優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2013年04月

藪椿
桜が華やかに咲いて瞬く間に散っていくかたわらで、藪椿が咲いています。梅が見ごろになるころからじわじわと咲き、おびただしい蕾をつけて徐々に開いては落ち、開いては落ちして初夏まで咲き続けます。まだ寒さが厳しく媒介昆虫がほとんどいない中に咲き始める梅、野鳥や虫が活発に活動を始める中に咲き、一気に開いて散る桜、余寒の中で梅に続いて咲きだし、じんわりと長く花を咲かせ続ける藪椿、それぞれの植物の戦略が見えて面白いです。

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山桜
増位山梅林の山桜の巨樹は嵐の後でもまだ散っていませんでした。他の山桜よりも開花が遅く、嵐の前の段階で七分〜八分咲き程度だったのでしょう。梅林の周囲には十本前後の山桜があり、その中ではすでに散っているものもあります。しかし、梅林から最も目につく位置にある二本は今が満開のようです。梅林の地面に大量の花びらが散っていますが、これらはそれ以外の山桜からもたらされたものでしょう。

今日は風がなく暖かく、しばしベンチに座ってゆったりと山桜を眺めました。人影はなく、大きな山桜を独占して日差しと囀りを楽しみました。あと二三日は花の最盛期を楽しみ、その後は絶え間なく降り注ぐ落花を楽しめます。

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昨日は不安定な空模様でした。夕方近所の散歩に出たら、燕の姿をたくさん見ました。新しい巣を作るための素材集めに忙しい時か、と思っていたら、ある会社のガレージに次々と燕が入って行きます。中には等間隔に燕の巣がいくつも並んでいました。去年から作ってあった巣もあるのでしょう。毎年ここに戻ってきて子育てをするものもあるでしょうし、育った燕が新たに巣を引き継ぐ場合もあるでしょう。補修して毎年使っているのではないか、と思いました。

私が窓から見ていても、燕は全く躊躇せず頭の上すれすれに通って窓から巣へと向かいます。燕が人家に巣を作るのは、外敵から身を守ってもらうためでしょう。時々このガレージをのぞいて燕の子育ての様子を見せていただくことにします。

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花屑
強風は午後にはおさまってきました。しかし、今はまた雨が降っています。晴れて風、風がやんで雨という目まぐるしい空模様です。強い風に乗って桜の花びらが高く舞い上がっていました。あちこちに花びらが散り敷いています。山を見ると、葉だけになった山桜が目立ちますが、まだ満開でなかったものはしっかり花が残っています。風が花を散らすわけではなく、まだ役目を終えていない花は、どれほど吹かれても散らずに残り、散ったのはすでに散るべく準備していたものだけです。

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花吹雪
雨は朝のうちにあがり、青空が広がってきています。しかし、強風は続いています。気温も低めです。天気情報を見ると、低気圧の中心は東北から北海道あたりにあって、強い雨の地域は東日本に移っています。風には強弱があり、ふっと休んではまた一気に吹きつけます。その風にあおられて桜の花びらが空高く舞い散ります。

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木の芽
昨夜はかなり風があったようです。今もまだ風と雨が少し残っています。窓を開けてみると、山々の桜の色がやや少なくなっています。里の桜並木も少し隙間が見えています。桜色が退いていくのに替わって、勢いを増しているのが木々の芽吹く色です。緑と一口には言えないほどのさまざまな色があり、さらに褐色や紅色のものもあって、その色彩が日ごとに変わっていきます。この変化が晩春の山を生き生きと美しくします。

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花びら
山では朝の方が歩いている人は多いように思います。午前中までが多く、午後になると人にはあまり会いません。ドライブウェイを登っていくと大きな山桜が花を散らしていて、絶え間なく花びらが降り注ぎ、アスファルトの上が白くなっていました。

山桜は早かったものはもうほぼ葉桜になっています。一方、ゆっくりのものはまだ満開へ向かう途上で、個体差の有る山桜はお花見にも時間差があります。雨は今も降っていますが、風はありません。今日、4月6日は「城の日」で、姫路城ではイベントが行われています。天候が荒れず、今日一日穏やかにに過ぎてくれたら、と思います。

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天気予報では、6日から7日にかけて発達した低気圧が日本海を通り、西日本は大荒れの天気になるとのことです。桜はこれでほぼ終わりでしょう。朝からどんよりと雲っていましたが、最後のお花見に山へ行ってきました。桜はどんなに望んでももう一年先までこの状態を見ることはできません。手元で育てる園芸植物と違い、野生の桜は自然の中で花を咲かせ、山全体を彩りますからこの時期、この場所でしか見られないものです。

以前は海外旅行によく行きましたが、最近ではあまりそういうことをしたいと思わなくなりました。自分が生まれて育った風土の中に美しいものがあり、それをしっかり見たいと思うのです。今、目の前で咲いている桜を一年後も同じように見られるとは限りません。見られたとしても、自分は一年前の自分と同じではありません。それは桜に限らず他のすべてがそうです。人と会うことだけが一期一会ではなく、森羅万象すべて移ろいゆき、そのとき一回限りのものなのだと思います。

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今日は旧暦2月25日です。早朝、戸外へ出たら、東の空に月が出ていました。前の山のかなり急な斜面にもたくさん桜が咲き、家の周りもソメイヨシノが満開で、なんともいえない清浄な雰囲気でした。この時期は山にこれほど桜があったのかと驚きます。

増位山は国道312号から砥堀駅前を通って旧の国道へ抜けていくとき、正面に見えます。こちらも山中桜まみれといっていいような景色です。山を歩くと同様で、山道に桜の花びらが散っています。どこに桜があるのだろうか、と思いあたりを見回すと、木々のさらに上、はるかかなたに咲いているのが見えます。山桜は桜の中では長寿で、高木になります。各地で名木と呼ばれる桜もほとんど山桜です。

梅林の周囲にある山桜の巨樹たちが五分咲きから七分咲きくらいになってきています。山桜は同じ場所にあっても咲き方に差が出ます。ソメイヨシノは華やかですが、ここまで大きくなるほどの寿命はありません。梅の花がほとんど終わりを迎え、今はこれらの山桜を見に梅林へ行っています。

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清明
今日は二十四節気の清明です。春分から十五日目、清明とは、清浄明潔を略したものといわれ、天地がすがすがしく明るい空気に満ちてきます。その言葉通り今日は晴れて暖かく、桜が満開で見渡す景色すべてが春たけなわの陽の中で輝いています。春は晩春に入ります。晴天の昼間の戸外では上着を脱ぎたくなるような陽気になってきます。

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