優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2016年02月

春淡し 
神護寺は平安時代初期、和気清麻呂によって高雄山寺として創建されました。その後、唐から戻った弘法大師・空海が入山し、ここで真言宗立教の基礎を築きました。

西明寺から清滝川に沿って歩き、高雄橋を渡ると、神護寺の山門まで353段の石段が続いています。寺社参りに石段はつきものではありますが、ここの石段はひと汗かかせてくれます。

たどりついた山門のすぐ横に空海の言葉が掲げられていました。「三昧法仏本具我心 / 悟りの境地に瞑想する法身大日如来は、本来わが心に具わっているもの」。真にそのとおりです。
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二月
昨日歩いた京都一周トレイル・北山西部コースでは、市街地から紙屋川をさかのぼって上ノ水峠に着き、そこから別の谷筋を歩いていくと、ぱっと視界が開けて沢ノ池のほとりに出ました。この池は菩提川を堰きとめて作られました。

池のほとりは明るく、私たちのほかにもキャンプをしている人の姿があり、ここでお昼ごはんを食べました。快晴で風もなく、絶好のハイキング日和でした。
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余寒
高山寺では、石水院でお抹茶をいただきました。境内の隣には日本最古の茶園があります。鎌倉時代初期、臨済宗の開祖・栄西が宗から茶の木を持ち帰り明恵に贈りました。明恵は栂尾の深瀬三本木にこれを植え、宇治などにも広く移し植えました。このことから、明恵は茶祖、栂尾は茶の発祥地とされています。

宇治の茶業家からは現在も毎年自家製の新茶を明恵の廟前に献供するのがならわしになっているといい、高山寺の茶園の管理も宇治の篤志家によっておこなわれています。

「栂の月」という丸いきんつばがいっしょに出てきて、その包装紙には高山寺に伝わる国宝・鳥獣人物戯画の一部があしらわれています。お茶券にも同様の絵柄が使われていました。板を四角く切って「高山寺」と焼印されただけの簡素なお盆にのって出てきて、これがいい感じでした。
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早春
京都一周トレイル歩きに行ってきました。今日は一日中雲一つない快晴でした。「鷹峯源光庵」から歩き始め、上ノ水峠を経て沢ノ池に至り、福ヶ谷林道を経て栂尾の高山寺に行きました。世界遺産であり、紅葉の名所でもある有名寺院ですが、今はほとんど観光客の姿はありませんでした。

ひっそりとした境内を歩き、国宝の石水院を拝観しました。中興の祖である明恵上人が後鳥羽院から学問所として賜った建物です。縁側に座って、暖かな春の日差しを浴びるのはとても心地よい時間でした。
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春の山 
増位山随願寺では明日、鬼追式が行われます。その準備が進められていて、境内には護摩を焚くための場所がしつらえられていました。四方に葉のついたままの青竹をたて、それらを注連縄で結んで結界をつくり、その中央に薪を組んで護摩が焚かれます。普段は静かな山寺がこの日は大勢の人であふれ、重要文化財の木造毘沙門天立像も御開帳されます。
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残雪
兵庫県の日本海側にあたる但馬地方は冬はスキーと蟹、夏は海水浴で大勢の人が訪れます。しかし、昨日行った佐津には、全く雪がありませんでした。この時期の但馬地方というと、まだまだ雪があちこちに残っているものですが、今年は春も半ばの空気が漂っていました。雪らしい雪があったのは、播磨と但馬の国境にあたる生野峠を越えたときだけでした。
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春浅し 
かにカニ日帰りエクスプレスで佐津までずわい蟹を食べに行ってきました。かにカニ日帰りエクスプレスとは、JR西日本の特急列車を使って山陰、北陸方面へ日帰りで蟹を食べに行くという企画です。11時ごろに現地へ着き、ずわい蟹を刺身、焼蟹、蟹すきでいただきます。列車と食事がセットで姫路からなら1万円余りで楽しむことができます。

ずわい蟹は11月に解禁となり冬の季語です。かにカニエクスプレスはずわい蟹を本場で手軽に味わえることから人気があり、今日も平日でしたが、列車は往復ともほぼ満席でした。途中下車して城崎温泉の外湯に立ち寄るプランなどもあります。

ずわい蟹を都会の店で味わうこともできるのかもしれませんが、私は但馬の沿岸部以外で食べたことはありません。新鮮な蟹の刺身は淡白ながらほのかな甘味を感じます。

蟹を食べにいくと、全員が蟹の殻から身を出すのに熱中するため、しばし無言になります。満腹になったらようやく一息つき、最後に蟹のうまみたっぷりの出汁で雑炊を食べます。佐津では、春の彼岸のころまでずわい蟹を味わえるとのことでした。
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早春
午後から雪が舞うお天気になりました。昼前に増位山に行って山頂に立つと、北に雪化粧した山が見え、南の播磨灘の沖は春の光で輝いていました。

先日、東日本大震災の復興祈念としてNHK杯スペシャルエキシビションが盛岡でありました。トリで浅田真央さんが仙台の子どもスケーター8人とともに「ジュピター」を滑りました。その舞台裏を描いたドキュメンタリー『浅田真央 未来への光〜子どもたちとともに〜』が昨夜NHKのBSで放送されました。

テレビを持っていませんが、今朝には熱心なファンの方が鍵つきの動画をブログにアップしてくださっていたので、見ることができました(上のリンクをクリックするとブログのページで動画を見せていただくことができます)。エキシビションの演技も素晴らしかったですが、舞台裏をこうして見ると、「ジュピター」は、大勢の人がいろいろな思いをこめてかかわり作り上げられた作品とわかり、感動しました。
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春めく
この冬はずっと暖冬で、大寒に入ってからの一週間ほどに寒さが凝縮していました。そのため、お正月明けに梅が咲き、すでに春の気配は寒に入る前から漂っていました。明後日、2月8日(月)が旧暦の新年です。

増位山の頂上の西側の木が少し伐られ、見通しがよくなっています。もう少し西まで木がなくなると、頂上の三角点近くに立ったままで小豆島まで見渡せるようになります。夕暮れの時間が随分遅くなり、それも春らしさを感じることです。春宵一刻値千金の時期が始まろうとしています。
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春はじめ 
東播磨を車で走りました。兵庫県には約4万のため池があり、これは都道府県中トップです。その数は、第二位の広島県の二倍にのぼります。そのほとんどが瀬戸内海沿岸地域に固まっています。雨が少ない地域であることと、地形的に河川の水を利用するのが難しいことによります。特に東播磨地域には、甲子園球場の12倍の面積がある加古大池など多くのため池があり、ため池密度は全国一で、独特の景観をかたちづくっています。
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