優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2023年10月

秋深し
自然学校最後の夜はボンファイヤーです。三日月が沈みあたりが暗闇に包まれる頃、芝生広場の一画にある焚火場で始まりました。みんなで呼んだ火の神が組み上げられた木に点火します。そこからの進行はキャンプリーダーの二人が担いました。

彼女たちはゲームなどを盛り込みながら子どもたちを盛り上げていきます。最後はプラスチックカップに入れたキャンドルを歩道の両端に並べるキャンドルサービスをおこなう予定で、私たちもチャッカマンを手に待ち構えていました。

ところが、その夜は風が強く火が消えてしまうことがわかり、中止せざるをえませんでした。それでも子どもたちはとても感動し、大勢が泣いていました。ちょっとやんちゃ気味の子の方がおいおい泣いているのが印象に残りました。
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木の実落つ
西島には猪が生息しています。本州側から海を渡ってやってきたものと思われます。姫路には妻鹿という地名があり、家島諸島には男鹿島という島があり、双方を鹿が行き来したという伝説があります。猪とて同じくらい泳げるでしょう。

ロッジは山の斜面に立っており、「猪を見た」と言う子が何人もいました。いたずら好きの男の子が、夜に猪のたてる音を「クマが出た」と脅かして、女の子たちが泣き出す騒ぎもありました。

クラフト体験をしている野外炊飯棟のすぐそばの木の下まで猪の子が来ているのを私も見ました。子どもは可愛らしいですが、大人の雄は鋭い牙を持っており遭遇すると危険な場合もあります。
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秋浜
午後はクラフト体験です。木の板に貝殻やシーグラスを貼ってオリジナルのフォトフレームを作ります。材料はこれまでの活動の合間に少しずつ集めていました。大勢で集めるといろいろ集まるものです。サザエの貝殻まるごとを拾ってきた子もいました。

貝殻のバランスを考え、シーグラスの青や緑をその間に配して、売り物になるのではと思うほど見事な作品を作り上げる子もいます。みんな熱中して作品を作り上げました。

接着剤が乾くまで使っていないテーブルに並べ、終わりにそれぞれビニール袋に入れて持ち帰ります。終わった班からスライドの発表準備にとりかかり、最後は先生に見てもらって明日の中間発表に備えました。
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秋の昼
それぞれの班で手分けして野菜を切り、米を洗い、野菜を煮て、米を炊き、時間前にはお昼ご飯のカレーができあがりました。やはり大勢で作ったカレーは美味しいです。こうした場合の定番飯になるのもわかります。

食べた後は片づけです。鍋のまわりには煤がついており、これらをきれいに洗って調理道具をぴかぴかにする必要があります。センタースタッフの厳しいチェックが入るのでここは真剣です。

何度もやり直しを命じられている班もありました。大勢の子どもたちに繰り返し使ってもらうにはこうしたチェックが欠かせないのでしょう。自分たちが気持ちよく使えたのは前のグループがきれいにしてくれたおかげです。それを次に送らなければいけません。
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秋うらら
午前9時から野外炊飯。班でカレーを作ります。人数分の材料が配られ、包丁はスタッフが手渡ししていきます。かまどでの火起こし担当ヘルプは男性スタッフ、材料の切り分けヘルプは女性スタッフがおこないました。

テーブルに新聞紙を広げます。汚さないためと野菜くずをその中央に集め新聞紙でくるんで捨てるためです。野外炊飯場のすぐ隣にはごみステーションがあり、ごみは燃えないもの、プラスチック、生ごみに分別され、生ごみはたい肥などに利用されます。

野菜の切り方をレクチャーし、子どもたちはすぐにそれを覚えて上手に切り分けていきました。包丁とまな板はセットで洗いに行くときには「通りまーす」と言うことを徹底しました。刃物と火の取り扱いには強く注意を促したためか、ケガ人は出ませんでした。
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秋海
午前7時から芝生広場に集合して一日の活動が始まります。「ひょっこりひょうたん島体操」の後、浜辺に出てそこの階段を利用して、音楽会のための練習が行われました。海に向かって海をテーマにした歌を歌います。

合唱は二部でアルトとソプラノです。そうか、まだテノールやバスはないのだ、と当たり前のことに今さらながらに驚きました。小学5年生だと女子の方が発育がよく、すでに先生たちの身長に近いくらいに背が伸びている子もいます。

子どもたちが並んで海に向かって合唱を始めると、少年少女合唱団だなあとその歌声を心地よく感じました。自然学校の後は音楽会だそうです。先生たちも次々指導せねばならず、大変なことだろうと想像します。
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秋うらら
この日で先生がたは前半と後半の入れ替わりでした。全体を通して島にいるのはキャンプリーダーと救護スタッフだけです。

帰ったらビールを飲みたいといっている先生もありました。子どもたちにはデジタルから離れた環境をといいつつ、先生たちも他のスタッフも私以外は全員スマホを手にしていました。海辺に出ればかろうじて通信は可能なのです。

デジタル製品から完全に離れることはこれほど難しいことなのだとその姿を見ていて実感しました。ゆっくり海の音を楽しむことも、星や夕映えを見ることもなく、ちらりと一瞥してすぐにデジタルの世界へ戻ってしまうのでしょう。
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秋の海
三日目も快晴。今日は「探検!発見!いえしま調査隊」と題してあらかじめ決めていた班に分かれての活動でした。それぞれの班でテーマを決めており、それに応じてクロームブックでスライドを作り最後の日に中間発表をするというものです。

カヌーで大ヤケ島の向こうの海岸まで行って漂流物を調べる班もあれば浜辺で魚を釣ってそれを調べたり、解剖したりという班もあります。ばらばらになるため、今日はお弁当を持っての活動です。

私は今日も突堤や浜辺での活動で、沖へ出ていく子どもたちをうらやましく思いながら見送っていました。
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星月夜
この日は夕食後、センター職員の解説を受けながら「夜の海観察・星の観察」がありました。昨夜は天の川が見えたそうですが、この夜は少し雲がかかり見えませんでした。

夜に咲く小さな黄色い花はコマツヨイグサです。マツヨイグサを一回り小さくしたような花で、夜に咲きます。北アメリカ原産の帰化植物で浜辺などでよく見られます。繁殖力が強いことから「要注意外来植物」の指定を受け、現在は駆除が行われています。
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秋高し
カヌー体験の後は突堤で釣り体験です。細い竹の先端に釣りキットをセットし、針にオキアミをつけて海に垂らします。こんなちゃちなもので釣れるのだろうかと思いましたが、突堤の下をのぞき込むと小さな魚がいっぱい泳いでおり、入れ食い状態です。

釣りが全く初めてという子でもコツさえつかめばどんどん釣り上げ、面白かったようです。こちらは日差しが照りつける中それらを見守っているだけでした。いつの間にかイワシの群れが突堤のすぐそばまで来ていました。

昨日の地曳網体験のときに来てくれていたらよかったな、とセンタースタッフの言葉。数時間かかって浜辺の端から端まで魚を並べたという大漁もあったようです。
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