優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2022年06月

梅雨に入る
蔵王堂のほど近くに吉水神社があります。ここはかつては吉水院という修験道の僧房でした。延元元年(1336)建武の新政の崩壊後、後醍醐天皇が幽閉されていた京都を脱出し、ここに南朝を開きました。南北朝時代の始まりです。

京都御所の規模からすれば考えられないような僻地の小さな僧房ですが、それでも名目上は皇居であり、南朝四代57年の歴史がここから始まりました。明治維新で南朝を正統とした新政府により吉水神社と改められ現在に至っています。
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梅雨入り
蔵王堂に参拝した後、食事のできるところを探しました。しかし、開いていたのは「ジュリアンパイカンパニー」というパイ屋さんだけ。ピーカンパイ(ぺカンパイ)はペカンナッツで作るパイで、アメリカではポピュラーなパイです。

店主の女性は本場アメリカで修行されてきたそうで、パイの上にバニラアイスを載せた本格的なスタイルでした。アイスクリームが濃厚でパイのナッツ感とよくあいます。コーヒーも深みとコクがあり美味しくて、都会の真ん中にあってもよさそうなお店でした。
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さみだれ傘
この日の宿は吉野荘湯川屋でした。チェックインにはまだ早かったのですが、荷物を置かせていただき傘をお借りしました。折り畳み傘を持っていましたが、風が強くなっており心もとなかったのです。

ここから金峯山寺蔵王堂までは歩いて10分ほどです。国宝の仁王門は修理中で、すっぽり覆われています。雨はほんのわずかだったものの、強風で傘をさしているのが大変でした。蔵王堂も強風を避けるために正面の扉をほとんど閉め切っていました。
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さみだれ雲
弘願寺から坂を登っていくと銅(かね)の鳥居があります。すべて銅製で国の重要文化財です。正式名称は発心門。修験者はこの鳥居に手を触れ「吉野なる銅の鳥居に手をかけて弥陀の浄土に入るぞうれしき」と唱えて入山します。安芸の宮島の朱塗りの鳥居、大阪四天王寺の石の鳥居と並んで日本三大鳥居のひとつです。
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さみだれ
ケーブル吉野山駅前でマイクロバスを降りると細かな雨が降り始めていました。すぐ近くに弘願寺があります。「吉野山寺宝めぐり」の寺院のひとつということで拝観することにしました。加盟9つの寺院で普段見られない仏像などを公開しておられるのです。気さくな住職で、奥様にはお茶を出していただきました。
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紫陽花
吉野駅前にはアジサイが咲いていました。紀伊山地の山に張り付くような場所ですから駅前の広場はマイクロバスが転回するのがやっとという程度の広さです。すぐそばに立つ家も門前は急な坂で、暮らすには大変なところだろうと思いました。
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梅雨
青の交響曲」は11時28分に終点の吉野駅に着きました。吉野は無人駅で駅前には観光案内所と土産物屋はあるものの、シーズンオフの今はこの列車を降りた客が去れば人影もまばらです。火曜日の今日はロープウェイも休止とのことで、代替運行のマイクロバスを待ちました。
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青葉
近鉄阿部野橋駅を10時10分に発車した青の交響曲は、80分ばかりかけて吉野に着きます。その間乗客のほとんどがラウンジカーに出かけて何かを注文します。乗車記念グッズなどもいろいろと販売されており、いずれも深いブルーの色彩がベースになっています。
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六月
青の交響曲」の座席は片側が2列、もう一方が1列のシートでグループでも一人旅でも利用しやすいよう工夫されています。シートの幅は広く背もたれは高くゆったり座れます。窓は広くとられ、網棚、照明、カーテンなどにも統一されたデザインが用いられています。
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