優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2022年05月

皐月躑躅
サツキはツツジ科の常緑低木で、もとは関東以西の渓流に自生する花です。ツツジ類の中では唯一夏の季語です。ホトトギスの鳴き始めるころに咲くことから漢字では「杜鵑花」と書き、正式和名を皐月躑躅(サツキツツジ)といいます。
DSCN5798


初ほととぎす
25日の夕方、遠くでホトトギスが鳴くのが聞こえました。ホトトギスはカッコウ科、夏鳥としてやってきます。「テッペンカケタカ」などと表現される鳴き声には特徴があり、一度それと認識すると忘れません。古くから日本では夏を告げる鳥として親しまれてきました。
DSCN5784




夏の朝
コシアカツバメが巣を作っているのを見かけました。コシアカツバメはツバメよりも一か月ばかり飛来するのが遅く、今頃から巣作りです。ツバメは3月の終わりから4月の始めにかけて姿を見せ、すでに一番子が巣立つ頃です。
DSCN5796



薔薇
6月が目前となり暑さを覚えるようになってきました。街角を行く人たちも半袖姿の人がほとんどです。あちこちでバラが咲き誇っています。梅雨入り前まではバラが、その後はアジサイが美しくなります。
DSCN5776



清和
お弁当を食べ終わった後、全体の見学に行きました。2号車の通路は流水のイメージ、椅子は紅色の生地、背もたれ背面は格子です。内装は輪島塗の図柄を採用しています。

乗降口のあるエントランスには金沢の代表的な金箔メーカー「箔一」による金沢金箔の装飾が施されています。金沢金箔は400年の伝統があり、金箔の国内シェア98%以上です。エントランスには車内販売とともに伝統工芸品の展示スペースもありました。
IMG_5253



初夏
花嫁のれん2号では和軽食セットをいただけます。天保元年(1830)創業の金沢の老舗料亭「大友楼」が手がけた加賀の郷土料理です。味も素晴らしいですが、それ以上に驚いたのがパッケージでした。六角形で二段のお重がスライド式に横に開き、狭い列車のテーブルでも気にせず食事を楽しめます。

お茶はペットボトルの加賀棒茶。石川県の名産品で、ほうじ茶の一種です。晩年にほうじ茶を好んだ昭和天皇にも献上されたとか。通常のほうじ茶は茶葉を焙じますが、加賀棒茶は新茶の茎を浅く焙じて作ります。まろやかな味わいです。
IMG_5250



早苗田
金沢行の花嫁のれんの最初の停車駅は七尾です。ここでも花嫁のれんに力を入れているようで、ホームにシンボルののれんがかかっていました。七尾を過ぎると七尾線は能登半島の基部を横切って行きます。

花嫁のれんには、婚礼の日に花嫁の幸せを願いのれんを贈ったという伝統文化の背景ストーリーがあり、乗客の幸せを願って観光列車の名前に採用されました。のれんが、伝統的な日本家屋にとっていかに重要なものであったかに気づきました。
IMG_5248



麦秋
花嫁のれんの定員は1号車24名、2号車28名、座席配置はそれぞれ異なっていて、車いすスペースも用意されています。私は1号車に乗りました。ここは8つの半個室で構成され通路には日本庭園の飛び石をイメージした絨毯が敷かれています。

半個室の部屋にはそれぞれ名前があり、デザインの異なる加賀友禅のオールドコレクションがあしらわれています。限られた室内空間に考えうる最高のデザインを盛り込もうという意図が感じられました。
20220526_052616-COLLAGE



夏きざす
加賀温泉駅は始発なので花嫁のれんの車体をじっくり見ることができました。通勤通学列車だった平凡な車体が見違えるような姿になっています。

鉄道を単なる乗り物から「それを目的に旅をしたい」と思わせるものに変えたのは、発想の転換の賜物です。こうした路線が走るところはほぼローカルの赤字路線。それが車両にお化粧を施すことによって車に対抗できるひとつの手段になったのですから。
20220525_051924-COLLAGE



五月
12時7分発の花嫁のれん2号に乗りました。JR西日本が和倉温泉と金沢の間で運行する観光列車です。キハ48系ディーゼルカーを改装した2両編成、赤を基調とした外観デザインには輪島塗や加賀友禅のイメージが使われています。運転士と車掌以外に専用のユニフォームを身に着けた「おもてなし」のための乗員がいました。
IMG_5239



このページのトップヘ