優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2012年09月

秋の蝉
部屋にいるともう蝉の声は聞こえなくなりました。しかし、増位山の森へ行くとまだミンミンゼミとホウシゼミがごくわずかですが鳴いています。森の遠いところでツクツクオーシと鳴いているのがかすかに聞こえてくると、寂寥感が漂います。蝉は七年で成虫になるといいますから、今年鳴いている蝉は2005年に産み付けられた卵が育ったものです。今年の卵が成虫となって飛ぶのは2019年です。

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今朝、モズの高鳴きを聞きました。この秋初めてなのか、それともこれまで気づかなかったのかはっきりしませんが、あの「キィー、キィーッ」という鋭い声は本格的な秋の訪れを告げる音です。これを高鳴きといい、モズの縄張り宣言です。小柄ながら猛禽類で、昆虫、トカゲ、ネズミなどを食べます。頭が大きくてずんぐりしており、電線や一樹の先に止まってくるくると尾を回す姿が特徴的です。

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月の舟
昨日は旧暦の8月8日でした。上弦の月が出ていました。半月のころの月を弓張月(ゆみはりづき)と言います。上弦である7日、8日ごろを上の弓張、下弦である22日、23日ごろを下の弓張と呼びます。季語には「月の弓」「月の舟」というものもあります。月の舟は、帆掛け舟になぞらえたものでしょう。昨日は朝方くもっていましたが、時間がたつにつれお天気がよくなり、夜にはきれいな半月が見えました。

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芋虫
芋虫は蝶や蛾の幼虫です。芋の葉によくついているので芋虫との名前になったとか。体長5cmほどでこころころしていて毛がありません。昨日、フラワーセンターのバラ園を歩いていたら、足元をゆく芋虫を見つけました。この芋虫、お尻のところにアンテナのようなものを立てていて、それが動きにあわせてひょこひょこと揺れて可愛らしいのです。芋虫の色彩はケバいものが多いです。個体により色の差が大きく、成虫が何かを断定するのは難しいそうです。しかし、お尻に角を持っているのはスズメガの仲間です。

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桐一葉
午前中は雲の多い空でしたが、午後からは晴れてきました。お天気が回復しても、もう窓を開けなくても暑いとは感じません。車に乗ってもエアコンをかけずに窓をあけていてちょうどいい感じでした。

増位山のドライブウエイのかたわらには何本かの桐があり、その葉が道に散っていました。桐には鳳凰が住むという伝説があります。聳える木の高さ、葉の大きさに風格があり、さらに古い中国の詩文に「一葉秋ヲ知ル」(『書言故事』)と詠まれて以来、桐の一葉に秋を感じるのが、平安の昔から日本人の伝統的な情趣になっています。

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秋分
昨日は午後からしだいにお天気が崩れ、夜遅くなってから雨になったようです。今朝はやんでいますが、まだ曇っています。気温が下がって、朝、窓を開ける必要がなくなりました。こうしてしだいに気温が低くなり、秋が深まっていきます。

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澄む秋
フラワーセンターは飯盛山という小山と亀ノ池との間の土地を利用して作られています。もともとアカマツが生えていたところのようです。そのため、遊歩道のかたわらであちこち枯れた松が切り倒されています。前に来たときに飯森山展望台まで上がりました。

高いところにはシャクナゲ、ツツジ、ツバキなどがまとまって植えられていますが、いまは季節外れです。やや小高いところから池のそばのばら園まで戻ろうと叢を通ったら、下半身にいっぱいひっつき虫がついて取り除くのに手間取りました。家に戻ってからwebで調べると、アレチヌスビトハギのようでした。北米原産の帰化植物です。

ヒガンバナを見かけないと【3305】で書きましたが、フラワーセンターのある加西市では畦いっぱいに咲いているところを見ました。微妙な気温の差があるのかもしれません。

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加西市にある兵庫県立フラワーセンターへ行ってきました。前回行ったときに年間パスポートを購入したので今回からは入園無料です。年間パスポートは1,000円で、入園料は一回500円ですから、二度来れば元はとれます。駐車料金が無料なのもありがたい。今日から四季の花壇でダリア展が始まっていました。ダリアは夏の季語ですが、蒸し暑い日本の夏は苦手で、盛夏は花の質が落ちます。涼しくなってからも咲き、こちらの方が見事な花になります。

今日は日差しが強く、木陰を選びながら散策しました。ばら園も花がちらほらと咲いています。その隣の亀ノ倉池には黒鳥がいます。ばたばたばたっと大きな音が聞こえるので、何事かと思ってみていると、黒鳥が水面をけって離陸のための助走をしていました。しかし、風切り羽根が切られているのでしょう、飛び立つことはできず、池の端まで行って諦めて水に浮かんでいました。

池の中央にはカイツブリのつがいがいて、さかんに潜水しています。そこから少し離れたところで別の水鳥も浮かんでいました。カルガモかと思いましたが、くちばしが不釣合いなほど大きく、ハシビロガモのメスでしょう。ハシビロガモは冬鳥として日本に渡ってきます。10月ごろからやってきますが、帰りそびれて残っているものかもしれません。

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秋分
お彼岸ですが、ヒガンバナ(曼珠沙華)がまだ咲いていません。例年なら稲刈りが近づく頃、田の畦に群れて真っ赤な花が咲き、この季節ならではの色彩対比が見られます。さすがにヒガンバナとはうまいネーミングだと感心していました。2009年の秋も確か非常に残暑が厳しく、秋分にヒガンバナが咲かず、咲いたのは十月に入ってからでした。今年はどうなるでしょうか。

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菊芋
増位山随願寺の庫裏横にキクイモが咲いています。キクイモはキク科ヒマワリ属の多年草です。9〜10月に菊によく似た花をつけ、その後地中に塊茎ができます。北アメリカ北部から北東部を原産地とする外来植物です。日本には江戸時代末期に飼料用の作物として伝来し、以後全国的に広まり要注意外来生物に指定されています。市川の河川敷にもたくさん咲いています。

庫裏横でキクイモを見ていたら、花のひとつに枯葉色のカマキリがいました。花にやってくる昆虫をねらっているのでしょう。じっとこちらを見ているので、移動したら、首を回して視線で追ってきました。逆三角形の頭に大きな目、思わず相手になってちょっかいを出したくなります。

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