優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2023年04月

麗か
クスノキは本州中南部から四国、九州、沖縄にかけて分布しています。大宰府天満宮境内には見事なクスノキの巨樹がたくさんありました。常緑広葉樹なので、今頃の時期に新芽が出て古い葉と入れ替わります。

巨樹が並ぶ下に落葉を掃き集めてピラミッド型にしたものがありました。2010年にスタートした「くすかき」というアートプロジェクトです。大宰府天満宮に新しい行事として加えられていくのかもしれません。
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春深し
大宰府天満宮は北野天満宮と並ぶ全国の天満宮の双璧です。北野天満宮は道真の生まれた所であり、大宰府天満宮は亡くなった所です。江戸時代以前は神仏習合の時代で神社とお寺が同じ場所で信仰されていることが珍しくありませんでした。

大宰府でも、神社が学問の神様として道真を祀り、寺院が道真の菩提を弔っていました。明治に入って、神社かお寺かの選択を迫られ、太宰府天満宮は神社になりました。そのため各所に寺院時代の名残が見られます。

境内には有名な飛梅伝説のもととなった飛梅があります。道真は梅を好み京都を後にするとき庭の梅に「東風吹かばにほひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな」と呼びかける歌を詠みました。梅は一夜にして大宰府に飛んだといわれています。
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うららか
嬉野温泉駅発9時40分の特急みどり14号(リレーかもめ)でJR二日市駅まで行きました。みどり14号はかもめと同じホームで接続しています。これには驚きました。東海道・山陽新幹線では在来線はすべて別ホームになっているからです。

みどり14号の車内にはアジア各地からやってきたと思われる観光客が多く、前の席にはタイ人が乗っていました。アジアの経済力の上昇を感じます。

12日の観光は大宰府天満宮からです。JR二日市駅から西鉄二日市駅まで歩き、西鉄太宰府駅で降りました。昌承4年(901)菅原道真は左遷されてこの地に赴き、延喜3年(903)ここで失意のうちに亡くなっています。
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君子蘭
チェックアウトするとき、受付カウンターの隣に南西アジア出身と思われる若い女性が「研修中」の名札をつけて立っていました。出発のときに荷物を持ってくださったので、「どこから来られたのですか?」とたずねると、「ネパールです」とのこと。

以前、他の旅館でこうしたアジアの国から研修に来られている人に会ったことがあります。日本語には謙譲語、尊敬語、丁寧語など立場の上下によって入れ替わる複雑な使い方があり、それを接客業で完璧に使いこなすのは、日本人でも難しいものです。「ネパール、山が美しい素晴らしい国ですね」と話して別れました。
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夏近し
和楽園の庭でシャガが咲いていました。近畿地方ではゴールデンウィークあたりから咲き始めるので、やはり季節が進んでいると感じました。

シャガは中国原産で早い時期に日本に入ってきた帰化植物です。そのため人間に近いところでしか見られません。少し影があるような場所を好んで咲きます。アヤメ科アヤメ属の花で、三倍体であるため種子ができず送出枝で増えます。
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春深む
4月11日でしたが、和楽園の前の通りに沿うソメイヨシノはほぼ葉桜になっていました。葉桜のむこうに塩田川にかかる橋の赤い欄干が見えます。その上流奥の対岸に「シーボルトの湯」という公衆浴場があります。

シーボルトは出島に滞在したドイツ人医師です。文政9年(1826)オランダ商館長の江戸参府に同行しました。そのとき嬉野温泉に立ち寄り詳しい記録を残しています。シーボルトがこの温泉に寄せた関心の深さにちなんで命名されたようです。

彼はここの森林のブナやヒノキの圧倒的な迫力、モミジ、ヤマツツジの美しさ、タンポポ、アザミなどについて記述していることから、今頃の季節に嬉野温泉に滞在したと思われます。
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春の朝
朝食には地元佐賀県産の素材が使われた料理が並びました。嬉野茶を入れた茶粥、有明海産の海苔、佐賀県白石町産のご飯などの他、珍しいものには冷やした緑茶にお酢を入れたドリンクが出てきました。もちろん、どれも大変美味しかったです。
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躑躅
夜の間に雨が降ったようでした。朝、外に出てみると前の庭のツツジにまだ雨滴が残っています。かなりしっかり降ったようですが、全く気づきませんでした。

「茶ごごろの宿和楽園」は昭和48年(1973)創業、今年で50周年です。老舗の部類にはまだ入らないのかもしれませんが、細やかな心づくしで宿泊者の気持ちをつかむことに成功している宿だと思います。
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春の夕
緑茶露天風呂を楽しんだ後は夕食です。部屋ではなく「旬彩庵うれしの小町」という食事スペースで食べることになっていました。日が長くなっており窓の外にはまだ明るさが残っています。

好みに応じて緑茶を擦って料理にかけたり、しゃぶしゃぶの出汁が緑茶入りで薄緑色をしていたりと、嬉野茶が料理にふんだんに活かされています。
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