優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2023年06月

茄子
茄子紺とは色の和名で紫味の濃い紺を意味します。藍染で染め重ねられてこの色が生まれます。ナスは茎も実の外側もこの色で、花もこの色を薄めたような色をしています。畑でナスが収穫を待っています。小さいものもすでにこのナス独特の色を持っています。
IMG_6116

紫陽花
裏庭でこじんまりと咲いているアジサイを見つけました。各地の紫陽花園やお寺などの紫陽花の名所であふれるほどたっぷり咲いているのを見るのもいいですが、こういうちょぼっと咲いている姿も違う風情があっていいものです。
IMG_6117


梅雨
サトイモが育って大きな葉を広げています。「芋の葉」「露」は季語として用いれば秋のものですがこの句では季語として使っておらず、季語は「梅雨」です。

季語の使い方には自分なりのルールを持っています。「季節を表す言葉が、すべての季語とされるものの中で最も強い」ということです。例えば春夏秋冬や梅雨、これらが句の中にあれば他に季語らしき言葉があろうともそれらの季語性を打ち消すということです。

歳時記には驚くような季語が載っています。例えば「髪洗う」は夏の季語です。簡単に髪を洗えなかった時代の名残です。この語から夏を連想する人など現代人にはほぼいないと思います。
IMG_6110



花南天
生垣でナンテンが花を咲かせています。メギ科ナンテン属の常緑低木で、花よりも赤い実の方がおなじみの木です。ナンテンの花といってもにわかにはイメージできないという人は多いと思います。私も俳句を始める以前はそうでした。

俳句に親しんでよかったと思うことのひとつが、身近な草花や野鳥の名前をたくさん覚えられたことでした。いつどんな花が咲き、どういう野鳥が見られるか、それらがわかると身近なものへ向ける目が違ってきます。
IMG_6109


茄子の花
畑ではナスの花が咲いています。姫路周辺ではナスビというのが一般的です。仲夏から初秋にかけての代表的な野菜であり、家庭菜園でも多く栽培されています。

原産地はインド東部といわれ、日本へは中国経由で7世紀か8世紀、飛鳥時代から奈良時代のあたりに伝来したとされています。ということは、天智天皇や持統天皇がナスを食べた可能性もありますね。
IMG_6107


夏の野
綿毛のタンポポを見かけました。タンポポの花は花びらに見えるひとつひとつが小さな花でそれぞれに種を持ちます。花が終わった後、花は綿毛(冠毛といいます)をつけ、風が吹けばそれに乗って種をできる限り遠くまで飛ばせる仕組みを作っています。

タンポポは野草として食べられます。また、生薬「蒲公英」として解熱、健胃、利尿などの作用を持ちます。在来の日本のタンポポは3〜4月に花を咲かせるので春の季語です。しかし、近ごろ目にすることの多いセイヨウタンポポは一年中花が咲きます。
IMG_6113


トマト
熟していないトマトはトマチンという毒素を含みます。ジャガイモの芽に含まれるソラニンと似ています。これらはどちらもアルカロイド系の毒素です。抗腫瘍作用があることがわかっており、赤くなれば毒素はなくなります。

トマトはナス科でジャガイモも同じです。どちらも南米アンデス山脈近くが原産地で、大航海時代以降世界中に広まりました。日本にトマトが入ってきたのは江戸時代初めから中期ごろです。ヨーロッパから中国を経て長崎に伝来したとみられています。
IMG_6108


梅雨
田畑が埋め立てられて家が建てられる一方、集落の中には空き家もあります。ぱっと見ただけではわかりませんが、庭がまったく手入れされていないのでそれとわかります。

空き家問題は全国で深刻です。兵庫県でも中国山地の麓である内陸部の集落で、山裾の家々が軒並み空き家になり、庇は落ちガラス戸は破られてボロボロという様子を見たことがあります。集落消滅も近いという感じでした。

姫路市の幹線道路沿いですら屋根瓦が落ちブルーシートで覆われた空き家が放置されています。早めに解体してしまえばいいのですが、それには数百万円の費用がかかり、更地にすると税金があがります。ただ、放置して事故でも起これば、賠償金が発生します。
IMG_6103


額の花
ガクアジサイのことを「額の花」と言います。アジサイの原種で、枝先につく大きな花序の中心部に小さな両性花が咲き、そのまわりを大型の装飾花が取り巻く様子を額縁に見立ててこう呼ばれています。

アジサイは日本原産の花で、房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島に自生しています。梅雨の時期を代表する花であり、水のイメージと強く結びついて晴れの日よりも雨天の方が生き生きとして見える花です。
IMG_6092


ベゴニア
細い路地を歩いて行くと塀と地面とのわずかな隙間にベゴニアが咲いていました。塀の奥の庭に植えられていたものの一部がここまで出てきたものかと思われます。

ベゴニアはシュウカイドウ科、世界の熱帯地方を中心に1,000種以上あるといわれています。交雑によって多くの園芸品種があり、最もポピュラーなのは四季咲きベゴニアと呼ばれるベゴニア・センパフローレンスです。
IMG_6105


このページのトップヘ