優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2019年11月

蜜柑
増位山随願寺の境内を歩いていたら、かごいっぱいにミカンを入れた方がやってきて、「採ってきたんや。ひとつ食べ」といってさしだしてくださいました。こんなところでミカンとは意外です。榊原忠次の墓所の隣にミカンの木があるとのこと。気がつきませんでした。

もぎたてのミカンは皮が張り切ってしっかりしており、やや酸っぱさはあるものの、新鮮で美味しかったです。後でその木を確かめに行くと、実がひとつだけ残してありました。木守のようです。DSCN0673



冬の陽
はくれんとはハクモクレンのことです。中国の中南東部が原産で江戸時代以前に日本に渡来しました。お花見の時期に真っ白な大きな花を咲かせます。

増位山随願寺の境内の一画で幅広い葉が黄色く色づいている木があるのに気づきました。最初は何かわかりませんでしたが、春、ここでハクモクレンが咲いていたことを思い出しました。黄葉も趣があります。イチョウなどの強い黄色ではなく、なんとも微妙な色合いです。DSCN0739


冬紅葉
増位山随願寺は姫路で最も歴史のある寺院で、播磨天台六山のひとつです。平安時代には山上に三十六坊を有する大寺院でした。天正元年(1573)、三木の別所長治に攻められ全山を焼失。天正13年(1586)、羽柴秀吉によって再建されました。

本堂の大鬼瓦には元禄5年(1692)の銘があり、当時の姫路城主榊原忠次によって再建されたものです。様式的にも元禄時代を代表する建築で、国の重要文化財に指定されています。DSCN0732


冬桜
増位山随願寺の庫裏前でフユザクラが咲いています。以前もあったのですが、虫害を受けて枯れ、若木が去年植えられました。さっそく花をつけています。フユザクラは11月から12月にかけてぽつぽつと咲き、他の桜が咲く4月にも咲きます。DSCN0734

初霜
今朝は霜がおりていました。いよいよ冬本番です。しかし、まだ山にも里にも紅葉が鮮やかで、そうした景色のなかで初冬が過ぎてゆきます。何度かの木枯しを経て落葉樹がすっかり葉を落としきるのは12月も半ばになってからです。DSCN0716



冬の川
市川のほとりを歩いていたら、一羽のダイサギが川の中ほどにいるのが見えました。ダイサギは白鷺の一種です。全身真っ白なサギを総称して白鷺と呼んでいますが、その中にはダイサギ、チュウサギ、コサギの三種類がいます。

身体の大きさでほぼ見分けがつきます。ダイサギは首がひときわ長く、アオサギよりやや小さいくらいの大きさです。チュウサギは夏の渡り鳥で、コサギは足趾が黄色いのが特徴です。DSCN0687


冬菊
花の少ない時期ですが、近所の畑にはどこもその一画で菊が咲いています。冬菊という種類があるわけではなく、普通種の菊の遅咲きのものを冬菊と呼んでいます。「寒菊」というものもありますが、これはシマカンギクの園芸品種で12月から1月に咲きます。DSCN0603


残る紅葉
今朝目が覚めると木枯しの音が聞こえました。山野を彩っていた紅葉もこの風に葉を散らしていきます。紅葉が散ってしまうと、このあたりでは初冬が終わり、仲冬に入ります。冬本番です。それまで名残の紅葉を楽しみたいと思います。DSCN0639


カラスは大都会にもいて、身近で目にする機会が多い野鳥です。日本に生息しているカラスは五種類います。しかし、身近で目にするのは二種類がほとんどです。どちらも真っ黒ですが、頭から嘴をよく見ると、違いがわかります。

嘴が太くカーブがきつく、そこから頭が盛り上がるようになっているのがハシブトガラス。それに比べて嘴が細めでまっすぐで頭もまっすぐなのがハシボソガラスです。写真では、上がハシブトガラス、下がハシボソガラスです。

大都会に多いのはハシブトガラス、田舎に多いのがハシボソガラスと言われています。私が住んでいるところはぽつぽつと田畑が残り、近くに山や川もあるというような場所ですから、どちらのカラスも目にします。DSCN0623
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十一月
イロハモミジが紅葉の代表なら、黄葉の代表はイチョウでしょう。どちらも一度見たら忘れない独特の葉の形と鮮烈な色で印象に残ります。イロハモミジはもともと日本にある木ですが、イチョウは中国からやってきた帰化植物です。ですからイチョウは人の住む場所の近くだけにあり、森の中では見ません。

イチョウは2億年前の恐竜が栄えていたジュラ紀から生き残っている植物です。イチョウ科の木はこれしかありません。木の寿命も長く、千年以上生きるものもあります。DSCN0613


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