優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2022年09月

虫集く
「Soviet March(ソビエト・マーチ)」をご存じでしょうか? YouTubeでこの動画を見た時は、ロシアで作られた行進曲かと思いました。しかし、これは「Red Alert 3」というゲームの音楽です。あまりにもロシアらしさが満ち満ちているので驚きました。

ロシア語(私はロシア語を知りませんが)らしい言葉で重厚に歌われる男声合唱、女声合唱が、らしさを増強しています。また、この動画の編集が抜群です。行進する兵士たち、戦車や戦闘機、そこに軍楽隊の映像までぴったりはめこんで、その軍楽隊が演奏しているかのような臨場感が生まれています。
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九月尽
九月の最終日、姫路は快晴です。近所を散歩してきました。もう昼間に歩いても暑くてたまらないという気温ではありません。湿気も少ないですし、屋外で過ごすには絶好のシーズンの到来です。ソメイヨシノはぽつぽつと紅葉し、紅葉したものから順に散っています。
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天高し
明日から10月です。夜の長さを感じる時期になってきました。夜明けが遅くなり、5時半ごろでもまだ薄暗いです。蒸し暑い季節が去り、最も過ごしやすい時期に入っています。

先日、3か月に1度のCIDPの定期受診に行ってきました。体重を計ったら少し減っていました。BMI20程度で高校生のころと同じです。タンパク質をたっぷり食べ、良質な脂質を摂っているので小腹が空くことはなく、間食をしたいとも思いません。
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鵙高音
駐車して車のドアを開けたら「キーッ」という鳴き声が聞こえました。見上げると電線にモズがとまっています。仲秋を象徴する音のひとつがこのモズの高鳴きです。晴天の日には見晴らしの良い高い木の先端や電線などでゆっくり尾を回しながら鳴く姿をよく見かけます。小さいながら猛禽類であるモズの縄張り宣言です。
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稲妻
『別れの朝』を聴いた5人の歌手のうち、存命なのは高橋真梨子だけです。前野曜子はアルコール依存症の果てに40歳で、藤圭子は精神疾患を患って62歳で、テレサ・テンは気管支喘息発作のために42歳で、朱里エイコも精神的な不安定を抱えつつ56歳で、それぞれ亡くなっています。

大きな才能を授けられるというのは、荒馬に乗るようなものなのかもしれない、と思います。乗りこなせば素晴らしい経験ができるけれど、乗りこなし続けるには困難も多い。その人が才能を持っているというよりも、むしろ才能がその人を選んだ、選ばれてしまった、とでも言いましょうか。
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秋の暮
YouTubeのおかげで何十年も前の流行歌を検索していろいろな聴き方ができるようになったのはありがたいですね。最近『別れの朝』を聴き比べて、歌い手によってこんなに雰囲気が変わるものなのか、と驚いています。

『別れの朝』は1971年10月25日に発売されたペドロ&カプリシャスのデビュー曲です。当時は前野曜子が歌っていました。YouTubeではこの他に高橋真梨子藤圭子テレサ・テン朱里エイコのものを聴きました。藤圭子とテレサ・テンでは見えてくる風景が全く異なるので特に驚きました。いずれも素晴らしくどれがいいかは好みによると思います。

岩崎宏美のものも探してみましたが、YouTube内では見つけられませんでした。もしあるのなら聴いてみたい気はします。彼女はカバーの名手ですから。
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虫の闇
YouTubeの凄さを今更ながらに実感しています。特にお勧め動画の機能は素晴らしい。先日、「【田中希実】イタリアで優勝 [3000m]」という動画があがってきました。優勝という文字に興味が出て映像を見ました。

陸上競技で日本が世界トップレベルで戦えるのは、マラソンか一部陸上の短距離くらいだと思っていたので、この動画を見て驚きました。知っている人は知っている有名な選手なのでしょうが、今まで知りませんでした。

Wikipediaで略歴を見ると、兵庫県の人ではないですか。1999年9月4日、兵庫県小野市生まれです。YouTubeが興味の範囲を広げてくれます。
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秋曇り
『あおぞら』には『二重唱(デュエット)』のB面『月見草』と、『ロマンス』のB面『私たち』が入っています。『ロマンス』と『私たち』はどちらをA面にするか発売直前まで決まらず、最後は岩崎宏美も含めたスタッフ全員で多数決をして一票差で決まったといいます。

筒美京平は『私たち』を推したそうです。岩崎宏美は『私たち』のキーが『ロマンス』より高く、当時は朝の生番組で歌う機会が多かったことから、歌いやすさを優先して『ロマンス』に入れたとか。もし逆になっていたら、その後の運命が変わっていたかもしれません。

当時の朝の番組で彼女が歌っている様子が「岩崎宏美さんの再アップ動画 1976」で見られます。喋りにはまだ子どもの雰囲気が残っており、「あがっちゃって…」ととちるあたりが可愛らしいです。ただ、歌はさすがです。
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秋暑し
『あおぞら』は恋に恋するような年頃の少女の気持ちを描き、それが岩崎宏美の16歳の声で歌われ、見事な作品になっています。冒頭の『ロマンス』をアルバム全体のテーマとして、少女の一日を辿るように楽曲が展開していきます。

二曲目の『はだしの散歩』の時間帯は早朝。裸足で駆けていく少女の姿が描かれます。最後の曲は『この広い空の下』、夜です。「あなたお休み言ってください この私が言ったあとで〜」で終わります。ファゴットを思わせるエンディングの伴奏が美しいバラードです。

そして再び『はだしの散歩』の早朝へ。喜びと願いと恐れとときめき…、それらが相前後しエンドレスで続いていく世界が表現されています。『あおぞら』という楽曲はありませんが、この言葉が示す明るさ、抜けるような青さこそこのアルバムのコンセプトです。
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岩崎宏美が『二重唱(デュエット)』でデビューしたのは1975年4月25日、16歳5か月の時です。同年7月25日にリリースした『ロマンス』が大ヒット。『あおぞら』はその『ロマンス』を冒頭に採用して9月5日にリリースされたファーストアルバムです。

プロとして歌い始めた16歳の初々しいボーカルを聴けます。デビュー時のキャッチフレーズは「天まで響け!」。これほどわかりやすく本質をとらえたキャッチフレーズは他にないでしょう。

どこまでも軽やかに伸びていく透明感のある声が素晴らしい。まだ声に子どもの名残があり、技術うんぬんというよりも天性の才能を活かしひたむきに歌っています。この先何十年も歌っていくことになる少女の出発点として貴重なアルバムです。
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