上弦の月
昨夜は旧暦8月9日の月でした。夕刻、快晴の空にくっきりと半月が浮かんでいました。満月は
10月4日で、この日が十五夜、名月です。名月は古くから詩歌の中では特に重視されるイベントでした。今のように人工の灯りが夜中も部屋を照らし続けるようになったのは、1960年代以降の話で、それ以前は、夜は暗く、電気のない時代であればなおさらだったでしょう。

俳句に親しまなければ月を見上げることなどほとんどなかったと思います。俳句をはじめて一番よかったのは、こうした日常のちょっとした感動に細かく目を向けられるようになったことです。子どものころは、日々驚きとおもしろさが身近です。しかし、大人になれば、なかなかそうはいきません。常識と倦怠がまわりを取り囲みます。

でも、俳句というツールを用いることによって、日々の生活の小さな感動を拾い上げることができます。日本の自然は細やかにデリケートに移り変わるので、そうした変化は毎日起こります。花の咲き方、散り方、虫の鳴きはじめ鳴き終わり、渡り鳥の飛来など…。当たり前で何の変化も無いと思っている日々の生活が、実は一日も同じでなく、回り続ける変化の輪の中で展開していることに気づきます。
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