優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2013年04月

藤房
連休の谷間初日の今日は朝から雨です。昨日の午後からしだいにお天気が下り坂で、夕方には雲が厚くいつでも雨になりそうでした。ゴールデンウィークがずっと晴れるということはまずありません。

山では藤が咲き始めています。蔓性植物なので、手近な木に這い登り、その先端から花房を下げます。最も日当たりがよく、虫がよってきそうな場所に甘い香りのする花をぶら下げるのです。かたまり咲いている場所では谷を隔てていてもその香りが漂ってきます。

P4291393

昭和の日
昭和の時代にはこの日は「天皇誕生日」でした。最近ネットを見ていると「古き佳き昭和の時代」などという表現に出会うことがあります。半分冗談かもしれませんが。平成に変わってすでに四半世紀ですから、昭和の終わりごろでさえ記憶の彼方に遠ざかりつつあります。人間は過去を美化して語る傾向があります。実際には昔が良かったなんていうことはほとんどありません。

悪いことは都合よく忘れてしまう。そういうことでは困るという意見もよく聞きますが、昔を忘れられるから、都合がいいということもあります。非常につらい思いをしたようなことをずっとそのままの状態で記憶していたら、先にむかって生きていこうという気力が失せてしまいます。悪いことを忘れられる、というのは精神的な免疫機構ではないでしょうか。

P4281378



春深し
快晴で気温があがっています。先日の嵐を最後に初夏の陽気へと移っていくようです。若葉に当たる日差しがまぶしく、山を歩いていると汗が流れてきました。随願寺の護摩堂から護摩を焚いておられる音が聞こえてきました。つい先日まで山中を彩っていたコバノミツバツツジの薄赤紫色がほとんど消えています。間もなくフジが咲き始めます。境内の藤棚のフジが房を伸ばしつつあります。砲弾のような形のものがだんだんほぐれて、そこから垂れ下がっていくのです。

P4281379




春昼
玄米菜食をいただきながら、ピースボートで南半球を一周してこられた方のお話を聞いてきました。日本→台湾→シンガポール→モーリシャス→南アフリカ→ナミビア→ブラジル→ウルグアイ→アルゼンチン→チリ→ペルー→イースター島→タヒチ、という旅程。飛行機で出かける旅とはまた一味も二味も違ったもののようです。総勢千名以上、現役を引退して参加されている高齢者の方も多く、最高齢は99歳というのですから、驚きました。

P4271377

春の森
今朝は快晴です。周囲の山々は若葉が出揃い、この時期ならではの初々しい表情を見せています。遠くから見ると、若葉の色に差は無いように見えますが、山ふところに入っていくと、木の種類によって、緑の色がすべて違っており、またまだ出始めの若葉の赤茶色を残しているものもあって非常にバラエティに富んでいます。

P4271374

チューリップ
先日行ったフラワーセンターではオーソドックスなチューリップの他に随分といろいろな姿のものを見ました。薔薇や牡丹のように見えるものもあり、背の高さもひょろりと高いものから小さくこじんまりとしたものまで。色も赤、黄、白、ピンク、紫、黒、まだらのものなどいろいろありました。青いバラは存在しない、といわれていますが、チューリップにも完全に青いもの、晴れた空のような色の種類はみかけませんでした。多分、通常の交配では青いチューリップはできないのでしょうね。

P4221267

P4221294

P4221295



春時雨
今日も不安定な空模様です。気温はそれほど低くありません。昼ごろ時雨がありました。増位山へ行っていましたが、ほとんど樹下を歩いていますので、それほど濡れませんでした。木々が葉を茂らせているおかげです。蛇ヶ池のつつじの植え込みの中でウサギを見ました。花が咲きだしているので、そばへ近づくとガサッと何かが動く音。茂みのなかをじっとのぞくとウサギと目があいました。

P4261368

南部若布
いただいた春筍の一部を筍ご飯にして食べました。次は若竹煮を作ろうと思い、生わかめを買ってきました。「南部若布」は三陸海岸でとれたワカメを意味する春の季語です。三陸海岸は全国のワカメの七割を生産しています。スーパーの売り場には「宮城県産新物復興わかめ」との表示があるワカメが並んでいました。それを求めて帰り、夕食に若竹煮を作りました。このワカメを生産された方も大震災に遭遇されたのだろう、と思いつついただきました。

P4221350

八重桜
随願寺境内の八重桜は今が満開です。ドライブウェイの入口にあるものは今、落花さかんという状態です。花びらがたくさんあるので、樹下には落花が積り重なっています。昨日は荒天で気温も低かったのですが、今日は朝から晴れ、雨上がりの新緑が眩しさを増していました。日差しはかなり強く、夏が近づいていることを感じます。

P4251365

春荒
窓が風雨に鳴っています。この春はなかなかすっきりと暖かくなりません。月曜に晴れてちょっと暖かくなったと思いましたが、またこの荒れたお天気です。この前の日曜日には関東以北では雪が降ったところも多かったらしく、雪と低温が各地で観測されました。ここ数年、春や秋の過ごしやすい時期というのが短くなっている気がします。暑さや寒さが長く居座り、それがおさまったかと思うと突然逆の気候になる、というパターンです。

デルスウ・ウザーラ―沿海州探検行 』を読んでいます。ほぼ100年前のロシア人探検家の探検記です。動植物や地質に関する記述が詳細で、人物描写も見事な優れた探検記文学です。デルスウ・ウザーラとは、この探検に同行した先住民ゴリドの猟師の名前です。この人物の名前を作品名にしているところが、この探検記の魅力を象徴的に現しています。

P4221261

このページのトップヘ