優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2023年03月

チューリップ
幼い子どもの頃の花といえば、桜よりもチューリップでした。赤白黄色と歌われるように色彩がはっきりしていてわかりやすく、子どもの目線の高さで咲いてくれ、形が独特で一度見ると忘れません。擬人化もしやすい。

可愛らしいチューリップですが、金融史に残る最初のバブルはチューリップを巡るものです。17世紀半ば、当時絶頂期を迎えていたオランダでトルコからもたらされたチューリップ球根の価格が異常に高騰した事件を指します。人間心理の不思議さです。
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春休み中ですが、クラブ活動なのか朝の通常時間に自転車を走らせていく高校生の姿を見ます。間もなく真新しい制服に身を包んだ新入生たちも登場します。自分にもそんな時代があったと毎年新鮮な思いを抱かせてくれます。
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花時
三月が今日で終わります。日が長くなりました。春の宵、日永というのんびりとした感覚はこのあたりから生まれてきます。日が短い間は特に午後の時間が短く感じられ、どこか慌ただしいものでした。

桜が咲き暖かくなり、夕暮れ時も遅くなっています。四月は進学、就職といった新しい生活が始まる時期です。学校を九月始まりにするという提案もありますが、九月だと暑く、やはり桜の咲く今頃が新生活のスタートにはいいと思えます。
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市川の土手を散歩していると、向こうから高校生くらいの少年と少女がやってきました。土手には桜並木があります。周囲は桜の色で満たされています。桃源郷という言葉がありますが、さしずめ「桜源郷」とでも言うのが日本にはふさわしい気がします。
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お花見
いいお天気が続いています。今朝はベランダで洗濯をしながら周囲のヤマザクラを楽しんでいました。考えてみれば贅沢なことです。よく知られた桜の名所に住んでいたら、ヤマザクラは見事であっても大混雑でお花見どころではないでしょう。

これまでいろいろな所へ旅行しましたが、印象に残っているのは人が少ない所ばかりです。運がよければそういう場所や時間帯に出会うこともできます。
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このあたりの市川の左岸には山が迫っています。明治維新直後、生野銀山と飾磨港をつなぐためここに石畳を敷いた道路が完成しました。「銀の馬車道」と呼ばれ、日本最初の高速産業道路になりました。

この道は現在のJR播但線が開通するまで主な産業道路として使用され、それらの遺構が日本遺産に登録されています。この橋の名前が「生野橋」であるのは、その歴史的経緯によるものです。
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残る鴨
市川の下流から河口域にかけては多くの水鳥が渡ってきます。3月は渡り鳥の入れ替わる季節で、すでにツバメが姿を見せています。古い橋桁の基礎が川の中ほどに残っており、冬鳥であるマガモの群れがその周辺にいました。ちょうどいい休み場所になるのでしょう。
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紫木蓮
桜の咲くころは前後して春の花が一斉に咲き始めます。シモクレンが咲いているお宅がありました。ハクモクレンよりやや遅れて咲き始めます。中国原産で木蓮といえば通常シモクレンを指します。花は半開状でシャンデリアのように上を向いています。
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山桜
本居宣長は「しきしまの大和心を人とはば朝日に匂ふ山桜花」と詠みました。関東から西の山地に自生し、赤茶色の若葉と同時に一重の白い花が咲きます。

今、桜の代名詞となっているソメイヨシノは江戸末期に作出された種です。これらをよく見るとかなり趣が違います。ソメイヨシノには親しみのある華やかさ、ヤマザクラには匂いたつ気品を感じます。
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スノーフレーク
家の近所を市川が流れています。土手を散歩しているとスノーフレークが咲いていました。ヒガンバナ科の多年生球根植物で別名スズランスイセンといい、スズランに似た白い花が咲きます。花弁の先に緑色の斑点があり、清楚な印象を受けます。
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