優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2012年04月

春の終わり
ゴールデンウィークですので、随願寺の本堂も扉が開けられていました。昨日は大勢の人であふれていましたが、今日はお天気が下り坂ということもあってか、ひっそりしていました。ソメイヨシノはすっかり葉桜です。『優嵐歳時記』の中身を整理しようかと思ってちょっと読み返しましたが、すでに過去のものは改めて整理するのは難しく、これから後のものを分離して別のブログにするのがいいな、と思いました。

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藤房
昼ごろにぱらっと雨が降りましたが、大きく崩れませんでした。増位山の藤棚のフジが花を開き始めています。熊蜂の姿は今日はありませんでしたが、すぐに香りにひかれてやってくるでしょう。

書き方を変えたら、なかなかいい感じだとわかりました。俳句というのは、瞬間的なものですから、こういうライブ感覚で書き込んでいくのはいいです。だから自分にあったのかもしれないとも思っています。あまりあれこれ推敲したりいじりまくるようなものは体質的にあわない。絵もそうですが、油絵などのように長い時間をかけてひとつの作品を塗ったり擦り取ったりを繰り返すようなものはどうもダメです。飽きてしまう。短く瞬間的にできるようなことをコンスタントに継続していくなら、いくらでも続けられますね。

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四月尽
昨日は夏のような暑さだったのに、今日はまた気温が下がっています。お天気は下り坂で午後から雨になるかもしれません。天気予報では、連休の谷間は雨模様でした。「四月尽」は四月が終わるという意味です。去年の四月も確か桜の咲くころに雪が降って驚きました。今年も桜の開花する直前に激しい暴風雨がありました。

花に嵐のたとえではないですが、春は一番気温の変化が激しく不安定な空模様が続きます。特に今年の春は春らしいのどかでのんびりした晴天というのがほとんどありませんでした。「麗らか」とか「のどけし」という季語を使う機会がありませんでしたから。明日が八十八夜、五日が立夏です。

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夏近む
ブログの表題の書き方を変えました。『優嵐スケッチブック』と同様に記事のナンバーを冒頭につけ、その後に俳句そのものを表題として書くことにしました。さらに、このブログそのものの更新回数も一日一度とは決めず、そのつど俳句に応じて変えていこうと思います。

このブログを書き始めたのは俳句の季語の勉強をしようということがきっかけでした。ですから、最初はその季節内に同じ季語が並ばないようにということに心を配っていました。しかし、すでに8年以上経過して、もう少し別の書き方でもいいなと思い始めました。同時に、俳句から派生して他のいろいろなことをブログに詰め込んでいたことに気づき、それもこの際整理しようと思いました。

興味がわいた別のことに関しては別のブログをたてて、そちらで書いていこうと思います。これまでも読書や絵、アウトドアでの活動に関しては別のブログで書いてきましたから。それよりもこのブログでは俳句に集中して、句そのものとそれにともなう日々の感覚を書いていくつもりです。

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蛙の子
突然、夏です。昨日の真昼は増位山山上駐車場の外気温が33℃ありました。車の温度計ですし、アスファルトの駐車場ということを差し引いても30℃近くは確実にあったと思います。残暑が厳しかった一昨年の秋、突然、気温が下がって一週間で秋らしい秋が終わってしまったことを思い出します。今年の春もそれに似た感覚でした。

ゴールデンウィークでいろいろな催しがあるようです。随願寺にもハイキングの団体が来られていました。その声を聞きながら放生池の畔を歩いていると、先日オタマジャクシの集団を見たあたりに再び黒い塊があります。またまたオタマジャクシでした。

今回は池の水辺まで降りていき、ひしめきあっているオタマジャクシたちをそばで観察しました。池の中央に近いところの集団は水の深さがある程度あるため、すでに広がり始めていました。しかし、水際の二つの集団は押しくら饅頭状態です。落葉でオタマジャクシを掬い上げることができました。黒豆に尻尾がついたようです。

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緑立つ
芽吹きのシーズン、松も新芽を出しています。これを「若緑」「初緑」といいます。「緑立つ」とは、木々の新芽が出ることですが、季語では松の新芽を意味します。春の終わり、枝先から細長い緑の芽がまっすぐに天を指して伸びます。今は松のそばへ行くと清新な香りがします。花の香りとはまた違う、気持ちをしゃきっとさせるような香りです。

ブログのサイドバーの表示を一新しました。月別アーカイブが開閉式表示できるようになったので、それを使うことにしました。2004年からブログを書き始めたため、アーカイブの表示が非常に長くなっていました。開閉式にすることにより随分すっきりしました。

これを機会にブログパーツも整理して最低限のものだけをサイドバーに置くようにしました。これまでいろいろなブログパーツを使った結果、自分自身はミニマム表示が好みだということにようやく気づきました。他の自分のブログもこの考え方に沿って整理しています。

サイドバーに関して、最初は使えるものは全部置きたいと考えがちでした。8年ブログをやってわかったのは、いかにたくさん表示するかではなく、できる限り表示するものを絞る方がいいということでした。簡単なことですが、それに気づくのに時間がかかりました。

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水草生う
金曜日は雨上がりのあとの快晴の空が広がっていました。もう暑さを覚えるほどです。山は若葉が輝くようです。今日からゴールデンウィーク、最近は秋にも連休ができてシルバーウィークと呼ばれています。どちらも行楽には最適のシーズンです。

放生池ではコウホネの若葉が広がり始め、亀がのんびりとその間へ浮かんでいました。亀自身は別にのんびりしているつもりはないと思いますが、見ている方はそういう印象を受けてしまいます。

昨日、新しい画材として、リキテックス・リキッドを試しました。インク状になったアクリル絵具です。スポイトつきのガラス瓶に入っていて、そうと言われなければ単にインクだと思うでしょう。これを万年筆に入れて描けないものかと考えています。

今は線描にプラチナのカーボンブラックを使っています。これでもいいのですが、リキテックス・リキッドは基本的に絵具です。ジェッソで地塗りしたボードに描くにはこちらの方が適しているだろうと想像できます。もし万年筆で問題なく描けるなら、安価なジュニア用の万年筆にそれぞれの色を入れて描くのもいいです。

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◆春の森
木曜日は雨になりました。お昼ごろいったんやんで山へ散歩に行きました。緑はどんどん成長しています。常緑樹も今は葉が入れ替わる時で、枝の先にやわらかい新葉を出しています。淡い緑であったり、やや赤みを帯びていたりと木によってさまざまです。

水曜日にオタマジャクシを見た蛇ヶ池の水面を覗き込んでいると、カルガモのつがいが頭上を越えてざぶんと目の前に着水しました。最初は人を警戒していたようですが、最近では慣れたのか逃げません。雨で池の水かさが増し、やや濁っているせいもあってオタマジャクシの姿は見られませんでした。

もう一方の、オタマジャクシが満員電車のようになっていた放生池にも黒い塊はもうありませんでした。水面に水草の若葉がぽつぽつと広がり始めています。ここは夏になると水面をびっしりとヒシが覆います。冬はすっかり姿が消えていました。山が若葉の時は水辺も若葉時なのです。

梅林の中にある小さな水溜りのような池も念のために覗いてみました。ここは冬場は水がほとんど無くイノシシが泥浴びをする場になっています。いまはそれなりに水がたまっています。オタマジャクシの姿はありませんが、目を凝らしてみるとどうやら蛙の卵らしいものがあります。黒い小さな個体が中に見え、近いうちに孵化しそうです。

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蝌蚪
蝌蚪(かと)とはオタマジャクシのことです。俳句では言葉が長いので一般に中国語に由来するこの言葉を使っています。増位山の蛇ヶ池の周辺で池のすぐそばに生えているタンポポを見ていると、その下の水面を動く影がありました。小さなオタマジャクシです。オタマジャクシを見たことなんて久しくありませんでしたから、「おおっ」と感激してしばらく水面に見入っていました。

一斉に孵化したものが周辺にたくさん泳いでいます。蛙の種類がなにかはわかりませんが、ここで見たものは小さな蛙の子どもだろうと思いました。小判型の頭にちょろっと尻尾がついていて、それをちろちろと振って泳ぐさまがとてもかわいらしく、お腹についている吸盤で池の石垣にくっついていたりもします。

山をぐるっとひとまわりして、本堂の下にある放生池のかたわらを通ると、水面のところどころに黒い塊が見えます。双眼鏡で眺めて見たら、なんとこれはオタマジャクシの群れでした。孵ったばかりなのか、水揚げされたイワシの群れほどのぎゅう詰め状態です。枯葉や枯れ枝に邪魔されてなかなか池の中心部へ向かえない群れもあるようでした。

IMG_3586<命>
今日孵ったオタマジャクシは何匹いただろう
あの無数の黒い塊の中から
生き残って蛙になるのはほんの数匹
多くの生き物が彼らを目指してやってくる

彼らすべてを生かしておくようには
自然はできていない
彼らによって支えられる命がたくさんある
死は別の生を支え
姿を変えながら永遠に続いてゆく


小楢芽吹く
コナラがいっせいに芽吹き葉を展開しています。コナラは芽吹いた直後の色が独特です。やや緑がかった白銀とでもいえばいいような、このときのコナラにしか見られない色です。自然の中の色は実に豊富で、新緑のころの緑は特に素晴らしく、いくら見ていても飽きません。あれは色のバリエーションもさることながら、芽吹く木々の生命の勢いがそこにあることも大きいのだと思います。

コナラは芽吹いて葉が展開していくと同時に花も咲かせます。雌雄同株・雌雄異花で、よく目立つのは長く垂れ下がっている雄花序です。桜や梅のような美しい花ではなく、気をつけて見てようやく花とわかる程度です。それでも双眼鏡で花のあたりを見ていると小さな虻か蜂のような虫がたくさん飛び回っていました。

昨日はいいお天気でしたが、黄砂で遠くの景色は霞んでいました。平地ではヤエザクラが満開です。市川の川原に菜の花が今年は目立つと思っていたら、夢前川でも同様でした。

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