優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2022年06月

青葉
吉野神宮の境内は広々としています。狛犬は神社によってそれぞれ微妙に異なっているものですが、参拝者の方を向くかお互いに向かい合っているものが多いです。しかし、ここの狛犬は頭をあげて遠吠えをしているように見えました。
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万緑
吉野神宮は後醍醐天皇を祀る神社です。崩御の後、吉水院で仏教形式で供養されてきましたが、明治政府の神仏分離政策により、吉水院は吉水神社になりました。その後の明治25年(1892)、明治天皇の意向でこの地に社殿が竣工しました。

近鉄・吉野神宮駅からは1kmほどの上り坂です。近づいてみて、昨日この前をマイクロバスで通ったことに気付きました。鳥居をくぐって参道に入るとカエデやヤマザクラの青葉が瑞々しく、汗がひいていきました。
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梅雨に入る
吉野駅までは宿の車で送っていただきました。来るときはマイクロバスだったので県道を通りましたが、今回は七曲りと呼ばれる細い近道を走りました。

吉野駅前には桜が描かれたピンクの郵便ポストがあり、「これはこれはとばかり花の吉野山」という安室貞室の句が書いてあります。貞室は江戸初期の俳人で京都の紙商人でした。隣に吉野のマスコット吉野ピンクルが立っています。吉野の桜の妖精を表しているとか。
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朝涼
朝食にも吉野葛は使われており、熱々の出汁巻き卵が出てきました。お米は奈良県産ヒノヒカリです。コシヒカリと黄金晴をかけ合わせた水稲うるち米で、小粒であっさりとしていながら食べ応えがあるという特徴を持っています。

奈良県産ヒノヒカリはお米の食味ランキングで6年連続「特Aランク」を獲得していたことを初めて知りました。お米といえば東北や北陸というイメージでしたが、ヒノヒカリは西日本で多く栽培されているようです。
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夏の朝
朝ごはんの最初に茶粥が出てきました。茶粥は奈良の郷土料理のひとつです。ほうじ茶の中にご飯を入れて炊いたもので、さらっとしているのが特徴です。その後にご飯が出てくるため量としてはほんの一口ですが、これだけで奈良らしさを感じられる朝食です。
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青葉
朝食は8時にお願いしていたので、それまでに朝風呂に行きました。こちらのお風呂は「吉野の湯」という日帰り入浴施設としても利用されています。日帰り入浴客と宿泊客とでは、利用時間が真逆になり、施設を有効に使える方法です。
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万緑
蔵王堂のすぐ南に柵に囲まれて四隅に桜が植えられた「四本桜」と呼ばれる場所があります。元弘3年(1333)、後醍醐天皇の皇子、大塔宮護良親王が吉野山で挙兵した際、鎌倉幕府の大軍に攻められて蔵王堂にたてこもり最後の酒宴を開いたところです。

その脇を抜けて車道へ出、修理中の仁王門を覆う建屋の下を通って湯川屋へと戻りました。雨上がりの吉野の山々が一望できました。
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僧侶六人ほどが仏壇の前に並び勤行が始まりました。中心になる僧侶がお経を唱えながら手でいくつかの印を結びます。お経の他にコロナ退散や百日回峯行の成就を祈られたりしているのがわかりました。途中、一般参加者が焼香する時間も設けられていました。法螺貝を吹いたり大太鼓を叩いたりといった修験本宗独特の勤行もあり、興味深かったです。
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青葉
朝6時30分から蔵王堂で朝の勤行がおこなわれるというので、参加させていただきました。雨は夜の間にあがり風もおさまって蔵王堂の扉は開け放たれていました。

修験道は白鳳年間(七世紀後半)に役行者によって始められた日本独自の宗教で、金峯山寺はその総本山です。紀伊山地の山に分け入って修行し、自然を敬い、神仏を敬うという日本の宗教の原点の姿が残っています。
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葛餅
食事の最後のご飯に奈良県産ひのひかりが出てきました。とても美味しかったのは炊き方の腕と銘柄が重ねあわされてのことです。香のものは奈良漬など。甘味としてカスタードクリーム入りの笹巻葛餅をいただきました。小豆餡ではなく、カスタードクリームというのがユニークで、これもまた一味違って美味しいと思いました。
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