎるものもゆっくり過ぎるものもそのままではとらえることができません。そういうものをとらえるにはスローモーション撮影やインターバル撮影が威力を発揮します。

IMG_2674<美>
美しいもの、驚異的なものは世界にあふれている
それをとらえる目
それをとらえる心
いつもそれを失わないようにしたい



□◆□…優嵐歳時記(2802)…□◆□

  霜柱ざくざく踏んで心地よき   優嵐

冷え込みました。朝はうっすらと雪が積もっていました。北ではかなり積もっているのかもしれません。ニュースを見ませんからほかの地域の積雪状況は知らないままです。去年の震災ですら、mixiで東京にいる友人のコメントを見てかなり大規模な災害なのだと知り、改めてYouTubeで津波の映像を見て驚愕しました。

こういうことから、どうしても知らなければならないことというのは、今の時代ならなんらかの形で伝わるものだと思いました。逆にマスメディアやソーシャルメディアからの情報をいかに遮断して自分の時間を確保するか、ということの方が重要ではないでしょうか。

肘にサポーターをして調子がよくなったと書きましたが、ひとつ問題が出ました。サポーターを長時間つけていると皮膚がかゆくなります。肘の内側は皮膚がやわらかくでデリケートなので、サポーターでぴちっとしめると刺激が強いのでしょう。

IMG_2673<エディトリアル>
絵を描くということは
何を描くかではなく
何を描かないかである

現実をすべて描くことはできない
現実の中から
描かないものを削ぎ落としていく

そして
自分の絵を編集していく


□◆□…優嵐歳時記(2801)…□◆□  

  法螺貝の音響きおり寒晴れに   優嵐

昨日は晴れてよく冷えた朝でした。寒中らしい朝です。お昼に増位山へ散歩に行ったら、随願寺の本堂前で何かを収録中でした。姫路周辺では「黒田官兵衛を大河ドラマに」との運動がおこなわれており、それに関連したもののようでした。播磨は昔から豊かな大国で、多くの歴史の舞台になってきました。

この写真の立て看板には吉備真備、宮本武蔵、千姫、池田輝政、黒田官兵衛が描かれています。宮本武蔵は彼自身が記した『五輪書』に「生国は播磨」と書いています。吉川英治の小説では美作が生国となっていますが、あれはフィクションです。黒田官兵衛は黒田職隆の嫡男として姫路に生まれています。後に秀吉の側近として活躍し、竹中半兵衛とともに「両兵衛」とたたえられる名参謀でした。

姫路城の大修理が完了するのにあわせて大河ドラマを呼び込みたいという意図なのかもしれませんね。法螺貝がその関連で鳴らされていたものなのか、近づく追儺会と護摩焚に備えてのものなのかはわかりませんでしたが。

IMG_2670<ちまちま>
大きく考えることが必要
ちまちまとした目先のことでなく

いつもそう思うのだけれど
どうしても
考えがちまちまとしたものになってしまう

ちまちましていたなと
気づいただけでもいいじゃない


□◆□…優嵐歳時記(2800)…□◆□ 

  氷張るバケツの歪みそのままに   優嵐

大寒に入っても暖かでしたが、寒波がやってきました。昨日は日中の外気温が5℃、北を見ると山に雪雲がかかっていました。夕方からさらに冷え込んでいます。このまま立春ということはないだろうとは思っていました。今年はまだ一度も積雪らしい積雪がありません。今夜は冷えそうですが、雪の気配はありません。

この冬は通常のやぐらごたつを使用せず、遠赤外ストーブと足元のみを暖める小さいこたつで過ごしました。小さいこたつでも毛布をかけると膝までくらいは十分暖まります。部屋全体がある程度の暖かさになるというのはいいものだと思いました。

この冬、もうひとつ使ってよかったと思うのがレンジでゆたぽんでした。レンジで暖めて使うジェルタイプの暖房器具で、やわらかく、暖かさもほっこりと穏やかです。評判がいいのか、さまざまなバリエーションのものが発売されています。電気毛布やあんかのようなものよりも人肌程度のぬくみがいいのでしょう。

IMG_2666<ギブアンドテイク>
誰かにとって簡単なことが
別の人にとっても簡単だというわけではない

あなたにとって簡単にできることが
隣の人には難しく
あなたが四苦八苦していることを
隣の人は鼻歌まじりにやってしまうかもしれない

不得意なことを
なんとかがんばって克服するのは
素晴らしいことかもしれない

しかし
同じ労力を使うならば
得意で楽しくできることを磨き上げた方が
賢明ではないだろうか

そして
得意を持ち寄ってギブアンドテイクする
それが知恵というもの


□◆□…優嵐歳時記(2799)…□◆□

  それぞれの影を大地に冬木立   優嵐

旧暦の元日は、北風の吹く日になりました。播磨臨海工業地帯に並んでいる煙突は西からの季節風で真横に煙が流れていました。昼過ぎあたりがもっとも風が強く、窓ががたがた鳴るほどの風でした。しかし、あまり冷え込むという感じではありませんでした。夕方になると風がやみました。

旧暦のお正月ということで、気分を一新しました。この次の一新のきっかけは立春かなと思います。考えてみれば暦がなければこういう生活の区切りというものの手がかりがなくなります。今私たちが世界標準で使っているのはグレゴリオ暦と呼ばれる太陽暦です。旧暦というのは、江戸時代まで使われていた天保暦と呼ばれる太陽太陰暦です。

暦によって行事すべてがずれていきますから、それが生活に及ぼす影響の大きさは想像以上のものがあります。最近、曜日が変わらない新しい暦というものが考案されているそうです。毎年行事と曜日の組み合わせであれこれ面倒が起きるのをこれで防ぐことができるとか。暦も誰かが考え出して、みんなでこうしましょうと合意した決め事であり、絶対的なものではありません。こういうことが意外にたくさんあるかもしれない、と思います。

IMG_2615<頭>
あたりまえのこと
自明の理
当然
考えるまでもない

そう思い込んでいることが
どれほどあるだろう

そう思い込んでいるものの数が
多ければ多いほど
こう呼ばれる
アタマガカタイ

□◆□…優嵐歳時記(2798)…□◆□

  春隣る光の中を森歩く   優嵐

今日は旧暦の元日です。大寒に入っていますが、姫路は暖かく、日差しが戻った日曜日に森を歩いていると、春の気配をそこここに感じました。このまま冷え込むことなく立春を迎えるのか、もう一度くらいは寒波がやってくるのか、それはわかりませんが、春が近づいています。日没も随分遅くなりました。午後六時でもまだ薄明かりが残るようになっています。

水彩紙で絵を描くようになって、もう前の画用紙には戻れないなあと感じています。どこがどう違うと具体的にいえないのですが、描く感触が水彩紙の方がずっといいのです。一度美味しいものを食べてしまうとそうじゃないものには満足できなくなる、そういう感じでしょうか。今まで試したものは、それぞれ持ち味があり、描くものによって使い分けるのがいいかなと考えています。まだSMサイズくらいの小さなものばかりですから、もっと大きなサイズに描くことも考えたいですね。

IMG_2660<春隣>
森の空気に春を感じた
まだ寒さはあるのだけれど
確かにそこに春が立っている

梅の蕾を見上げて
コゲラのドラミングを聞く
竹林をかすかに揺らす風も春の兆し




□◆□…優嵐歳時記(2797)…□◆□

  大寒の雨の静かに毘沙門堂   優嵐

大寒の昨日は珍しく雨になりました。朝方が暖かく、夜の間に降っていた雨がいったんあがり、昼前あたりから再び降り始めました。寒の厳しく冷え込む雨というよりも、春が近づいている暖かさを感じる雨でした。写真は増位山随願寺の毘沙門堂です。防火、防犯の備えが厳重そうな建物です。ここの木造毘沙門天立像は重要文化財に指定されています。秘仏で、毎年2月11日に行われる追儺会のときのみ拝観できます。

指、前腕、肘の状態は、いいです。ほんとうにじりじりとですが回復しているのがわかります。最初のケガから数日ほどは急激によくなったのがわかりました。それから回復具合がだんだんゆるやかになり、今はロングテール状態ですね。肘のサポーターをつけて、さらにいい感じになっています。サポーター、最初はバンテリンのものを買いました。そして調子がよかったので、もう一枚買おうと思ってイオンへ行ったら、プライベートブランドのものが60%ほどの値段で売られていました。もちろんそちらを買いました。

IMG_2659<新年再び>
今日は旧暦の大晦日
新しい年を迎えて心機一転
そう思っていた気持ちが
三週間たってそろそろゆるむころ

理由付けはいらないけれど
それでもやっぱりきっかけがあると
気持ちが切り替えやすい
旧暦の元日
もういちど新年の目標を新たに



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