きんもくせい
午後、家を出たらかすかにきんもくせいの香りがしました。近所のどこかできんもくせいが咲き始めたのです。姿よりも香りで気づかれる花です。きんもくせいの香が漂い始めると秋も後半です。

植物の名前や咲く時期を調べて覚えるようになったのも俳句のおかげです。アウトドアの活動が好きでしたが、それは「活動」が好きなだけで、まわりを囲んでいる自然にはそれほど目を向けていませんでした。

俳句を始めてしばらくたったころ、二週間近く海外旅行に出かけ、戻ってきたら季節がすっかり変わっているのに驚いた記憶があります。季節をひとつ損したような気分になりました。日本の季節は一週間単位で移り変わっていく、と言った作家がいました。実際、そのとおりです。

「秋」ひとつとっても初秋、仲秋、晩秋とあり、これは一ヶ月単位での区分で、二週間ごとに二十四節気があります。さらに七十二候という区分もあり、これは二十四節気を三つに分け、初候、次候、末候とし、ほぼ五日ごとに変わります。古代中国で考案されたものがもとになっています。今は秋分の次候、蟄虫培戸(むしかくれてとをふさぐ)です。10月3日から末候の水始涸(みずはじめてかるる)です。
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